2023.5.9
「夜勤のない環境で日勤として働きたい」 急性期病棟で1年間勤めたHさんの場合
急性期病院で1年間頑張ってきたHさん。人間関係に悩まされながら、休みが取りにくく残業が当たり前の環境で仕事を続けてきました。心身の疲弊により、夜勤がない環境で日勤の看護師として働きたいという転職条件を提示。しかし、これまでの経験を身につけるにはもう少し臨床で働いた方が良いのではないかと判断したアドバイザーは、Hさんが先入観で転職をしないようサポートに尽力しまいた。
「このリンゴは大きいな」「このお店、安いね」といった話をするとき、無意識のうちに何かと比較してしまいますよね。
転職の場合も、同じようなことがいえます。自分の経験した職場と比べて、「前の方が設備がよかった」「前職は人間関係がひどかった」という意見をもつものです。
しかし、労働環境に比較するものがない場合、「初めての職場=看護師の職場」と思われる方も少なくありません。
今回ご紹介するHさんは、新卒から入った急性期病棟で、日々人間関係に悩まされながら働いてきました。3交代で休みが取りづらく連勤続きで、残業はつねに2~3時間が当たり前、という環境の中で1年間踏ん張ってきた看護師さんです。
新人のため、勤務の前後にも情報集取や指導してくれる先輩への報告があり、身体も心も疲弊したHさん。「看護師は続けられないのかも」という思いを抱いて、私どもにご相談くださいました。
Hさんのご希望は、クリニックかデイサービスといった日勤のみの職場でした。たとえ日勤常勤であっても、夜勤のある病院はNGということでした。
その理由をお伺いすると、「夜勤がある病院はどこもキツイから」とおっしゃられました。
Hさんはまだ2年目の看護師さん。この1年間頑張ってきたことを、しっかりと自分のものにするためには、もう少し臨床で頑張った方が良いのでは、と私は感じました。
日本看護協会の「2020年病院看護実態調査(p.7)」によると、2019年度の正規雇用看護職員の離職率は11.5%、新卒採用者の離職率は8.6%という結果になりました。
また、厚生労働省の「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況(大学 / P.5)」によると、2020年3月卒における医療・福祉業界の離職率は以下のようになっています。
1年目までの離職率 |
2年目までの離職率 |
約12% |
約27% |
引用:厚生労働省「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況(大学 / P.5)」
これらのデータから判断すると、2年目の看護師が転職を考えること自体は珍しくありません。事業所によっては経験年数の少なさを懸念される可能性もあるため、これまで身につけた知識・技術を活用できる環境に転職した方が、看護師として活躍しやすいといえます。
私は、提示された希望条件のものとは別に、Hさんの通勤可能エリア内で、残業削減の取り組みが進んでおり、人員配置にゆとりのある大規模病院の常勤も合わせてご提案しました。この病院はコメディカルスタッフ同士の関係性が良いこともおすすめポイントです。
しかし、Hさんは、「夜勤があるところはどこも大変に決まっている」と強い先入観を持たれているご様子でした。
先入観で視野を狭めた後ろ向きな転職活動はして頂きたくないと感じた私は、以前その病院をご紹介し、現在も勤務されている看護師さんへ実際に働いてみた感想をお伺いし、Hさんに伝えてみました。
その内容に少し興味を持たれたHさんは、その求人の細かな情報について質問してくださるようになりました。
その結果、Hさんはほかの求人も比較検討するほど視野が広がり、前向きな転職活動をできるようになりました。
最終的には、はじめにおすすめした病院の急性期で、2交代の常勤勤務として内定をもらうことができました。基本給を大幅にアップさせた好条件を得られたのもポイントです。
Hさんの入職後、何度かメールでご報告をいただく機会がありました。
はじめのメールは「このような職場もあったのですね。転職して良かったです」という内容でした。
のちに受け取ったメールでは、「苦手な先輩がいるけれど、仲良しな同僚ができたこと」「夜勤が始まったけれど、前職より休めていること」など、職場に慣れていく様子を教えてくださいました。
「夜勤明けで今から遊びに行きます」という元気なメールを最後に、Hさんからの連絡はなくなりました。別件で病院側と連絡をとった際、看護師長さんは、「Hさんは頑張ってくれてますよ。いい方を紹介してくれてありがとうございます」とおっしゃられました。
私は、Hさんからの連絡がないのは、職場に慣れたからなのだと安心できました。
人は自分が経験した世界がどうしても基準となります。しかし、看護師の勤務形態には、幅広い選択肢があります。
転職前はできるだけ、職場環境や仕事内容の理解を深めたうえで、比較検討してみてください。
さまざまな人間がいるように、職場もさまざまな違いがあります。先入観にとらわれず、自分に合う職場を貪欲に探していただきたいと思っています。
経験の浅い看護師が転職をする際は、現在の職場の情報だけに頼らず、多角的な視点で取り組む必要があります。転職の可能性を広げるには、第三者の視点からサポートを受けるのも手です。
転職活動においては、できるだけ求人に対して先入観をもたず、前向きな姿勢で取り組むことが重要です。「夜勤のある職場は大変」「職員の少ないところは人間関係が良くない」というように、自分が経験したからといって、すべての職場がそのような環境であるとは限りません。
先入観をもったままだと、実は自分に適している職場環境にも気づけなくなる可能性があります。日勤だけの仕事でも残業が多い環境では疲労につながりやすく、夜勤があっても残業が少ない職場ならメリハリをつけて働くことが可能です。
レバウェル看護では、「今の職場以外知らないので希望条件があげられない」「初めての転職で何を決め手にしたらいいか分からない」という看護師さんの転職を手厚く支援いたします。
実際にご紹介した職場で働いている人の感想や、職場環境の情報をお伝えするので、転職の視野を広げることが可能です。アドバイザーによる客観的なサポートを受ければ、「向いていない」と思いこんでいた求人が、自分にとって働きやすいものだと判断できる場合もあります。
第三者の目線から、あなたの経験や人柄に合った求人をおすすめいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。
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