患者さんの死と向き合うのが怖い…悩みながら看護師に復職するまでの道のり

2023.5.2

病院のベッドに横たわる人の手を握っているイメージ

「訪問看護がしてみたい」新卒で総合病院の第3救急に入り体調を崩して退職したKさんの場合

看護職を離れて飲食店で働いていたKさんは、お客さんとの交流の中で、看護師時代の患者さんとの交流を思い出すようになりました。Kさんは看護師に復職するか迷いながらも、アドバイザーに相談してくださり、看護の仕事を探し始めたのです。
訪問看護がしたいけど、患者さんの死に直面する看護職に戻れるか、不安を抱えていたKさん。「また何の力にもなれないかもしれないから自分には戻る資格がない気がする」と本気で悩まれていたKさんは、どのようにして看護の仕事と向き合っていくのでしょうか。

看護師として働くことに迷いながら始めた転職活動

日本の1日の死亡者数は、約3,000人だそうです。
何ものにもかえがたい命が、毎日、それほど失われている事実に驚かされます。

誰かの死が、周りの人に与える影響は計り知れません。身内はもちろん、関わるすべての人にとって、誰かの死は大きな出来事なのです。

今回ご紹介するKさんは、新卒で総合病院の3次救急に入って、がんばっている看護師さんでした。

Kさんはめまぐるしい忙しさの中で患者さんの死を目の前にして、救えなかった命に心を痛め、次第に体調を崩して退職されました。

その後、看護職を離れて飲食店で働くようになりましたが、お客さんと楽しい交流をするうちに、看護師時代の患者さんとの交流を思い出すようになっていったKさん。「転職するって決めたわけじゃないんですけど…」とアドバイザーに相談をくださったのでした。

看護師時代のお話を伺っているうちに「つらいことも多かったけど、でも、看護師は楽しかったな」と看護職に戻りたいという思いを強めていったKさん。飲食店での仕事も続けたいため、両立できる求人を紹介して欲しいというご依頼をいただきました。

Kさんの希望をもとに、時間に融通がきき、残業があまりない、耳鼻科クリニックや施設でのケアといった日勤の求人をご提案しました。

しかし、Kさんの希望は「訪問看護がしてみたいんです」とのことだったのです。

訪問看護では、積極的な治療をせずに自宅で終末期のケアを受けている患者さんに出会う可能性もあります。患者さんの死に心を痛めて看護職を離れたKさんが、また苦しむことになるのではないかと気がかりに思いました。

それからじっくりと話し合い、Kさんの中で「訪問をやりたい」という気持ちが強いことがわかったので、訪問看護ステーションをご紹介することにしたのでした。

2件の面接を受け、1つから内定をもらえました。事業所側はKさんのブランクの事情に納得したうえで、人柄と経験を高く評価してくれたのです。飲食店と無理なく両立ができる条件で、とんとん拍子に話は進んでいきました。しかし、入職が近づくほど、Kさんの中の「人の死に直面するかもしれない」という不安が、再び強くなっていくようでした。

患者さんの死と向き合う看護師は、けっして無力ではない

Kさんは、看護師としてもう一度自分にできることをしたい、でも怖い、という2つの思いの間で揺れていました。

アドバイザーから「無理をして、戻らなくてもいいんですよ」とお伝えし、もう一度じっくりと考えていただくことに。事業所の方からも「心が決まってから来てもらいたい」と言ってもらえました。

3日後にKさんから電話があり、訪問看護に携わりたいけど、また何の力にもなれないかもしれないから自分には戻る資格がない気がする、と落ち込んでいる様子でした。

本気で悩まれているからこその言葉だと感じたので、以前、緩和ケアで働く看護師さんから聞いた、『患者さんから言われた言葉』をお伝えしました。

それは、「自分の死に向き合ってくれる人が、自分以外にいてくれてありがたい」という言葉です。

「ありがたい」とは、「有り難い」と書きます。「難しいこと」が「有る」。困難と一緒に乗り越えてくれた人に与えられる言葉なのだそうです。

人は、死の前では何も手出しはできないのかもしれません。それでも、患者さんの死に立ち会い、人の死に向き合う看護師はけっして無力ではないのです。

訪問看護ステーションで再び看護師として働く

Kさんは、「気持ちが揺れたらまた相談します」と約束し、訪問看護ステーションに入職されました。

その後、介護の必要な方や自宅療養の方などを中心に訪問看護に慣れていったKさん。最近はターミナルケアの方もいらっしゃったようですが、今のところ、相談のお電話はありません。きっと自分にできることを精一杯、がんばられているのでしょう。

人の死に立ち会うことには想像を越える辛さがあるのではないかと思います。

でも、あなたは無力ではありません。看護師として、患者さんのそばにいることこそ、“有り難い”チカラになれるのですから。

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転職成功のポイント

ここでは、看護師への復職を成功させるためのポイントをご紹介します。看護職に転職する際に大切にすべきことを確認しておきましょう。

復職にあたって不安なことを整理する

復職に自信がない場合は、不安に感じていることを整理してみてください。「患者さんの死に心を痛めた」「忙しさで体調を崩した」など、看護職を離れた理由は人それぞれです。不安に感じていることや、不安を感じる場面を自覚することで、転職活動がしやすくなるでしょう。前と同じような環境で働く自信がなければ、ほかの職場について調べて、自分に向いている職場を探すこともできます。また、転職先に不安を伝えて理解してもらえれば、働き始めてからサポートを受けられるかもしれません。

看護師としてやりたいことを整理する

復職に不安のあるときには、看護師に復帰したい理由を考えてみましょう。看護師としてやりたいことが明確になれば、仕事を続けるモチベーションにもつながります。コミュニケーションを大切にしていたKさんは、患者さん一人ひとりと密に関わることのできる訪問看護の仕事を選びました。やりたいことが見つかって、がんばって仕事をしています。
転職を成功させるためには、自分の考えを整理しておくことが大切です。志望動機が明確になると、転職先やエージェントにもやりたいことを伝えられるため、自分に合った職場を見つけることができるでしょう。

レバウェル看護に相談する

看護職を離れた人には、それぞれの事情があります。看護師として働くことに不安を感じていても、相談場所がない方もいるかと思います。看護師に復職するか迷っている方や、今の職場で続けていく自信のない看護師の方は、レバウェル看護に相談してみることをおすすめします。悩みを伝えたうえで転職活動ができれば、転職先のサポートも得られるため、1人で不安を抱え込まずにすみます。転職をするかまだ決まっていない方は、不安や悩みを話すだけでも大丈夫。まずは悩みを打ち明けたうえで、自分が納得できたら転職活動を進めると良いでしょう。レバウェル看護のサービスはすべて無料で利用できるので、お気軽にご相談ください。

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