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2013年04月16日

印象に残る患者さん

35歳のAさんは、
看護師の資格も、経験もありながら、
不動産の営業の仕事をしていらっしゃる方でした。

新卒から総合病院を3つ転職し、計10年頑張ったAさん。
ですが、どの病院でもハードワークによる過労で、
体調を崩し、退職を余儀なくされてきたため、
3度目の転職では、看護師からしばらく離れることにしたのです。

不動産の営業になって3年。
体調を崩すようなことはなく、
それなりに楽しくお仕事をされてきたAさんですが、
「やっぱり看護の仕事がしたい」と思い出すことが
起きたのだそうです。

それは、部屋探しを担当したお客さんが、
ある印象に残る患者さんにとても似ていたからでした。

Aさんがまだ新人ナースだった頃、
忙しさの中、教育もろくに受けられないまま、
ある患者さんの担当をさせられたことがあったそうです。

その方は病棟の中でも、
とくに苦情が多いと有名な患者さんでした。

Aさんは、とにかく必死に言われるがまま
患者さんの世話をしましたが、
何しろまだ経験が浅く、要領が悪いので、
何度もその方に怒られ、
看護師長を呼びつけられることもあったそうです。

人気のない場所でよく泣いていたAさん。

それでもAさんが頑張れたのは、
同部屋にいた脚を切断された女性患者さんの
おかげだったそうです。

その方は畑で耕運機をバックさせる際に、
転んでしまい、脚を巻き込まれてしまった患者さんでした。
脚を失うなど想像を絶する辛い思いをされているのに、
いつも穏やかで、ナースが何かをするたびに、
「ありがとう」と言ってくれたそうです。

その方の「ありがとう」に支えられ、
苦情の多かった患者さんを無事、送り出すことができたAさんは、
看護師としての自信が少しついたそうです。


その女性に似たお客さんの部屋探しを手伝ったAさんは、
最後にお客さんに「ありがとう」と言われ、
あの頃の決意を思い出したのです。

〝足がなくなったというのに、
こんなに心強く生きている人がいる。
自分は看護師資格を取り、
専門的に人を支えることができるのだ。
看護師として、
彼女のように、人に暖かさを与えたい〟


しかし、Aさんはその後、10年間、
「無理をすること」と「頑張ること」を取り違えて、
無理をしながら勤務を続け、
とうとう体調を崩し、看護師を辞めたのでした。

「もう一度、看護師として、人を支えたい」というAさんに、
私は無理のない勤務をすることを進めました。

そして、夜勤回数が少なく、
残業もほとんどない病院を紹介しました。
Aさんはブランクのことも気にされていたので、
プリセプターのつく総合病院での勤務です。

しかし、Aさんのお母さんが看護師への復職を不安がり、
Aさんは、面接をキャンセルされまれした。

私は、Aさんの看護師への思いをお伺いしていましたし、
このままあきらめては、Aさんが後悔されるのでは、
と思いました。

そこで、
「転職はしなくてもいいです。
 でも、面接に行き、病院を見て話を聞くだけでも、
違うのではないですか?」と言いました。

何もせずに看護師への転職をあきらめるより、
することはしてからあきらめる方が、
後悔せずに済むと思ったからでした。

ところが、いざ面接に行くと、
Aさんも、病院の担当者の方も、互いに好印象で、
入職の話はトントン拍子に決まったのです。

Aさんは「やっぱり病院の空気は気が引き締まる」、
とおっしゃっていました。

無理のない勤務条件を聞いたAさんのお母さんも、
了承して下さいました。
Aさんのイキイキした笑顔が嬉しかったのかもしれません。


現在、Aさんはプリセプターがついて、
研修の日々を送っています。

体調は大丈夫ですか、とお伺いすると、
力仕事はまだ慣れないものの、
やっぱりやりがいを感じているのだそうです。


あの、Aさんを支えてくれた患者さんの存在は、
きっと生涯Aさんの支えとなることでしょう。

時々、看護師さんたちから、
そういった患者さんの存在をお聞きすることがあります。

看護師でいるからこそ経験できる出会いや感謝の言葉。
他の職業では味わえない、看護師という職業の魅力
なのかもしれませんね。

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