蜂窩織炎に対する治療と看護について

質問したきっかけ

外科の外来に勤務する看護師です。症状として、下肢の熱感と発熱、腫脹を発症し、点滴治療を要する蜂窩織炎の患者さんが来院されました。下肢に明らかな傷は見つかりませんでしたが、小さな傷からの感染ということでした。原因がはっきりしないため、今後の予防方法や治療の内容、看護のポイントについて知りたいと思っています。

質問したいこと

蜂窩織炎の治療や予防方法、また、その看護ポイントについて教えてください。

ひとこと回答

蜂窩織炎は、真皮の深部から皮下組織で起こる炎症です。初期治療としては、抗生物質の投与を行います。重症化しやすい場合もあり、看護師は、症状の変化に対する観察と予防方法について知っておく必要があります。

詳しく説明すると

蜂窩織炎とは


皮膚炎や外傷を介して、表皮から細菌が入ることにより、真皮~皮下組織に化膿性炎症が起こります。炎症を引き起こすのは、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌といった、化膿性の細菌です。好発部位は下肢に多く、発赤や腫脹などを伴い、境界がはっきりしないという特徴があります。また、「蜂巣炎」と呼ばれることもあります。

蜂窩織炎の症状


蜂窩織炎の主な症状は、発熱や悪寒戦慄、局所の発赤、腫脹、熱感、疼痛や圧痛です。重症化すると、高熱や激しい筋肉痛、関節痛、血圧低下などを伴うケースもあります。また、蜂窩織炎を放置してしまうと、細胞が壊死し、筋肉まで感染する「壊死性筋膜炎」を発症する危険があります。

蜂窩織炎の合併症


感染が広がると、リンパの流れに沿って、発赤や腫脹、疼痛を伴う「リンパ節炎」が発症することもあります。蜂窩織炎の症状が強い場合には、敗血症、髄膜炎、腎炎などの合併症を引き起こすこともあります。また、皮膚の硬結や紅斑、膿瘍が形成されることもあり、膿瘍の大きさや症状の程度によっては、切開排膿の処置が必要になります。

蜂窩織炎の原因


■自然原因
蜂窩織炎は、皮膚に小さな傷や潰瘍、白癬などがある場合に、発症しやすくなります。また、ヒトや動物の咬傷は、その皮膚や口腔内の常在菌が感染し、蜂窩織炎を引き起こすこともあります。

牡蠣の摂取によって、グラム陰性桿菌が経門脈的に感染を起こした結果、蜂窩織炎になる場合もあります。また、川の真水や養殖魚に接触して感染が起こり、蜂窩織炎が発症する場合もあります。

■病的原因
脂肪吸引や皮下注射、リンパのうっ帯や浮腫がある場合、免疫低下を起こしている場合には、蜂窩織炎の発症率が高くなります。

蜂窩織炎の検査・診断


蜂窩織炎による血液検査では、白血球やCRP(C-Reactive Protein:C反応性タンパク)の上昇がみられるため、炎症の程度が判断できます。看護師として、検査結果を見て、炎症の程度を知っておくことも大切です。蜂窩織炎は、多くの場合、身体所見によって診断されますが、鑑別や抗生物質を選択する際に、血液や膿などの培養を行って起炎菌を調べることもあります。骨に感染の拡大が疑われる場合には、MRIやCTの検査を行うこともあります。

蜂窩織炎との鑑別が必要な疾患に、「壊死性筋膜炎」や「ガス壊疽」があります。壊死性筋膜炎は、皮下組織から浅い筋膜層までの炎症を、ガス壊疽は、筋肉の炎症を伴います。これら2つの疾患は、溶連菌の感染やグラム陰性桿菌、嫌気性菌などの混合感染によって急速に進行します。疼痛や発赤、ショックや全身状態の変化を起こすため、確定診断することが重要です。

壊死性筋膜炎は、39度以上の高熱、激しい筋肉痛や関節痛、浮腫や紫斑、水疱や血疱を伴います。また、皮膚の色が茶~黒色に変化するため、壊死性筋膜炎を疑うこともあります。

MRI所見では、深部の筋膜波及や液体の貯留、筋膜肥厚が見られます。壊死性筋膜炎の確定診断には、皮膚筋膜切除をはじめとする生検や外科的な手術を要することもあります。いずれにせよ、致死率が高い疾患のため、早期の鑑別と治療が重要です。

