深部静脈血栓症の患者さんの観察項目に足背動脈触知があるのはなぜ?

質問したいこと

深部静脈血栓症の患者さんの観察項目に、足背動脈触知があります。静脈の病気なのになぜ、動脈が触れるかを観察するのかがわかりません。ASOならわかりますが...。以前、先生に聞いたことがあるのですが、面倒くさそうに流されました。調べてもわからないので教えてください。

ひとこと回答

深部静脈血栓症の観察で、足背動脈触知をするエビデンスは見つけられませんでした。足背動脈触知は必要がないという意見も散見するため、深部静脈血栓症になった患者さんの観察としては不適切かもしれません。しかし、足背動脈触知不良になった患者さんに、閉塞性動脈硬化症を疑ったが結果として深部静脈血栓症を発見し早期治療ができた報告もあります。このことからも、深部静脈血栓症を起こした患者さんの場合は再発する可能性もあるため、足背動脈触知という観察で異常の早期発見が可能であればするべきだと考えます。

詳しく説明すると

こんにちは。私は、脳神経外科病棟で勤務している看護師です。脳神経外科病棟では、脳血管障害の患者さんが病気を発症後、寝たきりの状態や術後安静期間が長期化し、弾性ストッキングを装着していても深部静脈血栓症になることがあります。
質問者さんと同様の疑問を持ったことがあったため調べたことがありました。深部静脈血栓症について一緒に勉強してみましょう。

深部静脈血栓症とは?


初めに知っておく必要があるのが、深部静脈血栓症についてです。深部静脈血栓症とは、どのような状態でしょうか?

ガイドラインの定義によると、「四肢の静脈には筋膜より浅い表在静脈と深い深部静脈 があり,急性の静脈血栓症は深部静脈の深部静脈血栓症 と表在静脈の血栓性静脈炎を区別する.深部静脈血栓症 は,発生部位(頸部・上肢静脈,上大静脈,下大静脈, 骨盤・下肢静脈)により症状が異なる.欧米では,発生頻度の高い下肢の深部静脈に発生するものを深部静脈血栓症としている。」とされています。

深部静脈血栓症はなぜ起きるのか?


深部静脈血栓症の発症には、多くの因子があります。高齢であったり長期の座位や臥床、または災害時といった背景的な因子、下肢骨折や脊髄損傷、麻痺、悪性腫瘍等といった病気、脱水や肥満といった患者さんの体質による患者さんの因子、長時間の手術や術後管理による治療による因子があります。これらの因子が複数重なり合うことで、深部静脈血栓症が発症します。

深部静脈血栓症は、長時間同一体位を取った際に、心臓より遠位にある下肢血流の速度が低下し滞留することで血栓を形成し、細い静脈が血栓によって詰まることがあります。その結果、静脈炎を起こしたり、発熱や腫脹、発赤、疼痛等が出現した状態になります。

深部静脈血栓症の患者さんに足背動脈を触知する意味とは?


質問者さんの言う通り、ASO(閉塞性動脈硬化症)の患者さんと違って閉塞している血管が異なります。ASOの患者さんの場合は、動脈の狭窄を早期発見することが重要になってきます。そのため、足背動脈や膝窩動脈の触知は疾患を観察していくうえで重要な点だといえます。

しかし、深部静脈血栓症ではどうでしょうか?狭窄または閉塞しているのは静脈であることから、足背動脈の触知は意味を成しません。そのため、動脈触知は必要ないと考えます。動脈触知を実施するのであれば、ホーマンズ徴候をしっかり観察し、日々のアセスメントに活かしたほうが良いでしょう。

深部静脈血栓症の患者さんに足背動脈触知の観察が必要ないのか?


状況的には少し違うと思いますが、下肢の浮腫・冷感を訴え、足背動脈の左右差および触知できない状態の患者さんに対し、閉塞性動脈硬化症を疑い血管造影を実施。その結果動脈側には異常は見られず、静脈側の血管造影で深部静脈血栓症を発見し、抗血栓薬等を投与できたという事例がありました。

個人の見解として、このように足背動脈の触知といった簡便な観察で早期発見が可能であれば実施しても良いかもしれません。もちろんホーマンズ徴候も一緒に観察し、より根拠を持った状態で医師に報告できるのであれば、早期治療を開始できると考えます。

よって、足背動脈触知は実施したほうが良いのではないかと思います。ただし、慢性化した深部静脈血栓症ではなく、急性期の場合と考えます。

おわりに

どうでしたか?深部静脈血栓症に対する足背動脈触知は、あまり意味を成すものではありません。しかし、足背動脈触知をすることで異常の早期発見が可能になるのであれば、患者さんにとってはメリットになると思います。あとは、質問者さんがどのように考えて行動するかで変わってきます。患者さんにとって、より良い観察点やアセスメントができる看護師さんになってくださいね。頑張ってください。応援していますよ。

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