子どもが好きな看護師の方の中には、小児看護に携わりたいと考えている方もいるのではないでしょうか。小児看護では、基本的に0歳から成人までの子どもを対象に幅広い領域の看護を提供。本記事では、小児看護の仕事内容やタイムスケジュールをご紹介します。小児看護分野のスキルアップについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
小児看護の対象は0歳から成人までの子どもです。ただし、病院によって対象年齢の上限はさまざまで、15~16歳までのところもあれば、18歳までのところもあります。また、脳性麻痺などの先天性疾患を持つ患者の場合は、20歳を超えていても小児科の医師が継続して担当することも。そのような場合は小児科に入院するため、小児看護の対象となります。
小児看護では、幅広い年齢の子どもたちの看護を行うため、身体機能の成長段階や、認知力をはじめとする発達段階についての知識が必要です。0歳から成人までは変化の大きい期間のため、それぞれの年代に対応できるようにしておかなければなりません。
小児看護の役割は、子どもの健康増進、健やかな成長と発達の保障、治療の際の苦痛の緩和、安らかに毎日を過ごすための手助けです。また、子どもへの虐待や、子育て力が低下している家族のサポートも役割の一つといえるでしょう。小児看護の役割は、直接的な看護だけでなく、社会的な側面にもみられます。
小児看護師の仕事内容は、子どもへのケアから家族へのケアまで多岐にわたります。小児看護師の主な仕事内容は以下の通りです。
小児看護師は、患者である子どもが安心して治療に取り組めるように処置前後にプレパレーションを行います。プレパレーションとは、保護者を交えながら、子どもにイラストや人形などを使って、治療の内容を説明し、それを理解してもらうことです。最近では、動画やアニメを使用する病院もあります。
子どもの中には、病院にいる理由や入院して治療を受けなければいけない理由を理解していない子もいるでしょう。入院中に精神的に不安定になってしまう子もいます。そのため、わかりやすいプレパレーションを実施し、子どもに寄り添った看護をすることは小児看護師にとって大切です。
小児看護師にとって家族へのケアも重要な仕事です。両親や保護者と適切なコミュニケーションを取りながら、相談に乗ってあげたり、不安を取り除いてあげたりします。また、在宅時のケア方法(経管栄養で食事をとらせる方法や喘息発作のときの呼吸器の使用方法など)を説明するのも仕事の一つです。
小児看護では、子どもだけでなく、その家族にも治療方針の説明を行います。その際に、重要視されている考え方が「インフォームド・アセント」です。インフォームド・アセントは、親の意見ばかりでなく、子どもの意思を尊重するという考えに基づいています。子どもの発達段階に応じて、治療方針をわかりやすく説明し、その内容について子ども自身が理解しているかを判断。さらに、子ども自身の納得を得ます。子どもの納得を得ることで、子ども自身の身体的・心理的な負担が軽くなり、安全な処置の実施が可能となるでしょう。小児看護師は、親の意見に配慮しながら、子どもの意思を尊重したケアを行う必要があります。
小児科では、他科にコンサルテーション受診する必要がある子どもがいます。コンサルテーションとは、さまざまな専門性に特化した分野の医師や看護師と問題状況について検討し、より良い医療のあり方について話し合うことです。コンサルテーション受診をすることで、子どもの症状に合った治療を施すことがきます。コンサルテーション自体は医師同士で実施。しかし、スケジュール管理や子どもへの説明は小児看護師の役割となります。
小児看護師はどのようなスケジュールで働いているのでしょうか。ここでは、2交代制勤務で働く小児看護師の1日のスケジュールをご紹介します。
日勤のスケジュールは以下の通りです。
午前8時30分 申し送り
午前9時 環境整備・ファーストラウンド
午前9時30分 採血や点滴などの処置・入浴介助
午前10時30分 子どもたちはプレイルームの時間・プレイルームへ行けない子どもたちのケア
午前11時30分 配薬準備・食事介助
正午 休憩
午後13時 申し送り・ラウンド
午後14時 医師の診療介助
午後15時 おやつ介助・面会時間
午後16時30分 申し送り・看護記録
午後17時 業務終了
夜勤のスケジュールは以下の通りです。
午後16時30分 申し送り
午後17時 ラウンド・環境整備
午後18時 配薬準備・食事介助
午後19時 点滴などの処置・おむつ交換
午後20時30分 寝前薬の配薬・就寝前の準備
午後21時 消灯・寝かしつけ