一方、ガス壊疽は、主に嫌気性菌による捻髪音を伴った筋肉の壊死で、筋肉の外傷から感染します。軟部組織に広く感染することにより、メタンや二酸化炭素などのガスが発生します。また、急速に進行すると、壊死した物質が血液中に入り、多臓器不全に陥るケースもあります。

ガス壊疽の主な症状は、浮腫や捻髪音、水泡です。X線では、筋肉内や筋肉面にガスを確認することができます。糖尿病や肝硬変などの疾患、抗がん剤や免疫抑制剤の投与による免疫力の低下が原因で、感染するリスクが高くなります。

さらに、丹毒も鑑別が必要な疾患の一つです。A郡β溶連菌による病変により、境界明瞭な皮膚の発赤や腫脹などが、真皮上層の皮膚のみに発症します。蜂窩織炎と丹毒との鑑別は、皮膚の状態によって鑑別がつきやすいとされています。看護師は、以上の諸症状について理解を深め、観察により早期発見に努めることが重要です。

蜂窩織炎の治療


血液や局所の培養によって、蜂窩織炎による起炎菌を特定することは困難なため、2種類の菌に対応できる抗生物質の投与を行います。蜂窩織炎の原因の多くは、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌です。これらの菌に対して効果のある、セファメジンやロセフィンを投与します。しかし、嫌気性やインフルエンザ菌なに対しては、効果が得られないため、症状の改善がみられなければ、抗生物質を変更する必要があります。

また、起因菌は、頬部、糖尿病性の潰瘍、ヒト咬傷、犬猫咬傷、海水や真水など、それぞれのケースによって異なります。細菌検査の結果が判明したら、速やかに抗生物質の種類を選択肢てし投与することが大切です。免疫力低下をはじめ、基礎疾患のない場合には、通常、数日程度で症状が落ち着きます。

しかし、免疫不全や糖尿病などの基礎疾患がある場合や、高齢者の場合には、重症化しやすいため、入院治療となるケースもあります。入院期間は、7~10日程が一般的ですが、さらに長期になることもあります。

蜂窩織炎の予防


傷が生じた場合には、皮膚の清潔を保つため、小さな傷であってもよく洗うことが大切です。また、感染に対する免疫力が低下しないように、食事や睡眠など日常生活での健康管理にも注意が必要です。患者さんに対して説明できるよう、蜂窩織炎の予防方法についても勉強しておきましょう。

白癬菌はカビの一種で、足趾などの傷によって蜂窩織炎を起こしやすくなります。予防的に抗真菌剤を塗布することによって、再発のリスクが軽減されることもあります。また、湿疹やアトピー性の皮膚疾患がある場合も、蜂窩織炎のリスクが高くなるため、手洗いなどの清潔保持、皮膚疾患の治療を並行していくことが大切です。

末梢の浮腫がある場合も、同様です。蜂窩織炎の予防には、弾性ストッキングが効果的です。浮腫の悪化を防ぎ、外傷から皮膚を守ることができます。

蜂窩織炎の看護計画


蜂窩織炎の患者さんに対して、看護計画を立案するときの参考となるように、観察項目とその内容、看護のポイントをまとめてみました。看護計画として、問題点を「蜂窩織炎の症状の改善がみられず重症化する可能性がある」としました。この問題点に対して「蜂窩織炎の炎症や疼痛など感染徴候による症状の軽減が図れる」ということを目標に挙げています。

観察項目としては、発熱や悪寒戦慄などの全身症状、局所の発赤、腫脹、熱感、疼痛や圧痛といった項目が挙げられます。とくに、基礎疾患がある場合や高齢の方の場合には、重症化しやすいため、入念な観察による早期発見が重要です。壊死性筋膜炎やガス壊疽など、致死性の高い疾患である可能性もあるため、高熱や激しい筋肉痛、関節痛、血圧低下などについても、しっかりと観察しましょう。

咬傷や海水などの特殊な状況での傷に対しては、抗生物質の選定がポイントとなります。的確な選定ができるよう、問診の際には、蜂窩織炎を起こした原因をよく確認することが大切です。ただし、症状の進行が早く、重症化が懸念される場合には、途中で抗生物質を切り替える場合もあります。そのため、抗生物質による副作用の有無、症状の変化についても、注視しなければなりません。

