腰痛でやむを得ず退職…看護師を続けるために選んだ転職先とは

2024.2.6

「医療現場から離れたくない」腰痛によって長年勤めた総合病院に退職した看護師護師 Aさん(34歳/女性)の場合

34歳のベテラン看護師Aさんは、腰痛で勤務が困難になり、長年勤めてきた総合病院を退職しました。腰痛でも負担なく働ける職場を探すため、内科系クリニックの日勤常勤をご希望。職場見学後、やはり腰痛を抱えながらでは無理そうと判断したAさんは、次は病院の外来を希望されました。Aさんには「いつか元の病院に戻るために医療現場から離れたくない」という強い思いがあったようです。より良い職場で働けるよう、アドバイザーがある提案をしました。

看護師に多い腰痛の悩み

医療現場の看護師さんたちから非常に多く聞かれるお悩みに「腰痛」があります。

日本看護協会によると仕事が原因で発生する腰痛は多くの業種で見られており、業務上の疾病の約6割も占めています。看護師の腰痛有訴率は約5割〜7割といわれていて、非常に高い率であることが医療現場の問題になっています。

2014年の日本看護協会の調査では、4割弱の病院が腰痛予防対策に組織的に取り組み、腰痛予防教育や、福祉機器などの使用、休憩、腰痛予防体操など、さまざまな対策を講じて問題改善に努めていることが分かりました。

看護師が最も腰痛を感じるケアは、体位交換、中腰での処置、移乗などといわれています。これに対しては、支持基底面を広くして重心を低くする、できる限り患者に近づく、てこの原理を応用する、膝の屈伸を利用して水平移動する、などのボディメカニクスを活用してのケアが推奨されています。

しかし実際の医療現場では、看護師一人で行う業務負担が非常に大きく、腰痛を発症してしまった看護師は、「日ごろの姿勢や運動に気をつける」「整体やマッサージに行く」「コルセットや痛み止めを使用する」などの対症療法で腰痛を緩和しながら働いているのが現状です。このように、看護師にとって腰痛は切り離すことのできないものであり、改善するには無理なく働ける職場へ転職することも必要といえるでしょう。

出典日本看護協会「重点政策2.専門職としてのキャリア継続の支援」(2023年3月13日)
日本看護協会「2014 年 「看護職の夜勤・交代制勤務ガイドライン」の普及等に関する実態調査」(2023年3月13日)

腰痛を気にして選べない職場

今回ご紹介する34歳のベテラン看護師のAさんも、腰痛を抱えての勤務が困難になってしまったため、長年勤めてきた愛着のある総合病院を退職。内科系クリニックの日勤常勤を探してご相談くださいました。

Aさんは職場見学を希望されたので、通勤範囲内の内科クリニックを2箇所ご紹介しました。しかしAさんはクリニック見学後、今度は病院の外来を探したいと希望されました。

見学した事業所は決してハードな職場ではないものの、長時間立つことになるクリニックだったようで、腰痛が再発する可能性がありました。また、中腰での対応や高齢の患者さまの車椅子の移乗など、腰に負担のかかる業務が避けられない職場であることが現場を見て分かったようです。

Aさんは、腰痛が避けられないのなら、スタッフが少ないクリニックよりは交替のきく病院の外来がいいと考えたのでした。

「いつか元の病院に戻るためにも、医療の現場を離れたくないんです」とおっしゃるAさん。
そこで、より良い職場を検討するために、Aさんに腰痛の症状と経過を詳しくお聞きしてみました。

長年勤めてきた病院を腰痛で退職した経緯

元の総合病院でAさんが最初に勤務した内科病棟は、慢性疾患の高齢者が多かったため、Aさんは1年目から腰痛を発症してしまいました。人間関係が良くやりがいもあって、職場は気に入っていたのですが、症状は年々悪化。3年前には休職して、腰椎ヘルニアの手術を受けたそうです。

仲間に励まされて職場復帰したAさんは、腰への負担を減らすため外来に異動しましたが、腰痛は完治せず、欠勤を繰り返すようになりました。看護部長さんから「今は腰痛を治しなさい」と怒られて、Aさんはやむなく退職してしまったのです。
今でもAさんは、疲労がたまったり無理な姿勢が続くと、腰痛や足のしびれで数日間動けなくなるそうです。

腰痛があっても働ける職場で症状の改善を優先しませんか?

