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2013年01月31日

働いてみなければ気づけないこと

人には「相性」というものがあります。
どんなにいい人でも自分との「相性」がよくなければ、
友人になったり、恋人に発展したりすることはありませんよね。

同じように職場にも「相性」があります。
しかし、「相性」は実際に関わってみないとわからないものです。


Iさんは新卒の時、珍しい症例などを数多く扱う
マスコミでも何度も取り上げられている有名な病院へと就職しました。

最新鋭の機器と最先端の医療技術。
その病院なら多くのことを学べて、
難病に苦しむ患者さんの役に立てるに違いない。
そう思い働き始めたIさん。

始めはとにかく仕事を覚えるのに必死で、
あっという間に時間が過ぎていったそうです。

2年が過ぎ、仕事にも慣れましたが、
1年目よりハードになったと感じているIさん。
残業はほぼ毎日、3、4時間は当たり前。
深夜勤での休憩は20分取れればましな方というハードさ。
休みも思うように取れないことも多いのだそうです。

それでも他の病院では扱えないすごい経験をしているのだ、
そう思い必死に頑張ってきました。

3年目の半ば頃、疲れが出たのか、
Iさんは体調を崩して4日間も休むはめに。
最初は自分が休んだせいで迷惑がかかっていないかと
寝ていても病院のことばかり考えていたIさん。

熱が引いた4日目にちょうど看護学校時代の友人から電話がきました。
久しぶりに病院以外の友人と話し、リラックスできたIさんですが、
友人から「いい病院で働けてうらやましい」と言われ、
その時、初めて、自分が今の仕事に
“やりがい”を感じていないことに気づいたのだそうです。

「人から見ると私はいい病院でいい条件で仕事しているのに、
 “やりがい”を感じてないなんて、贅沢ですよね」

心のモヤモヤを、周囲の誰にも話せなかったIさんは、
お悩み相談集を見て、お電話を下さったのでした。

せっかくの機会ですので、Iさんにとっての“やりがい”とは何か、
一緒に考えてみましょう、とご提案しました。

Iさんは今の病院の話や看護学校のことなどを話して下さいました。

Iさんには看護師の叔母さんがいて、幼い頃よく、
おばさんのいる病院に予防注射に行ったそうです。
その時、ナース服をきた叔母さんに憧れて、
看護師を目指されたということでした。

「“ありがとうと言われる看護師さんになりたい”
 子供っぽいですけど、それが夢だったんです」

Iさんにとっての“やりがい”はそれではないのかと言うと、
Iさんもご自信で納得されたようでした。

Iさんは、今の忙しい職場の中でも
「ありがとう」と言われるような看護を
もう一度見つめ直します、とおっしゃいました。


私たちは、無理に転職を勧めることはありません。
その人にとって本当に必要な転職でなければ、
転職される方にとっても、
転職先の病院にとってもいいことはあまりないからです。

今回はIさんのお話を聞くだけにしようと思いました。
Iさんの中で何かが解決されて、また頑張ることができるのならば、
それで良いと思ったからでした。

しかし、それから3週間ほどしてIさんから再び連絡を頂きました。
なんだか元気のないIさんにお話を聞くと、
深夜にナースコールがなったのに、
救急対応中でかなり長い時間、患者さんのところへ行けず、
患者さんから強いお叱りを受けたというのです。

「ありがとう」を言われるどころか、
「こんな病院、二度と来ない」と言われてしまったそうです。

“患者さんとしっかり向き合いたい”
そう強く願っているIさんを知っていたので、
電話越しでもIさんの悔しさ、自分を責める気持ちが
ひしひしと伝わってきました。

そこで今回は「転職という選択肢もある」とお話させて頂きました。

転職しない道、転職するとしたらどんな場所がいいのか、
Iさんの忙しい合間を縫って、電話で何度も話し合いました。

最終的にIさんは
60床の療養型病棟がある小規模病院への転職を決められました。

新人の自分を育ててくれた病院だから、と
3年目の節目まではしっかりと前の病院で仕事をしてから、
新しい病院へと移られたIさん。

現在は、日々、入れ替わりの激しかった以前の病棟とは違い、
担当するすべての患者さんに毎日、話しかけ、状態を把握できる
“患者さんとじっくり向き合う看護”ができているそうです。

「患者さんたちからあだ名で呼ばれているんですよ」
とIさんはとても嬉しそうに話してくれました。


最新鋭の技術と機器のある病院もとても必要な存在だと思います。
でも、同じように地域に密着した小さな病院もとても大切な存在です。
どちらがすごいとか、そこで頑張れないからダメということはないのです。

患者さんが自分に合った病院を選ぶように、
働く人にも相性というものがあると思います。

Iさんも、はじめから長期療養型の病院にいたら、
そこで働けることの喜びに、今ほどには気づけなかったかもしれません。

働いてみたからわかること、というのは少なからずあると思います。
相性が合わない場所でも頑張っていた時間は
自分を知る大事な時間だったのです。

Iさんが今までの経験を糧に、
“今の思い”を忘れずに看護していけるといいな、と思っています。

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