不満ばかりの新人看護師が本当にやりたい仕事を考えて見つけた目標とは

2023.9.22

「不満しかないから今すぐ転職したい」急性期に入職して3ヶ月の新人看護師Tさん(女性)の場合

新卒で急性期に配属されて3ヶ月のTさん。最初にお話したときは、「先輩の教え方が悪い」「ドクターのせいで患者さんからクレームを受けた」など、職場に対する不満が溜まっているようでした。さらに、過去の話を聞いてみると、看護師という職種を選んだきっかけは「友人に勧められたから」だったようです。「看護職にしっかりと向き合って欲しい」と思ったアドバイザーは、あるアドバイスをしました。

今の状況に満足できず転職を試みるが上手くいかない

Tさんは今までのご相談の中でもたくさん話をお聞きした看護師さんだと思います。

はじめてご相談下さった日は、1時間以上も電話をしたことを覚えています。

当時のTさんは新卒で急性期に配属され、3ヶ月目の新人看護師さん。ご相談の内容は、「不満しかないのですぐ転職したい!」というものでした。

今のどんな点が不満なのか伺ってみると、「先輩の教え方が悪く仕事が覚えられない」「ドクターのせいで患者からクレームを受ける」「看護学校の教諭の教え方がよくなかったせいで、ほかの同期より遅れてしまい“使えない新人”呼ばわりされた」など次から次へと不満が溢れて止まりません。

看護職を選んだ理由については、「英語力を活かせる職に就きたかったが、就職が難しかった。友達に”看護師なら職に困らないよ”と勧められたから」ということでした。

また、Tさんはすでに他社の求人サイトで紹介された求人の面接にも数件行ったようですが、面接官に「3ヶ月で転職は根性ない」と言われたとのこと。そのためか、転職先に求める希望は「入職3ヶ月でも転職できるところ」というお話でした。

看護職は専門的な知識や技術が必要とされるため、転職時には経歴や勤務年数が重視される傾向にあります。そのため、新卒での退職や転職は、応募先からの印象はあまりよくありません。

とはいえ、日本看護協会の資料(p4)によると、看護師(正規雇用)の離職率は11.6%、新卒の離職率は10.3%とあり、新卒で退職する看護師さんは珍しくないことが分かります。

短期間で転職を繰り返すのは好ましくありませんが、現状がどうしても辛い場合は、自分が理想とする働き方を求めて転職するのも一つの手段でしょう。

出典
日本看護協会「2022年 病院看護実態調査 結果」(2023年5月30日)

何かのせいにしてもその人生を生きるのは自分

普段、私は相談者さんの話を聞いて、「精神的な負担が大きそう」「身体的な不調が出ている」など、転職した方が良いと判断すれば、経験年数は関係なく転職を提案しています。

しかし、Tさんの場合は「この状態で転職しても同じ理由で転職したくなるのでは」と感じました。

きっと多くのことを我慢して3ヶ月間がんばってきたTさん。看護師を続けるか迷いながらも、看護業界内での転職を決めたのでしょう。

そんなTさんだからこそ、転職をご紹介するより、気づいて欲しいことがあると思い、思い切った質問をぶつけてみました。

「英語の仕事をあきらめて看護師になれと誰かに言われたのですか?最後は自分で決めたのではないですか?」「学校の教諭の説明がわからなかった時、質問はしましたか?」「3ヶ月で転職した人と3年で転職する人、もしTさんが患者さんだったら、どちらに看てほしいですか?」

するとTさんは「看護師、辞めようかな」とおっしゃいました。でも、嫌われ者になってでも伝えなければと「Tさんがそう決めたのなら私は止めません」とお答えしました。

「Tさんの人生はTさんしか生きられません。人のせいにしても、Tさんの人生を生きるのはTさん以外いません。自分が決めたことだと決意を持たないといつまでも満足のできる環境になんて巡り合えないと思いませんか?」