今回Aさんの腰痛が再発してしまったことは残念ですが、いつか元の病院に戻ることを目標に、「今は腰痛を改善することを優先する」と考えて、職場を探し直すことをご提案しました。

「腰痛があっても大丈夫な職場なんてあるんですか?」とおっしゃるAさんに、普段からお付き合いのあるデイサービスセンターをご提案しました。
そこは自立度の高い高齢者を対象とするデイケア施設です。業務内容はバイタルチェックや服薬管理、健康記録などがメインで、移乗などの介護業務は介護職が行うため、体への負担はほぼありません。

看護師の仕事でも体への負担が少ない職場はある

Aさんの気持ちを切り替えることができたので、デイケア施設での面接にご同行しました。施設の和気あいあいとした活動にAさんは好印象を持ち、スムーズに入職が決定しました。

1ヶ月後にお電話で様子を伺うと、Aさんは楽しく勤務できているご様子でした。また、就業後に通院することで腰痛も軽減してきたとのこと。
「施設同士の交流会や、高齢者看護の勉強会もあるんですよ」と、嬉しそうにおっしゃるAさん。体調が安定してきたら、ゆくゆくは元の病院の訪問看護に携わりたい、と、意欲的にお話されていました。
腰痛でやむなく退職し、新しい職場を探す看護師さんは多くいらっしゃいます。腰痛を抱えながらの転職活動は、「希望する勤務条件は叶う?」「どのような職場なら働ける?」と不安を感じやすいものです。まずは体の調子を改善することを優先して、状況に応じた働き方を考えることで、前向きな転職につなげることができるでしょう。

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転職成功のポイント

ここでは、体調不良をはじめやむを得ない事情で退職した方が、転職活動をする際のポイントをご紹介します。自身の状況や希望に合った職場を見つけるためにはどのように考えれば良いのか、以下で確認しておきましょう。

今の症状が仕事に与える影響を整理してみる

腰痛など自身の体調によって仕事に支障が出る可能性がある場合、どのような問題や制約が生じるのかを整理してみましょう。すでに退職している場合は続けられなくなった理由、前職で起こった問題や困っていたことなどを整理してみるのも有効です。
腰痛の悪化で退職した今回のAさんの場合、疲労の蓄積や長い時間の無理な姿勢により、腰痛や足のしびれで数日間動けなくなるという症状がありました。その結果、欠勤を繰り返すという影響が出ていました。
自身の今の状況を深く理解することで、次の転職先はどのような職場が合っているのかが判断しやすくなります。

自分に合った働き方ができる職場を考えてみる

次に今の自分に「できること・できないこと」を整理して、避けなくてはいけない条件や改善のために実施しなくてはいけないこと、そのために必要な対応など、働くための条件を洗い出してみましょう。
Aさんの例を参考にすると、長時間の立ち仕事や中腰での対応、車いすの移動などが避けたいことでした。また疲労の蓄積を防ぐためにこまめに休みが取れる環境、通院する時間が確保できる勤務時間という条件も入ってきます。
条件を明確にしていくことで探したい職場が絞れてきます。

レバウェル看護に相談する

働ける職場のイメージができたら、その条件に合った職場を探していきます。通える地域から少しでも働きやすい職場を探すためにレバウェル看護に相談してみませんか?また「こんな条件の職場は本当にあるの」と不安な方も是非ご相談ください。
レバウェル看護では看護師の職場に精通したアドバイザーが、現状や希望条件を丁寧にヒアリングしたうえで、続けられそうな職場をご紹介しています。応募先の職場の仕事内容や勤務形態、雰囲気なども詳しくお伝えすることができるので、実際に働いた場合どんなことが問題になりそうかを一緒に考えて対策していくことも可能です。
サービスはすべて無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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