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2013年08月27日

乗り越える時

先日、
1年前に引越しを伴う転職で病院をご紹介した
24歳の看護師・Iさんから、
久しぶりにご連絡があり、
「辛くて辞めたい」というご相談を頂きました。

Iさんが「辛い」と感じている原因は、
受け持っている末期がんの患者さんのことでした。

検診でがんが見つかったその患者さんは、
それまで症状という症状もなかったため、
抗がん剤治療や放射線治療で弱っていくことを、
「お前らが殺そうとしているんだ」と、
Iさんや病院のことを毎日、責めるのだそうです。

Iさんの言うこともなかなか聞いてくれず、
主任さんに頼んで、対応してもらうこともあり、
Iさんは次第に自信がなくなってきたというのです。

「患者さんの苦しみがそうさせているっていうのはわかっているんです」
 というIさん。

重度の患者さんがいない環境や、
患者さんとの係わりが今よりは少ない職場を
ご紹介することはできます。

ただ、1年前に転職のご相談を受けた際、
「急性期で病と闘う患者さんの看護をしたい」という
Iさんの看護への強い思いをお伺いしていたので、
このまま転職してしまって、
本当にIさんのためになるのだろうかと悩みました。


そこで1年前の転職相談の際に、
Iさんが「気になる」と言っていた緩和ケア施設へ
見学に行くことをご提案しました。

その時は、結局、急性期病棟に決められたのですが、
Iさんが気になっていた場所を見ることで、
現状からの解決の糸口になるかもしれないと思ったからでした。

この病院には、
『看護のお仕事』の紹介で入職されたMさんという方がいます。
Mさんは「終末ケアへ挑戦したい」とご相談頂き、
急性期から転職された33歳の看護師さんです。

Mさんには、Iさんの施設見学の際、質問に応じて頂きました。

Iさんが終末ケアは辛くないのか質問すると、
Mさんは、患者さんにあたられることもあり、
一生懸命やっているのにと悲しくなることもある、
と答えていました。

でも、本当に辛い時に、思い出す言葉があるというMさん。

1年半ほど担当した患者さんが、亡くなる少し前に
『あなたがいたから、
 家族にも友達にも笑顔を見せることができたのよ。
 あなたには嫌な態度をいっぱいとってしまったけど、
 あなたがいてくれて、本当によかった』
と感謝の言葉を言われたのだそうです。

「自分は何ができたろうか、
 できなかったろうかってすごい考えました。
 だからこそ、いつも、
 “今できる最善”を行うようにしようって思っているんです」
とMさんは話して下さいました。


見学の後、Iさんは、
緩和ケア施設への転職をしばらく悩んでいましたが、
結局、今の病院で頑張ることに決められました。

「本当にダメそうになったら、
 その時は、転職先を紹介して下さいね」
そう言ってから1年、
Iさんは今も、同じ病院で頑張られています。

あの時、悩まされた患者さんにも、
たまに「気持ちが通じ合えた」と
感じられたこともあったそうです。


看護師はある意味、“職人”のようだと思います。
知識と技術を追求し、経験でしか成長できず、
“自分にしかできないやり方”を見つけて行く。

そして、職人であると同時に、“人間”だとも強く感じます。

相手も“人間”であり、
しかも身体も心も不安定な相手とのやりとりで、
つらいこともおおくあるかと思います。

おおくの看護師のみなさんから
「心が折れそうな辛い体験をされたことがある」
とお聞きします。

それでも、そのことを乗り越えることで、
看護の真の喜びややりがいを知り、
自分らしい看護を見つけたというお話も耳にします。

今回は、別の環境にいる看護師さんの話を聞いて頂いたことで、
Iさんは自分の乗り越えるべき壁に気づき、
一歩を踏み出されました。

辛い環境の中で、無理をすることがいいわけではありません。
辛い時は、転職することで、
自分らしさを取り戻せることもあると思います。

でも、悩んだ時、立ち止まってしまった時、
もし自分の中で、
「今、その場所で頑張るべき」という思いがあるなら、
必ず転職されなくても良いので、
どんなことでもご相談して下さい。

少しでもお力になれるように“一緒に悩みたい”と思っています。

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