2023.9.22
「叱られるのが苦手なんです」20年で8回の転職歴がある看護師Kさん(41歳/女性)の場合
「怖い先輩がいた」といった理由から、同じ職場で3年以上続いたことがなかったKさん。Kさんは「優しく教えてくれる職場」への転職を希望していました。
しかし、Kさんに関わっていく中で、アドバイザーは「職場の人間関係がうまくいかないのは、Kさんの癖に原因があるのでは」と考えます。「今のまま転職しても、同じ原因で転職を繰り返してしまうかもしれない」といった思いから、ある提案をしてみました。
最近、社内で新人さんが先輩に注意されていて、「ああ、大丈夫かな」と思うことがありました。しかし、その新人さんは話を真剣に聞いた後で「ありがとうございます!」と元気よく言ったのです。明るくお礼を言われた先輩は、もう怒れなかったようです。笑顔になって「気をつけろよ」と言っていました。
このように、言葉の使い方一つで相手の対応も変わることもありますよね。
さて、今回のケースは、20年で8箇所の転職歴とブランク歴がある41歳の看護師Kさんのお話です。
Kさんは同じ職場で3年以上続いたことがなく、短いところでは数週間で転職されていました。
転職理由をお伺いすると、始めは給与や病院の体制が不満というお話でしたが、詳しくお聞きすると、すべて「怖い先輩がいた」ことが理由だそうです。
「叱られるのが苦手なんです。だから、優しく教えてくれるところがいいです」というKさん。その声は、今にも泣き出しそうでした。
その後、条件面の希望など何度かやりとりをしましたが、私はKさんが癖のように「すみません」と言うことが気になりました。
Kさんのように、看護職では職場の人間関係に悩んで転職をする人は少なくありません。厚生労働省の調査によると、医療分野における離職理由でもっとも多いのは「職場の人間関係」とあります。
前職の離職理由(上位5位まで) | 割合 |
職場の人間関係の難しさ(上司・同僚など) | 34.7% |
勤務時間が長い | 34% |
仕事内容に不満があった | 25.9% |
休暇が取りづらかった | 24.7% |
その他 | 22.1 |
引用:厚生労働省「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査(p15)」
周囲との連携が求められる看護職は、職場での人間関係が上手くいかないと相談や報告などがしづらくなってしまい、仕事がストレスに感じてしまうことも。
また、人間関係におけるトラブルによって物事をマイナスに捉える癖がついてしまった場合、どこの職場に転職しても不安などで短期退職を繰り返してしまう、などといった負のサイクルに陥ってしまう可能性もあります。
候補に挙げた求人の中から気になる病院をKさんに選んで頂き、一緒に見学に行くことにしました。しかし、当日、Kさんは約束の時間に遅れて来ました。Kさんはこれまでも約束を忘れることがあり、挨拶をするより先に「すみません」とおっしゃいました。
病院への見学を済ませた後、私はKさんと少し話したいと思い、お時間を頂きました。するとKさんは、私が話す前から「すいません」と言うのです。
怒られることに慣れてしまったせいで、「謝ることが癖になってしまっているのでは?」と不安になりました。
しかし、私はただのキャリアアドバイザーなので、「Kさんの癖に踏み込んでしまうのは失礼なのでは?」「Kさんが希望する病院をご紹介すれば良いだけなのでは?」と、悩みました。
でも、本当にKさんのこれからを思うならば、少し本心でお話した方がいいと決断しました。
Kさんにはまず、”言葉の魔法”について話すことにしました。
「人と人の関係性が出来上がるとき、発する言葉が重要なこと」
「初めから上下の関係のある相手に対して、自分から必要以上にへりくだると相手は自分が上の存在なのだという意識を強くしてしまうこと」
「そのへりくだり方が”頼りにしている””感謝している”と相手が受け取れば許し、受け入れ、導いてくれることが多いが過剰なへりくだりは相手は怒らせたり、卑屈な人といった印象を持たれたりしてしまうこと」などです。
おそらく、Kさんはすぐに「すみません」と口にすることで、今までの先輩たちに後者の構図を自ら作ってしまっていたのでは?などのお話をしました。
「看護師」という患者さんの命に関わる責任が重い方の職場では、つい指導が厳しくなってしまったり、ときには理不尽な理由で叱ってしまったりするのかもしれません。必ずしもKさんにすべての責任があるわけではありませんが、「このままでは、何度転職しても、Kさんはまた厳しく怒られしまうのでは?」と思ったため、話すことにしたのです。
