2023.6.9
「もう一度転職したいです」民間の総合病院に勤務する経歴10年のKさん(女性)の場合
民間の総合病院に勤めるKさんは、新卒のころに不採用になってしまった公立病院への憧れが捨てられず、10年の臨床経験を積んだのち、見事転職を成功させます。しかし、その1年後にKさんから「もう一度転職したいです」といった相談の電話が…。
憧れの職場に転職したはずのKさん。アドバイザーが詳しく話を聞いてみたところ、Kさんが持つ先入観が、転職が上手くいかなかった原因になっていたようです。
Kさんは民間の総合病院で10年のキャリアをもつ看護師さんでした。
はじめにKさんからご相談いただいたのは1年前。開口一番「公立の病院で働きたいです!」と元気にお電話くださったのを覚えています。
実はKさん、新卒のときにも公立病院の採用試験に臨んだものの、内定には至らず、今の職場に就職したそうです。
職場に不満があるわけではないのですが、どうしても公立病院へのあこがれを捨て切れず転職を決意したとのことでした。
その後、Kさんは私たちが求人を提案を紹介する前に、自分で応募した公立病院に見事内定。そのため、お話だけで私たちが求人を紹介することはありませんでした。
しかし、それから1年後、再度Kさんからお電話をいただいたのです。お話を聞いてみると、また転職を考えているとのことでした。
公立の病院に対する熱意にあふれていた当時の姿とどこか気弱な今の姿に大きなギャップを感じ、まずは詳細をうかがいました。
「公立病院なら安定してゆったり働けると思っていたんです。」とKさん。しかし、いざ入職してみると、理想と現実に大きな差があったようです。
Kさんによると、憧れて入職した公立病院は残業が毎日2時間以上あるのに残業代は一切なし。さらに、休みの日まで勉強会への参加をすすめられるなど、とにかく忙しすぎるとのことでした。
疲れが重なったKさんは持病を再発してしまい、泣く泣く1年で退職してしまったというのです。
「どこでもいいから日勤常勤でゆっくり働きたいです。」と、弱々しく話すKさんに対し、1年前アドバイスする機会がなかったことをとても残念に思いました。
Kさんが転職を失敗してしまった大きな理由は、「イメージだけで転職先を選んでしまったこと」でした。
たしかに公立病院は、福利厚生や教育制度が充実している傾向にあります。
加えて、公立病院の看護師は公務員といった扱いになるため、収入の安定や勤続年数による昇給が期待できるため、看護師の就職先として人気があります。
下記は、勤続10年の非管理職看護師(31~32歳)の設置主体別の月額給与です。
設置主体 | 平均基本給与額 | 平均税込給与総額 |
国立 | 260,737円 | 341,930円 |
公立 | 268,189円 | 340,863円 |
日本赤十字社 | 277,708円 | 350,417円 |
済生会 | 261,510円 | 339,488円 |
厚生連 | 264,404円 | 331,267円 |
その他公的医療機関 | 251,576円 | 321,632円 |
社会保険関係団体 | 280,950円 | 349,033円 |
公益法人 | 243,135円 | 327,668円 |
私立学校法人 | 269,826円 | 359,667円 |
医療法人 | 234,537円 | 312,614円 |
社会福祉法人 | 239,792円 | 320,753円 |
医療生協 | 247,431円 | 319,108円 |
会社 | 271,687円 | 357,728円 |
その他の法人 | 245,250円 | 329,295円 |
個人 | 240,871円 | 320,248円 |
(税込給与総額には、通勤手当や住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当といった諸手当を含みます。)
引用:日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査 報告書(p107)」
日本看護協会のデータによると、公立病院の平均税込給与総額は約34万円。民間が運営する公益法人、医療法人、社会福祉法人より数万円高いことが分かります。
