低用量ピル内服による消退出血について知りたい

質問したキッカケ

最近低用量ピルの内服を開始された患者様から、ピル内服前より出血量が減少しているように感じると言われました。生理と比べて、他にどのような変化が見られるのか患者様にきちんと説明できるようにしたいです。

質問したいこと

ピルによる消退出血と生理はどのような違いがありますか。

ひとこと回答

ピルを内服している時の方が、下腹部痛や出血量が減少したり、出血期間が短くなる事が考えられます。

詳しく説明すると

消退出血とは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)又はプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が何らかの理由で減少する事により、子宮から出血する状態の事を言います。この消退出血は、生理や排卵による自然消退出血と、低用量ピルやアフターピルなどの人工的要因により起こる消退出血に分けられます。

まず、自然消退出血である生理はどのように起こるのでしょうか。生理の起こる仕組みは、エストロゲンとプロゲステロンの働きに大きく関与しています。エストロゲンは生理が終了してから排卵前に多く分泌され、子宮内膜を分厚くする働きを持っています。そして、プロゲステロンは排卵後より次の生理の開始までに多く分泌されており、子宮内膜の厚みを保持する役割があります。

排卵後に妊娠をしなければプロゲステロンの分泌量が減少し、それにより子宮内膜の厚みを保持できず、子宮内膜の一部が剥がれて出血が起こります。これが生理の仕組みです。

また、排卵における消退出血とは排卵前後の1-3日間で起こる出血の事を言います。これは排卵時期が近づく事で一時的にエストロゲンの分泌量が減少し、子宮内膜から少量の出血が見られる事があります。

一方、人工的な要因にて起こりうる消退出血の一つとして、アフターピルがあります。アフターピルとは、妊娠を望まない場合に性交行為後72時間以内とその12時間後に1錠づつ計2錠を内服をします。これにより妊娠が成立しなければ、子宮内膜が剥がれ数日~3週間後に消退出血が見られます。

このアフターピルは、高濃度のエストロゲンやプロゲステロンによく似た成分が含有されています。排卵前にアフターピルを内服すると排卵を抑制する働きがあり、排卵後の内服では受精や着床を防ぐ働きがあるとされています。いずれにしても、人工的にホルモンを増やすことにより、本来自然に起こるはずのホルモン分泌を抑制し、避妊が成立すれば消退出血が起こります。

アフターピルを内服する時期により異なりますが、排卵前~排卵直後にアフターピルを内服すれば数日~2週間後に消退出血が見られ、それ以外の時期では数日~3週間後に消退出血が見られます。以上より、月に2回出血が見られる事もあります。

そして、もう一つの人工的要因による消退出血は低用量ピルです。低用量ピルとは、アフターピルと同様にエストロゲン・プロゲステロンに似た成分が含まれています。この成分は体内が妊娠に近いホルモン状態になる為、排卵が抑制されます。

性行為後72時間以内に内服する事で避妊をするアフターピルと異なり、低用量ピルは21日間毎日内服を継続し、排卵自体を抑制します。7日間は休薬し、その休薬期間に消退出血が見られますが、その休薬期間が終わった後の内服の再開を忘れてしまう事を予防する為に、生理中もホルモンが含有されていないプラセボ錠剤を内服する事もできます。

ちなみに、ピルには低用量・中用量・高用量とあり、低用量ピルは卵胞ホルモン量が50μg未満、中用量ピルは卵胞ホルモン量が50μg, 高用量ピルは卵胞ホルモン量が50μg以上含有されています。そしてそれぞれ治療用途が異なり、避妊目的には低用量ピルが使用されます。

質問にありました生理と低用量ピルの違いについて、お答えします。生理は分厚くなった子宮内膜からプロスタグランジンという物質が分泌されます。そのプロスタグランジンには子宮を収縮させる作用があり、それが下腹部痛の原因となります。

一方、低用量ピルは排卵を抑制させる為、子宮内膜はさほど分厚くなりません。それによりプロスタグランジンの分泌量も減少し、下腹部痛が軽く出血量も少なく、出血期間も生理より短くなる事が考えられます。

おわりに

自然消退出血時に比べてピルによる消退出血は腹痛が軽くなったり、出血量や時間の減少が見られたりと、身体の変化は見られます。最近ピルの内服を開始されたという事ですので、その他のピルの効用なども併せて説明できるようにしたら患者様ももっと安心されると思います。

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