それでも、話している間も「すいません」と言ってしまうKさん。私はもうひとつ、別のアドバイスをすることにしました。
もう一つ、私がKさんにお話したことは、「すみません」を言わないようにするのではなく、「すみません」を別の言葉に言い換えるということです。
もちろん反省が必要な場合は「すみません」と言います。でも、たとえば何か注意や教えを受けた時は「すみません」を「ありがとうございます」と言い換えるのです。
今まで言ってきたものを急に言わなくするのは難しいことです。なので、言葉を“言い換えることを提案しました。
それに使う言葉を“選ぶ”ことで、「すみません」の本来の意味も認識できるようになります。何より相手が言われて気持ちいい言葉を使ったほうが、職場での関係性はよくなると考えました。
私は、Kさんに届くように一生懸命説明しましたが、Kさんは怒られていると感じるのかびくびくしています。そこで、さらにこう言いました。
「こんな話を真剣にしているのは、怒っているからじゃないですよ。Kさんの今後を本当に思うからお話しているんです。先輩の中にも、きっとそういう方もいたかもしれませんよ」と。
すると、Kさんはしばらく考えこんでから顔を上げ、「ありがとうございます」とおっしゃいました。その顔は、“泣きそうな顔”ではなく、“笑顔”でした。
実は嫌われたらどうしようとドキドキしていたので、「伝わったんだ!」ととてもホッとしました。
Kさんはこれまで、自分のためを思って言ってくれている言葉も、怒られていると勘違いしていたことがあるかもしれません。しかし、「自分を思って言ってくれていること」に気付けるようになることで、「叱られるのが怖い」といった感情は少なくできるはずです。
言葉は、相手はもちろん自分自身をも変えます。言葉も感情も伝染していくものですから、Kさんがこの先、今よりもっと笑顔の時間が増えるといいなと心から願っています。
「1ヶ所で長く続かず転職を繰り返してしまう」という方に向けて、ここでは、転職を成功させるためのポイントを紹介します。「転職してもなかなかうまくいかない…」という方は、チェックしてみてください。
転職を繰り返さないために、「辞めたい」と思ったきっかけや理由を明確にしてみましょう。もし、退職理由を明確にしないまま転職した場合、また同じような理由で退職してしまう可能性が高くなってしまいます。辞めたいと思った理由やきっかけを明確にし、それを足がかりにして次の転職先を検討することで、長く働ける職場を見つけられるはずです。
今回の相談者さんのように、「先輩からの指導を怒られているように感じる」など、自分が持つ先入観に向き合ってみることも大切です。上記で明確にした退職理由も、自分の先入観によって退職を選んでいないかなど十分に考えてみましょう。
自分が持つ先入観や考え方の癖を把握することで、これまでとは違う人間関係を築けたり、スキルを積めたりできるはずです。
「辞めたい」「転職したい」と思ったら、1人で悩まずに信頼できる第三者に相談することもおすすめです。職場の人でなくても、学生時代の先輩や友人など親しい人に相談することで、客観的かつ的確なアドバイスを得ることができるかもしれません。
また、第三者に相談することで自分では気付かなかった先入観に気付けることも。それだけではなく、新たな選択肢や可能性を見つけるきっかけになることもあるでしょう。
「転職に関する相談をできる人が身近にいない」という方は、看護業界の転職に特化した転職エージェント「レバウェル看護」にご相談ください。レバウェル看護は、紹介経験が豊富なアドバイザーが、転職のプロ目線から丁寧に転職をサポートいたします。また、看護業界に特化した転職エージェントなので、看護業界に関する知識も豊富。1人で転職活動を進めるよりも第三者目線を加えて転職した方が、あなたに合った職場を見つけられるでしょう。転職をした方がいいのか悩んでいるという方も、ご相談からご利用いただけます。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。
「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。
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