実習中のセクハラが原因で総合病院への就職が怖い…新卒看護師が出した答え

2023.12.15

病院の広いロビーのイメージ

「すでに決まっている総合病院への転職をキャンセルして産婦人科クリニックへ就職したい」看護学生のFさん(22歳/女性)の場合

看護学校卒業前に決まっていた付属の総合病院への就職をキャンセルし、産婦人科クリニックの求人を探していたFさん。産婦人科クリニックを希望する理由をよく聞くと、「臨床実習中に受けたセクハラが原因で男性と話そうとすると言葉が出なくなってしまった」とのこと。総合病院でのセクハラが原因で、Fさんは男性患者さんや男性職員が少ない産婦人科クリニックの求人を探して、相談してくれたのでした。

総合病院への就職をキャンセルして産婦人科クリニックに勤めたい

医療現場の人間関係の中では、さまざまな問題が起こります。1人では解決できない時、あなたは誰かに相談できますか?1人で悩み続けるのは、とても苦しいことではないでしょうか。

22歳の新卒の看護師Fさんは、看護学校卒業前に決まっていた付属の総合病院への就職をキャンセルし、産婦人科クリニックを探してご相談くださいました。

産婦人科に対する特別な思いがあるのだろうと思い、Fさんに志望理由を伺うと、「赤ちゃんが好きなので」と、小さな声で一言おっしゃいました。元気が無いことが気になりましたが、通勤範囲内で事業所を探しました。

しかし、クリニックはどこも経験者を求めていて、新卒のFさんの就職先が見つかりません。総合病院の産婦人科をおすすめすると、「総合病院は、ちょっと…」と言ってFさんは黙ってしまいました。

何か言いたそうにしながらも、うまくお話できないご様子だったので、「メールでも結構ですから、お気軽にご連絡くださいね」とお話し、お電話を終えました。

その2週間後、Fさんからいただいたメールには「私は病院から逃げたかったんです」という言葉が。さらに続く話に、私は衝撃を受けました。

臨床実習中に受けたセクハラが原因で総合病院への就職が怖い

Fさんは、付属の総合病院の臨床実習中に、患者さんから度重なるセクハラを受けていたとのことでした。関わり方を工夫しても改善せず、1人で悩みつづけた末、男性と話そうとすると言葉が出なくなってしまったそうです。

そのためFさんは、男性患者さんや男性職員が多い病院を避け、女性患者ばかりで医療スタッフの少ない産婦人科クリニックへの就職を考えたのです。

しかし、アドバイザーの私が男性だったため、うまく話せなくなってしまったFさん。「こんなことで悩む私は、看護師失格ですね」という自責の言葉に、私は胸を突かれる思いがしました。

セクハラに悩む看護師は少なくない

医療機関において看護師が、患者さんやご家族からセクハラ(セクシャルハラスメント)・精神的暴力・身体的暴力を受けるケースは少なくないようです。待ち時間が長いことや病気に対する不安、認知症などの疾患が原因となることもあり、医療機関は一般企業と比べてセクハラなどの被害にあいやすい環境だともいえます。

看護協会でも医療機関内のセクハラや暴力などを問題視しており、ガイドラインを作成するなどの対策を行っていますが、十分に浸透しているとはいえないようです。「看護職だから仕方がない」で片付けられてしまうことも多く、誰にも相談できずに悩む看護師さんもいます。

セクハラや暴力が発生したときは1人で対応しようとせず、相談したり応援を呼んだりすることが大切。改善が見られない場合は、ストレスなどで心身に不調が出る前に、異動や転職に向けて動くようにしましょう。

出典
日本看護協会「医療現場での暴力対策」(2023年12月4日)

悩みを話すことで本当の気持ちにたどり着けた

私はすぐにFさんに返信し、辛い思いを打ち明けてくださったことに感謝し、「職場探しは焦らなくても良いんですよ」とお伝えしました。

それからしばらくはメールで連絡を取り、不安な気持ちをお聞きするように心がけました。するとFさんから少しずつ、「少し気持ちが落ち着きました」「看護師の仕事は好きなんです」など、前向きな言葉が聞かれるようになりました。

またFさんは私と対話することで、男性への苦手意識が薄らいだとのことで、「総合病院で探したいです」と転職の意思を伝えてくださいました。

早速病院を探して3箇所面接した結果、全ての病院から内定をいただき、プリセプター制度のある急性期病院に就職を決めました。

Fさんが悩みと向き合いながら、ついにたどり着いたスタート地点です。「良かったですね」と言うと、Fさんはしっかりした声で「本当は女性の担当者がいいと思っていたけど、あなたで良かったです。ありがとうごさいました」と言ってくださり、思わず目頭が熱くなりました。

どうしようも出来ないことがあるときに、どうかご自分を責めないでください。誰かに話すことで、新しい可能性が見えてくるかもしれません。

ご相談だけでも大丈夫です。いつでもお待ちしています。

誰かに聞いて欲しい悩みはありませんか

お悩み解決のポイント

セクハラ・精神的暴力・身体的暴力などを受けると、「仕事に集中できなくなる」「仕事に行くのが苦痛に感じる」などの不調を感じるようになります。セクハラなどに悩んでいる方は、心身に不調が出るまでに転職や異動などをして環境を変えましょう。
ここでは、職場でのセクハラ・暴力などが原因で、転職を検討している方に向けてお悩み解決のポイントを紹介します。

誰かに相談する

まずは、悩みを一人で抱え込まないことが大切です。上司などの信頼できる身近な人に相談してみましょう。病院によっては、相談窓口を設置しているところもあるので、状況に合わせて相談する人や場所を検討してみてください。相手が患者さんの場合、指導をしたり担当を変えたりしてくれるなどの、対応をしてくれるはずです。
また、今回の相談者さんのように悩みを誰かに話すことで、気持ちが落ち着くこともあります。

本当の気持ちを見つめなおす

精神的にダメージを受けた状態では、「看護師として本当にやりたいこと」を見失っている可能性があります。セクハラなどが原因で転職する際は、「看護師としてやりたいことは何か」に向き合うことも大切です。

今回の相談例の場合、産婦人科クリニックを希望した本当の理由は、男性の方と接するのを恐れたからで、「看護師としてやりたいこと」ではありませんでした。自分の本当の気持ちを見失ったまま転職をしてしまうと、働き方に違和感を感じ、早期退職の原因となってしまうことも。焦って転職しようとはせず、気持ちが落ち着いてから転職先を探すことをおすすめします。

レバウェル看護に相談する

「次の職場でもセクハラを受けるのでは…」といった不安を抱えている方は、看護師の転職に詳しい「レバウェル看護」にご相談ください。レバウェル看護のアドバイザーが、セクハラや暴力に対する対応を把握したうえで、あなたの希望に合った職場をご提案いたします。求人票やホームページにも記載されていない情報を知ったうえで転職先を選べるので、安心して転職活動を進められるでしょう。サービスはすべて無料。Lineでの相談も可能なので、お気軽にお問い合わせください。

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