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2013年12月17日

自分の立場を作る魔法の言葉

最近、社内で新人さんが先輩に注意されていて、
「ああ、大丈夫かな」と思うことがありました。
でも、その新人さんは話を真剣に聞いた後で
「ありがとうございます!」と元気よく言ったのです。
そこまで言われたら、先輩ももう怒れないですよね。
笑顔になって「気をつけろよ」と言っていました。

言葉の使い方一つで相手の対応も変わりますよね。


さて、今回のケースですが、
途中でブランクもありましたが、
20年の間に8箇所の転職暦をお持ちの
41歳の看護師Kさんのお話です。

Kさんは長くても3年続いたことがなく、
短いところでは数週間で転職されていました。

理由をお伺いすると、
始めは給与や病院の体制が不満というお話でしたが、
もっと詳しくお聞きすると
すべて「怖い先輩がいた」と言うのです。

「叱られるのが苦手なんです。
 だから、優しく教えてくれるところがいいです」
というKさんの声は今にも泣き出しそうでした。

条件面の希望など、やりとりを何度かしましたが、
Kさんが癖のように「すみません」と言うことが気になりました。


候補の中から気になる病院を選んで頂き、
一緒に見学に行くことにしました。
しかし、約束の時間にKさんは遅れて来ました。

実はこれまでも約束をKさんが忘れることがありました。
Kさんは挨拶をするより先に「すみません」とおっしゃいました。
その顔は今にも泣き出しそうでした。

時間もなかったので、先に病院への見学を済ませた後、
Kさんに少しお時間を頂きました。
するとKさんは話す前から「すいません」と言うのです。

怒られることに慣れてしまったせいで、
言葉ほど申し訳なさを感じてはいないのではないか
と不安になりました。

私はただのキャリアアドバイザーですし、
Kさんのご希望条件の病院にご紹介すれば
それでKさんは喜んでくれて話は終わるかもしれません。

でも、本当にKさんのこれからを思うならば、
少し本心でお話した方がいいと決断しました。


Kさんにはまず、
今のまま転職しても同じ環境を繰り返すかもしれない
ということを話し、
言葉の魔法について話すことにしました。


人と人の関係性が出来上がるとき、
発する言葉が重要なことがあります。

特に初めから上下の関係のある相手に対して
自分から必要以上にへりくだると
相手は自分が上の存在なのだという意識を強くします。

そのへりくだり方が
「頼りにしている」、「感謝している」というものなら
相手は許し、受け入れ、導いてくれることが多く、
「申し訳なく思っている」というものなら、
相手は怒り、否定し、認めないという構図ができやすいのです。

Kさんはおそらく
すぐに「すみません」と口にすることで、
今までの先輩たちに後者の構図を
自ら作ってしまっていたのではないでしょうか?

このままでは、何度転職しても、
Kさんはまた厳しく怒られることになるのです。


話している間もまた「すいません」と言ってしまうKさん。
私はもうひとつ、別のアドバイスをすることにしました。

“「すみません」を言わないようにする”のではなく、
“「すみません」を別の言葉に言い換える”ということです。

もちろん反省が必要な場合は「すみません」と言います。
でも、たとえば何か注意や教えを受けた時は
「すみません」を「ありがとうございます」と言い換えるのです。

今まで言ってきたものを急に“言わなくする”のは難しいことです。
だから言ってもいいけど、言葉を“言い換える”のです。

それに使う言葉を“選ぶ”ことで、
「すみません」の本来の意味も認識できるようになります。
何より相手が言われて気持ちいい言葉を使ったほうが
関係性はよくなるのです。

Kさんに届くように一生懸命説明する私に
Kさんは怒られていると感じるのかびくびくされています。
そこでさらにこう言いました。

「こんな話を真剣にしているのは、怒っているからじゃないですよ。
 Kさんの今後を本当に思うからお話しているんです。
 先輩の中にも、きっとそういう方もいたかもしれませんよ」と。

すると、Kさんはしばらく考えこんでから顔を上げ、
「ありがとうございます」とおっしゃいました。

その顔は、“泣きそうな顔”ではなく、“笑顔”でした。

実は嫌われたらどうしようとドキドキしていたので、
「伝わったんだ!」ととてもホッとしました。

言葉は、相手はもちろん、自分自身をも変えます。
言葉も感情も伝染していくものですから、
Kさんがこの先、今よりもっと笑顔の時間が増えるといいなと
心から願っています。

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