多臓器不全とはどんな症状で、治療はできるものか?

質問したきっかけ

私は、消化器内科病棟で勤務している看護師です。終末期の多くの患者様がDNRを選択され延命処置を行わずに亡くなられます。そして、多臓器不全と記入されている死亡診断書をよく見かけます。多臓器不全とはどのような状態なのか知りたいです。

質問したいこと

多臓器不全とは、どのような状態なのでしょうか。治療は可能でしょうか。

ひとこと回答

多臓器不全とは、生命維持に不可欠な脳・心臓・肺・肝臓・腎臓などの臓器のうち、2臓器が正常に機能しなくなった状態です。多臓器不全の治療は、可能な場合もあります。

詳しく説明すると

多臓器不全は、大きな手術・重症感染症・悪性腫瘍・低血圧・ショック・大量出血・心不全・外傷・低酸素などが原因で起こり得ます。中でも、低血圧・感染症・外傷が原因で起こる症状として、大きく2つが挙げられます。

1つは外傷やショック、低血圧などにより末梢循環不全となり、組織内低酸素・低血流状態となることです。そしてもう1つは、本来生体防御の為の役割を持つサイトカインやホルモンが重度感染症により異常に生産されることです。それにより、血管内皮細胞が障害されて制御不可能となり、全身性の炎症状態となります。それらのことが各臓器に影響を与え、多臓器不全を引き起こすと言われています。

多臓器不全の症状は障害されている臓器によって異なり、各臓器毎に適切な治療が行われます。
例えば、早期に症状が出やすいのは肺と言われており、呼吸不全に対しては人工心肺装置を使用します。この装置は心臓外科の手術中に心臓と肺の機能を担いますが、呼吸障害の治療の一環として使用されることもあります。

腎不全に対しては透析にて血液浄化を行い、尿毒性物質や水分の除去、不足しているカルシウムの補給などを行います。肝不全に対しては、血漿交換を行います。血漿交換は、肝臓が機能しなくなり不要な血中成分を除去することが困難になった時に適応されます。

心不全に対しては、補助循環装置と呼ばれる心臓と肺の働きを補助又は代行してくれる装置を使用します。この装置は、一時的ですが身体の機能をサポートし、命を繋げる働きをします。そして、とても大切な栄養成分は中心静脈カテーテルを介して投与され、栄養状態の管理を行うと同時に与薬も行っていきます。

多臓器不全の死亡率は50~90%と非常に高く、一つの臓器の治療が可能でも他の臓器の治療が困難になる場合もあります。治療は不可能ではありませんが、それにより回復する見込みは決して高いとは言い難いです。高齢化に伴い、DNRを選択される患者様も多くおられます。不全となっている臓器や不全の程度、それに伴う治療の有無の選択等、患者様やご家族によって様々であると考えられます。

おわりに

多臓器不全は生命維持に必要な臓器の内の2つ以上が機能不全状態であり、患者様の苦痛も大きいです。治療を積極的に行う場合には、多くの管や機械に繋がれることも考えられます。延命治療を望まれない場合もありますが、治療の有無に関わらず疼痛や苦痛の除去に努めること、安全・安楽に患者様が過ごして頂けるよう看護を行ってください。
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