Tさんは電話を切ってしまいました。でも、ここであきらめたら、何もできずに終わってしまいます。

なんとか思いを伝えたいと『TOEICで高得点を取り、看護学校を卒業して、国家試験に合格できるTさんは、努力のできる人だと信じています』とメールを送りました。

するとTさんからすぐ返信がきました。『せっかく取った資格だし、辞めません。でも、転職に関しては少し冷静に考えます』というものでした。

やはりTさんは根性のある方でした。

そこで今度は、『どういう人と一緒に働きたいかどんな科目に興味を持てそうかゆっくり考えてみて欲しいです』と返信しました。

それ以来、たまにTさんからメールや電話があり、愚痴を聞くこともよくありましたが、次第に他科目への質問などをして下さるようになりました。

1年後、看護師としての目標を見つけて転職

最初の相談から約1年という頃に、Tさんから「循環器の看護を学びたい」とご相談を受けました。

そこで、外科系と内科系の違いなどをお伝えし、いくつかの転職先の候補をご提案。その中からTさんは中規模病院の循環器外科を選び、面接へ行くことになりました。

私も面接に同行しましたが、明確な目標や自分の意思をしっかりと伝えるTさんの姿に「転職後も成長していける」と確信しました。

その後、Tさんは内定を貰い、循環器外科に配属されることになったようです。しばらくして支援金の申請で連絡がきた際に、困っていることがないかとお伺いすると、Tさんは「特にありません」とあっさりした返事。

正直、ちょっとだけ寂しく思いましたが、本来は努力のできる根性のあるTさん。自分が選んだ道を前だけを見て進んでいるんですね。

看護師としての明確な目標がないと、仕事に不満を感じてしまうこともあるでしょう。「看護師を辞めたい」と思ったときは、一度立ち止まって看護師としてのキャリアビジョンと向き合うことも大切です。

誰かに聞いて欲しい悩みはありませんか

お悩み解決のポイント

上記でも述べたとおり、入職から間もない時期の退職・転職は、応募先にマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。そのため、臨床経験が浅いうちに勢いで転職することはおすすめできません。
新人看護師さんで転職を迷っている方は、下記を参考に転職するか・続けるかを検討してみてください。

看護師になった理由を思い出してみる

日々の業務に追われると忘れてしまいがちですが、「看護師という職を選んだ理由」を思い出してみることも大切です。今回の相談者さんは、看護師になった理由が曖昧だったため、仕事へのやりがいが見いだせず辛くなってしまった面もあるでしょう。

きっかけは誰かのすすめだったとしても、「患者さんに喜んでもらいたい」「自立して働いている看護師に憧れていた」など、看護学生時代を乗り切れた理由があるのではないでしょうか。初心に帰ることで、仕事へのモチベーションを上げられるはずです。

キャリアビジョンを明確にする

キャリアビジョンを明確にすることで、方向性が曖昧なまま仕事をするよりも、モチベーションを保って仕事に取り組めるようになります。相談者さんは「循環器の看護を学びたい」といったビジョンが明確になったことで、看護師の仕事に自分なりの価値観を見いだせたのでしょう。

さらに、転職を決意した際には、相談者さんのケースのようにキャリアビジョンをもとに応募先を決めることで、入職後のミスマッチが起こりにくくなります。

レバウェル看護に相談する

「自分の経歴で転職できるか分からない」「新卒で転職してもいいの?」と悩んでいる新人看護師さんは、看護業界に特化した転職エージェント「レバウェル看護」の利用がおすすめです。看護業界に詳しいアドバイザーが、「転職した方が良いか」や「続けたほうが経験が積めるか」など、丁寧にヒアリングしたうえでアドバイスをします。

転職を決めた場合には、転職理由や仕事の適性、希望などを聞いたうえで、条件に合った求人をピックアップしてご提案。1人で転職活動を進めるよりも、自分に向いている職場を見つけられるはずです。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。

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