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2014年09月09日

利用者の方に気づかせてもらったこと

今回ご紹介するEさんは、
65歳で看護師歴45年。
ノンストップで働き続けてきた
超ベテラン看護師さんです。

自分が働ける限界まで
医療業界に自分の知識を還元したい
と考えていたのですが、
定年退職をむかえ、
燃え尽き症候群になっていたそうです。

それでも身体は健康で、
身体に染み付いた夜勤サイクルが消えず、
3時間ごとに必ず目が覚めてしまうEさんは、
「このまま家にいるより働こうか思って」
とご登録くださったのでした。


Eさんはベテラン看護師さんですが、
特に勤務条件は希望されていませんでした。
しかし、
年齢と今までもらっていた高い給与額が影響し
難色を示す病院がほとんど。

そこで脳神経外科と精神科の経験が豊富で
認知症の看護も多く看てきたEさんに、
デイサービスのお仕事を提案してみました。

Eさんは二つ返事で面接へ進まれ、
デイサービス側もEさんを気に入り、
入職はとんとん拍子で決まりました。

それから数ヶ月後。
入職後もなんとなく
Eさんのことが気になっていました。

Eさんは問題なく勤務していると言うし、
事業所側も「Eさんはなくてはならない存在」とまで
言ってくれているのですが、
たまにご本人にお電話すると、
言葉や声のトーンから
Eさんが燃え尽き症候群から抜け出せていないのでは、
と感じていたのです。

しかし、私たちの仕事は転職の紹介をすること。
気になっていたとしても、
転職がうまくいっている限り
それ以上できることはありません。

それからさらに2ヵ月後のことでした。
Eさんの方からお電話をくださったのです。

Eさんは、デイサービスの仕事にも戸惑うこともなく、
今までの経験の中で淡々とこなしていたそうです。

けれど45年間の看護生活で感じていた情熱は
どうしても沸いてこなかったEさん。
「やはり病棟看護をするべきだったのかも」
と何度も思ったそうです。

そんなある日、
Eさんはいつもと同じように
起きる時間だから起き、
食べなきゃいけないからご飯を食べ、
出勤時間だから出かけるという
ぼんやりとした朝を過ごしていました。

施設で利用者が次々に来るのを迎えている時、
初めてデイサービスに来た認知症のおばあさんが、
Eさんの前でぴたっと止まり、
きらきらとした目でEさんの目をじっと覗き込み
その場から離れなくなりました。

Eさんはおばあさんの澄んだ目でじっと見られ、
とても緊張したそうです。

それから、おばあさんは「おはよう」と言って
顔全体を崩して、ニッコリと笑いました。

その瞬間、Eさんは前職を退職して以来、
自分がちゃんと心を持って
目の前の世界を見ていなかったということに
気付かれたのでした。

「本来なら看護師の私が
 利用者の方のことをしっかり見てなきゃいけなかったのに、
 利用者のおばあちゃんの方が私をしっかり見てくれて、
 そのことに気付かせてくれたんです!」

そう話すEさんの声は、
もう以前のどこか上の空な声とは違っていました。

“心に寄り添う看護”という言葉を
何年も看護師をやってきて、
改めて実感させられたというEさんは、
今後は、そこに力を入れていきたいと
話してくださいました。

「あの、私のこと、ずっと気にかけてくれてましたよね?」
と最後に言ってくださったEさん。
やはり、本来は視野の広い、
人の思いに気付ける看護師さんなのだと思いました。

Eさんはその後、
施設看護の面白さや多くの課題に気付かれ、
今でも精力的にお仕事をされています。

そのデイサービスでは70歳が定年ですが、
その後も、嘱託社員として働けることになったそうです。


私も求職者の方から
大切なこと、忘れていたことを
教えていただくことがあります。

それは
人を相手に仕事をするということの
すばらしさなのだと感じています。

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