しかし、設置主体に関わらず暗黙の了解でサービス残業が行われている場合や、給料と仕事が見合わないと感じられる職場もあります。
また、上記で述べたとおり公立病院は、長く勤めることで民間病院に勤める場合よりも生涯年収が多くなる傾向にありますが、若手のうちは給与が低いことも。そのため、必ずしも公立病院の方が給与が高い・待遇が良いとは言い切れません。
私はKさんの経験やスキル、職場に求める条件を詳しく聞いてから、希望が叶えられる求人をご提案させていただくことに。公立病院に絞らなかったため、広い選択肢から応募先を決めていただけました。
その後、Kさんは県内で有名な民間の一般病院に内定し、常勤の日勤で働くことが決定。加えて、Kさんの経験・スキルが高く評価され、日勤常勤なのにもかかわらず、公立病院で夜勤も行っていたときよりも高い年収を提示してもらえました。
「公立病院が必ずしもベストとは限らないんですね。」とKさん。
あこがれを追い求めすぎて、選択肢を自分で狭めていたことに気づいたようでした。相談時から別人のように元気な様子のKさんに私も嬉しくなりました。
どの医療機関のタイプにも、メリットとデメリットがあります。イメージだけで職場を決めず、周りからの情報やアドバイスに頼りながら自分の理想に叶う転職を行うことをおすすめします。
看護師が転職する際は先入観だけで転職先を決めず、「志望病院・施設について十分に調べる」ことが大切です。
下記では、看護師が転職を成功させるポイントを順を追って解説します。「初めて転職する」「転職で失敗したくない」という方は、参考にしてみてください。
まずは、「なぜ転職したいのか」を明確にしておきましょう。
人によって、「○○医療に関わりたい」「○○の分野でスキルアップしたい」「プライベートに重きを置いた働き方がしたい」「給与を上げたい」などが挙げられるかもしれません。転職理由を明確にすることで、「転職先に求める条件」も明らかになってくるはず。ただ闇雲に求人を探すよりも、効率よく自分が求める職場を探し出せるでしょう。
今回のご相談では、「現在の職場に不満はなかったが、憧れから転職した」とのこと。転職希望を明確にしておかないと、何のために転職したのか分からなくなってしまい、入職後に働きにくさを感じてしまう可能性が高くなってしまいます。
転職理由を明確にしたら、それを基準に複数の病院の情報を調べ比較してみましょう。
もし、はじめから一つの病院に絞り込んでしまった場合、ほかの好条件の求人を見落としてしまうかもしれません。「公立病院は○○だから」や「介護施設は○○だから」など決めつけたりせず、広い視野をもって複数の病院・施設を比較してみることが大切です。比較することで、より自分に合った職場を見つけられるかもしれません。
志望病院を絞り込んだら、その病院の情報を調べて十分に把握します。
今回のご相談者さんは、「公立病院なら安定してゆったり働けると思っていたが、実際は毎日の残業や休日の勉強会で激務だった」といったギャップが、転職を決意するきっかけになっていたようです。転職後のミスマッチを減らすには、入職前にしっかりと正しい情報を収集しておきましょう。
転職理由で挙げた「転職先に求める条件が叶えられるか」だけではなく、「病院・施設の雰囲気」「勤務体制」「勤務時間の管理方法」など、さまざまな方向から調べておくとミスマッチの可能性を減らすことができるので安心です。
自分だけで病院を比較したり、実際の職場の状況を調べるのは簡単なことではありません。そんな時はぜひ、看護業界の転職に特化したレバウェル看護を活用してください。レバウェル看護では、看護業界の傾向や相場に詳しいアドバイザーが、プロの目線から相談者のスキルや経歴に合った転職先をご提案いたします。自分だけで転職活動を進めるよりも、思ってもみなかったスキルや経験が活かせる職場と出会えることも。情報収集の手間も省けて、将来のキャリアを考慮したアドバイスももらえるのでミスマッチのない転職が効率よく叶います。
サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。
「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。
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