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2013年04月09日

性別を越えて理解のある職場へ

不機嫌そうに飲食店の店員さんに
文句を言っていたお客さんが、
店員さんとコミュニケーションを取っていくうちに、
次第に笑顔になっていく・・・・・・。
そういう光景を見たことありませんか?

制服を着ている人に対しては
「役割」として見ているので文句を言うけど、
でも、個人的に話してみると
「一人の人」として向き合うことができるんですよね。

看護師のみなさんも、ナース服を着ていることで、
無理な要求をされることもあれば、
個人的に仲良くなって、人として付き合えた経験も
お持ちなのではないでしょうか。


Hさんは、32歳。
性同一性障害の診断を受け、
女性から男性への性転換手術を受けた方です。

Hさんは経験豊富な看護師さんですが、
ただ「性同一性障害」というだけで、
書類の時点で、なかなか転職先を
見つけられずにいらした方でした。

Hさんは、物静かですが、とても芯が通っている感じで、
よくしゃべりすぎると言われる私にはうらやましいなと思うほど、
落ちついた雰囲気の方でした。

新しい介護施設の立ち上げに誘われ、
10年勤めていたクリニックを退職し、
オープニングスタッフとして入職されたHさん。

しかし、そこでの仕事は予想以上の激務。
24時間当直は当たり前。
休みは月に2日しかもらえず、
そのわずかな休日にも、他のスタッフから質問の電話がきたり、
普段することのできない書類の作成をしたりなどで、
結局、本当の休日というものは取れなかったそうです。

このままでは身体を壊してしまう、そう思ったものの、
多忙すぎるHさんにはご自身で転職活動する時間もなく、
今回、ご相談下さったのでした。

お電話できる時間も深夜のみのHさんに、
とにかくご希望をお伺いしました。

すると今まで性同一性障害というだけで、
多くの偏見を受けてきたHさんは、
「とにかく理解のある職場」を第一条件に
転居してもいいので探して欲しいとのことでした。


性同一性障害を認めてくれる病院であるかを、
通常は病院側に確認することはありません。

それは年齢や性別、経歴と同じ
その人を成り立たせている要素のひとつなので、
書類上で判断されることではありません。

あくまでも、通常の面接でその人と話をして、
その方を採用するかを判断して頂きたいのです。

今までも、実際に面接でお話して頂き、
その後、採用のご連絡を頂いて、
今もその病院で活躍されている方もいらっしゃいます。

しかし、今回は、本人がまず、
「そこを第一に確認して欲しい」とのことでしたので、
性同一性障害であることをお話した上で、
ご紹介可能な病院を探すことになりました。

保守的な考え方で断られる事業所が何件もありました。
Hさんは経験もあり、人間的にも素晴らしい方です。
会いもしないで判断されることが
こんなにも多いのだとは思っていなかったので、
正直、私は悔しくてたまりませんでした。

そんな中、
「うちの法人であれば絶対に大丈夫ですよ」
と自信を持って言って下さる人事の方が現われました。

その人事の方によると、
〝性別も含め、出身や信条、身体的特長などに
偏見を持たない、差別しない〟
という方針を院長が持っていて、
その考えが全職員に浸透している病院だというのです。

やっとHさんにいい病院が紹介できると、
本当に嬉しく思いました。

しかし、まだ問題がありました。

Hさんは極端に休みが少なく、
ご自宅もかなり交通の便が悪い場所にあり、
なかなか面接の予定を組むことが難しかったのです。

そんなHさんの事情を知った人事の方が、
わざわざHさんの住む町まで
面接に来てくださるとおっしゃって下さいました。

そこまでしてくれる事業所なら、とHさんは心を動かされ、
その病院に貢献したいという思いで面接に望むことができました。

Hさんは無事に、
県庁所在地にある一般病院への入職を決められました。

面接の時に始めて、
Hさんと実際にお会いすることができたのですが、
ずっと物静かだったHさんが、
病院の人事の方と私に、
「自分を理解して、動いて頂き、本当に有難うございます!」
と大きな声で言われたのが、とても印象的でした。


〝「看護師」と「事業所」ではなく、「人」と「人」とを繋ぎたい〟

そう強く思わせて頂いた出来事でした。

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