ステロイド薬を中断すると、なぜ副腎不全やショック症状を起こすのか教えてほしい

質問したキッカケ

内科病棟で働いて2年目になります。ステロイドを投与している患者さんが多く、先輩から「ステロイド薬を急に中止するとショックを起こすよ」と言われたのですが、どうしてショックをおこすのか分かりませんでした。ステロイドホルモンがどう影響しているのでしょうか。教えてください。

質問したいこと

ステロイドホルモンについてと、ステロイド薬中止によるショックについて知りたいです。

ひとこと回答

コレステロールを原料としたステロイドホルモンは副腎皮質の球状層から鉱質コルチコイドを、束状層から糖質コルチコイドを産生します。生理的コルチゾール分泌量はプレドニゾロンで1日3㎎前後です。それを上回るステロイドを投与した後に突然の中止をすると、副腎不全により不可逆的な血圧低下と意識障害をきたすことがあります。

詳しく説明すると

質問ありがとうございます。私も内科病棟に勤務しています。ステロイドホルモンとステロイド中止時のショック症状をきたす原因について、一緒に勉強していきましょう。

副腎皮質から分泌されるホルモンには以下の3種類があります。

・球状層から産生される鉱質コルチコイド
・束状層から産生される糖質コルチコイド
・網状層から産生される男性ホルモン(アンドロゲン)

この3種類のなかで、副腎皮質ステロイドホルモンは鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドを指します。今回は、鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドについて説明していきたいと思います。

鉱質コルチコイドについて


鉱質コルチコイドにはアルドステロン効果があります。レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系に作用し、血中ナトリウム量を増加させ、浸透圧を利用し血管に水を引き込み、循環血液量を増加させることで、血圧を上昇させます。ナトリウム貯留が促される一方でカリウム排泄を促進させています。

糖質コルチコイドについて


コルチゾールにより血糖値を上昇させます。その他に肝臓での糖新生の促進、血圧上昇、抗炎症作用、血清カルシウムの低下作用などがあります。分泌量は日内変動があり、早朝に増加し、夕方に低下する特徴があります。

また、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)と副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌をフィードバック調整する作用があります。副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンはコルチゾール作用が最も強いとされています。ステロイドの生理的分泌量は1日2~5㎎と微量ですが、生体ではとても重要な役割を担っています。

副腎不全とショック症状について


ステロイドホルモン剤はコルチゾールの効果を期待して投与されることがほとんどです。ステロイド投与をすることで、炎症を抑えようとさせるのです。

投与の量は、超大量療法(ステロイドパルス療法)や高用量、中用量、低用量に分けられます。つまり治療によって、生理的分泌量よりはるかに多くのステロイドホルモンが体内に存在することになります。そのため、視床下部や下垂体前葉はフィードバックを受け、CRHやACTHを分泌しなくなります。結果、副腎からのステロイド分泌は停止されます。この状態が副腎不全の状態です。

ステロイドを長期投与されている患者さんの副腎皮質は全く働いていません。典型的な例では、プレドニゾロン10㎎/日を半年服用すると副腎不全の状態に陥ります。この状況でステロイド投与を中止し、感染症などのストレスが加わると、ショック状態となります。

副腎不全の症状は原発性副腎不全(アジソン病)と同じですが、突然投与を中止した場合、急性の副腎不全となります。症状は、昏睡など重篤な意識障害やけいれんと共に血圧低下のショック症状を呈します。

副腎不全の予防とショックへの対応について


ショックを起こしてしまったら、補液や昇圧薬を投与しても反応がありませんので、ステロイドを投与して、補充することで改善を図ります。

しかし、自己中断や不慮の事故がによる突然の中止も考えられます。それについては早めにステロイド服用・投与履歴を確認する必要があります。手術などであらかじめステロイドの中断が分かっている場合は静脈投与に切り替えて、副腎不全を予防します。

低用量内服を減量する際にも注意が必要です。臨床では5㎎以下に減量すると倦怠感などの副腎不全のような症状が出ることがあります。この場合は、0.5~1㎎ずつ2~4週間ごとに減量すると予防できます。もちろん、生理的分泌のパターンである朝に多く、夕方に少なくなることを念頭に、朝に多く内服させることもあります。減量については原疾患との兼合いもありますので、症状を観察しながら行っていくとよいと思います。

おわりに

ステロイドホルモンの役割と、薬剤投与での影響ならびに副腎不全について説明してきました。ステロイドを投与している患者さんは多く、症状も原疾患によるもの、薬剤によるものなど多彩だと思います。分からないことを一つ一つ解決していける手助けになったら幸いです。
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