午後22時 ラウンド・夜泣き対応・休憩
午前6時 起床・モーニングケア
午前7時 配薬準備・食事介助
午前8時 看護記録
午前8時30分 申し送り・業務終了
幅広い年齢の子どものケアを行う小児看護師ですが、メリットとデメリットには以下のようなものがあります。
子どもと接することが好きであれば、小児看護師の仕事は楽しく感じられるでしょう。コミュニケーションを頻繁に取ることで、心を開いて貰えれば意思疎通もしやすくなります。また、プレパレーションの技術も習得できるため、さまざまな小児科治療で活かすことが可能です。病院によってプレパレーションで使う道具は異なりますが、人形や動画など、いろいろなツールを用いて治療内容を説明する技術も身に付けられます。
常に子どもと接する小児看護では、観察力や洞察力を養えるでしょう。また、子どもとの接し方やあやし方なども上手になれるのがメリットといえます。
小児科にはさまざまな病気の子どもたちがいます。軽い症状の子もいれば、症状が重い子もいるでしょう。そのため、亡くなることも珍しくありません。毎日接していた子どもが亡くなることは、精神的な負担となるでしょう。
また、子どもに治療内容について説明しても受け入れてもらえない場合があります。そのため、子どもとの関わり方に悩む看護師もいるでしょう。そして、子どもだけでなく、その親とのコミュニケーションに悩む看護師もいます。親との意思疎通がうまくいかず、厳しい要望を出されてしまったり、クレームを受けてしまったりするケースもあるようです。
小児看護分野でスキルアップを目指すのであれば、専門看護師や認定看護師を目指しましょう。また、研修を通してスキルアップを図ることも可能です。ここでは、各資格と研修についてご紹介します。
小児看護分野の専門看護師は「小児看護専門看護師」です。小児看護専門看護師は「子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する」という役割を持っています。小児看護のスペシャリストになりたい方に適した資格といえるでしょう。
参照
日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」
小児看護分野の認定看護師には「小児救急看護認定看護師」と「小児プライマリケア認定看護師」があります。
小児救急看護認定看護師が取得するスキルは「救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施」と「育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護」です。
一方、小児プライマリケア認定看護師が取得スキルは「重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防」「外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ」「家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導」「不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止」「身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術」となっています。
取得できるスキルは認定看護師の種類によって異なるため、小児看護分野の認定看護師を目指す際は、自分がどのような看護を実践したいかよく考えましょう。
日本小児看護学会では「小児看護スキルアップ研修」が開催されています。基本的にインターネット配信による研修のため、自宅での受講が可能です。研修は基礎的な内容や、特定の小児看護分野の内容などさまざま。新人看護師からベテラン看護師まで学べる内容となっています。
参照
一般社団法人日本小児看護学会「小児看護スキルアップ研修」
小児看護では、子どもと仲良くなることが大切です。仲良くなると、きちんと話を聞いてくれるようになり、治療や看護が円滑に進むようになります。子どもが好きなアニメや遊びをチェックして、仲良くなるきっかけ作りをしてみると良いでしょう。
また、子どもだからといって治療内容を軽い説明で済ませるのは好ましくありません。大人を相手にする場合と同じように治療内容をきちんと説明しましょう。また、治療が終わったら「頑張ったね」と励ましてあげます。子どもを一人の人間として扱い、話や要望もしっかり聞くようにすることが大切です。
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