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2016年03月08日

震災後に土地を離れて

40歳准看護師Mさんは、
関東の療養病院やリハビリ病院で
11年ほど勤務した後、
未婚で出産されるために、
ご実家のある福島県に戻られました。

その後、腰をすえて働こうと
一般病院に勤務しましたが、
2年もたたないうちに東北大震災が発生。

お子さまの健康を守るため、
学生の頃に暮らしていた兵庫県へ転居されました。

「生活費を稼ぐため、すぐに就ける仕事を」
とハローワークへ行ったMさんは、
育児と両立が可能な一般病院の日勤常勤を勧められ、
そのまま、十分に職場の詳細も分からぬままご入職されました。

しかし、生活が落ち着いてくると、
給与の低さから将来が不安になったMさん。
Wワークも考えましたが、
結局、お子さまとの時間を考え、
転職しようとご相談くださったのです。


Mさんとお話して気になった点がひとつありました。
それは、今より良い条件の職場を希望することに、
どこか引け目を感じているような言動でした。

「子どものためにもっと収入アップを」と願う一方で、
「こんなこと言うなんて贅沢ですよね」と
どこかご自身を責めているようなところが
幾度も見受けられたのです。

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日本看護協会の発表によると、
2011年に発生した福島県での震災の影響を受けて
離職した看護師は53.8%となり、
その後、看護師不足は深刻な問題となっています。

しかし、小さなお子さまを抱える看護師の中には、
子どもの将来への不明確な影響を心配し、
やむを得ず土地を離れる方も多くいらっしゃいます。

こうして東北を離れた看護師の中には、
「地域医療に貢献できなかった」という
後ろめたさが今だに消えず、
苦しんでいるケースもあるのです。

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私は当時関西におりましたので
直接的には東北大震災の影響を受けませんでした。
しかし、子どもの頃、似たような感情が
自分のまわりの大人たちを包んでいた記憶がありました。
阪神大震災の後のことです。

私は、Mさんをどうにか元気付けたいと思いましたが、
情けないことに、言葉を見つけることができませんでした。
そこで、とにかくMさんにいい求人を紹介できるよう
准看護師、日勤常勤で
給与が上がる求人を探すことにしました。

エリアや時期的な問題がありましたが、
交渉の上、やっと条件に合う求人が見つかりました。
大手法人のクリニックで、
職員同士の雰囲気もとても良いところです。
ただネックとして、Mさんのご自宅から
自転車で35分かかる場所にありました。

Mさんは通勤時間は気になるけれど、
とにかく面接を受けたいとご希望されたので、
そのクリニックを訪問していただくことに。

するとMさんから
遠くても給与は上がるし、
何より雰囲気がとても気に入ったと
ご連絡をいただき、その後入職が決定しました。

入職後に、
「福島の前の職場も今の病院と同じ、
地域密着系の病院で、
患者さんとの距離が近かったんですよ…」
とおっしゃっていたのが印象的でした。

結局最後まで、
Mさんをどう励ましたらよいのか、
私には言葉がみつかりませんでした。

でも、最近、Mさんのことを考えていて
思い出したことがあります。

子どもの頃、ニュースで見たのか、
誰かに聞いた話かは思い出せないのですが、
阪神の震災の時、がれきの下にいた女性が、
外で心配する家族に向けて
「できなかったことを悔やむより、今何ができるかを考えてね」
と発した言葉です。


震災をきっかけに
土地に残った看護師も、離れた看護師も、
それぞれに抱える悩みや心の痛みがあります。

現在は、災害時に対応できる医療チームができ、
DMATの看護師の数も増えています。

人々が困難な時、支えとなってくれる看護師さんですが、
その看護師さんも一人の人間です。
どんな選択をされてもいいのだと思います。

私は何も言うことができませんでしたが、
Mさんがどうか、
お子さんのために選んだ道を
堂々と歩んでいかれることを
心から願っております。

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