局所の炎症に対しては、患肢の挙上を行って安静を保ちます。マッサージなどの刺激は与えないようにしましょう。また、炎症が軽減しないときは、入浴を控え、シャワー浴で清潔を保持します。

炎症が強いと、疼痛を伴うことがあります。その場合は、痛みの程度や持続時間なども観察しましょう。浮腫がある場合は、再発リスクが高いため、弾性ストッキングを使用することもあります。その際、傷つけないようにやさしく着脱する方法を、看護師から伝えることも大切です。

また、免疫力が低下すると、感染を起こすリスクが高くなるため、栄養管理や睡眠など、退院後の日常生活についても説明が必要です。退院後に、抗生物質の内服治療を継続する場合は、症状が治まっていても継続して内服するよう、念を押しましょう。

蜂窩織炎の小児看護


小児に好発する蜂窩織炎には、頬部蜂窩織炎、肛門周囲蜂窩織炎、眼窩蜂窩織炎などがあります。

頬部蜂窩織炎は、上気道の感染によって発症し、そのうち約25%は、ヘモフィルス-インフルエンザb型菌によるものです。症状として、頬部の発赤や熱感、圧痛、腫脹が出現します。また、多くの場合、中耳炎からの合併が、報告されています。

炎症が進行すると、開口障害が現れ、頸部から胸部に炎症が広がると縦隔炎を伴う場合があります。このようなケースでは、血液検査で炎症反応の程度を調べ、抗生物質の投与を行います。膿瘍がある場合では、皮膚を切開することもあります。炎症の兆候を早期に発見できるよう、日々の観察を行うことが大切です。

肛門周囲蜂窩織炎は、A郡レンサ球菌によって発症します。主な症状は、肛門周囲のかゆみや発赤、膿や直腸出血などです。看護師は、炎症所見の変化や肛門周囲の観察を行い、膿や直腸出血を起こさないよう、慎重に経過を見ていく必要があります。

乳児の場合は、自然に治癒するケースがほとんどです。しかし、経過が長く、状態によっては、治癒に1年ほどかかることもあります。蜂窩織炎の炎症の程度によっては、入院での抗生物質の点滴治療が必要になります。抗生物質の使用で軟便になりやすく、悪化する可能性があるため、場合によっては早めに離乳食へ移行します。

治療としては、便性を整え、肛門周囲の清潔を保持します。肛門周囲に硬結が残っていると、膿瘍が再発することがあり、2歳以上の場合には、漢方治療や外科的処置が必要なこともあります。長期の治療や再発の可能性もあるため、退院後に必要な情報を伝えることも、看護師の大切な仕事です。

眼窩蜂窩織炎は眼窩隔膜より前方の炎症です。主な原因菌は、肺炎レンサ球菌や黄色ブドウ球菌で、眼窩周囲に生じることもあります。眼窩蜂窩織炎は眼からだけでなく、副鼻腔から感染するケースもあります。また、頭蓋内や顔面、歯の手術によって炎症をおこす場合もあります。

主な症状としては、発熱、眼の充血や腫れ、眼球突出や複視が挙げられます。さらに、症状が強くなると、視力の低下、眼球運動の低下を引き起こし、頭痛や吐き気などの症状が現れることもあります。その場合には、髄膜炎や頭蓋内続発症 海綿静脈洞血栓症などの合併症を起こしている可能性もあるので、症状悪化の徴候関する観察が重要になります。

新生児の眼窩蜂窩織炎では、7~10日の治療期間を必要とし、症状の程度によっては、治療期間が延長することもあります。なお、蜂窩織炎を発症した小児の場合は、重症化しやすく、自分で症状を訴えることができないため、異常の早期発見と治療を行うために、看護師はより十分な観察をすることが大切になります。

おわりに

蜂窩織炎は、小さな傷からも感染する可能性があります。また、起因菌がはっきりしない場合には、抗生物質の効果に関する観察がとても重要です。重症化する危険性もあるため、異常の早期発見、および早期治療が必要になります。小児や高齢者、免疫力が低下している患者さんの場合には、感染率が高くなることもあります。食事や睡眠など、日常生活で実践できる再発・予防方法についても、退院時に説明できるよう、学んだことを整理しておくとよいでしょう。

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