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2013年01月31日

鬱病からの現場復帰

2011年の調査で病気による長期休暇を取っている看護師さんのうち、
メンタルヘスルが原因の方が3分の1をしめていることがわかりました。

鬱病という名はだいぶ世間の知れたところとなり、
病気としての認識はある程度は広がったかと思います。
しかし、症状への理解や鬱の人との接し方などについては
まだわからないという人が多いのではないかと感じております。
医療関係者の間でさえ、それは例外ではないようです。

26歳のFさんは、新卒で国立の病院に入り、
急性期病棟で4年間勤務してきた看護師さんでした。

常に患者さんの入れ替わりが激しい忙しい病棟でしたが、
懸命に仕事を覚えて、気づくと中堅の立場になっており、
先輩と新人の板ばさみ状態の中での激務が続いていたそうです。

そして、Fさんは鬱病となり、長期療養を余儀なくされたのでした。

Fさんは真面目で責任感が強く、周囲の人のことに気遣いできる人です。
アドバイザーの私にさえも、会話の端々に非常に細かい気遣いが感じられました。

そして、「できない」とか「無理」という言葉をあまり使わない方なのです。

転職では、以前の職場で辛い経験や不満などから、
それらをできるだけ避けた条件の病院を探そうとするものです。
しかし、Fさんはこちらがご提案すると、それに対する反論が特にないのです。

これはFさんのふたつの心情のが現れだと思います。

ひとつは、Fさんが「人から言われたことにNOと言えない」と言うことです。NOと言えないFさんは、どんどん人から頼みごとをされ、
必死でそれに応えようとしてしまい、
結果的にFさんの身体が悲鳴を上げ、鬱病になってしまったのでしょう。
鬱は無理しすぎた自分からのサインだったのです。

もうひとつは、鬱病からやっと“社会に復帰しよう”と思えるようになったものの、具体的に自分が「どの程度の仕事が可能」で
「どのくらいの無理をするとダメなのか」ということが、ご本人にも見えていないと言うことです。

でも、人に迷惑をかけることが苦手なFさんは、
「曖昧なことをアドバイザーに言っては悪いから」と
またしても気遣いし、不安を口にすることができなかったのです。

だけど、

“一緒に悩むこと”が私たちの仕事なのです。

だから、私に仕事をさせて下さい。
見えない未来を一緒に悩み、探させて下さい、とお話ししました。

Fさんとは、いろんな形態の病院でどんな働き方が可能なのか、
そこでFさんが働いたと仮定した場合、どんな問題が出てくる可能性があって、どう対処できるのか、できないのかなど、
具体的にひとつひとつ仮説を立て、二人でイメージして考えて行きました。

話していく中でFさんと一緒に気づけたこともありました。
それは「病院側が受け入れてくれるのか」という不安の前に、
まずFさんが“鬱病だった自分自身を引け目に捉えている”ということでした。

鬱病はサボりではありません。悪いことでもありません。
鬱病になった人は根性のない人でもありません。

責任感が強く、一生懸命で、自分でなんとかしようと長く誰にも言わずに頑張った結果、我慢が過ぎて、身体が耐えられなくなってしまったのです。

もちろんよくない目で見る人は未だにいます。
でも、自分だけは自分の味方になってあげて欲しいのです。

鬱病は“自分を見つめてあげて”という自分からのメッセージです。
そのメッセージを無視したり、なかったことにしようとしたりしては、
せっかく現場復帰しようと思っても、また病に戻ってしまうかもしれません。

せっかく心の叫びに気づくことができたのですから、
その声に耳を傾けながら生きていく、と思って欲しいのです。

それに病いと向き合ってきた苦しみは、
患者さんの気持ちに寄り添える力となり、決して無駄ではないのですよ。

お話をする中で、Fさんは少しずつ自分を受け入れながら、
「無理しなくてもいいんだ」という気持ちになっていきました。

じっくり話し合った結果、Fさんが再出発の始めの一歩に選んだのは、
今までのキャリアの延長線上にあって、
でも、心と身体に無理な負担をかけ過ぎない程度の勤務の可能な、
急性期寄りの有床クリニックでした。
規模は小さめで、働いている人のアットホームが患者さんにも評判のクリニックです。

クリニックには、Fさんの経歴と鬱病のこと、現状と不安、
それでも看護をしたいという意欲、
そして、真面目で勤勉な性格などをしっかりお伝えしました。

クリニックの先生からは、
過去にも持病を持ちながらも長く勤めた看護師さんがいたので、
無理せずに始めは勤務日数や時間を少な目で、
体調を見ながら少しずつ増やしていけばいい、と言って頂けました。
Fさんは、不安はあるけれど、一歩踏み出せた自分に安心したようでした。

鬱病は目に見える病気ではありませんし、本人が自覚するのに時間がかかり、
自覚した時点ではかなり状況が悪いこともあります。

でも、多くの看護師さんが現場復帰をしています。
決して無理なことではないのですよ。

自分でどのくらい働けるか、どんな病院がいいのか、
まったく見えていなくても大丈夫ですので、何でも相談して下さい。

人は「助けて」と頼られると嬉しい生き物です。
あなたも患者さんから「ありがとう」と言われたら嬉しいですよね。
だから、甘えることを迷惑だと思わないで下さい。
いくらだって迷惑をかけてもいいんですよ。

そして、あなたが元気になれた時は、
誰かに助けてもらった暖かさを、他の誰かに返してあげて下さいね。

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