
ルンバール(腰椎穿刺)の介助は、脳神経内科や救急科に携わる看護師にとって必須となる看護技術です。
ルンバールは滅菌操作で行う検査であり、時には合併症を伴います。自信を持ってルンバールの介助につけるよう、検査の目的や看護のポイントを把握しておきましょう。
以下でルンバールの基礎知識から介助の方法、観察項目を解説します。

ルンバールとは、腰椎間からくも膜下腔へ穿刺し脳脊髄液を調べる検査です。「腰椎穿刺」とも呼ばれています。
脳脊髄液を採取して検査することや、薬剤の注入による治療が目的です。30分〜1時間で終了しますが、麻酔時に痛みを伴うことや背中からの穿刺により、不安を感じる患者さんもいます。
合併症を伴うこともあり、終了後の安静が必要です。
ここではルンバールの目的を説明します。
ルンバールを行う目的はさまざまですが、診断のためか、治療のためか、医師が実施する目的を把握することで、検査や治療、その後の看護を予測できます。
医師がどんな目的で腰椎穿刺を行うのかを理解し、介助にあたりましょう。
ルンバールを行う目的は以下のとおりです。
脳脊髄圧や細菌検査では感染症の特定や腫瘍マーカーの検査により腫瘍の診断が可能です。
抗生物質や抗がん剤などを直接注入し、治療を行うこともあります。
ルンバールの適応疾患は以下のとおりです。
ルンバールは頭痛や発熱、てんかん、意識障害などで、脳や脊髄の疾患が疑われる際に実施されます。
しかし、脳浮腫や抗凝固薬の内服中など、適応とならない場合もあるため、ルンバールの禁忌も確認していきましょう。
ルンバールには、禁忌となる状態がいくつかあります。
禁忌を看護師が知っておくことで、未然に防げる医療事故があるはずです。
ルンバールの禁忌は以下のとおりです。
脳圧が高い状態で穿刺をすると、脳脊髄液の流れが急激に変化します。脳が脊髄側へ引っ張られ小脳扁桃ヘルニアが誘発されることにより、生命の危険を及ぼす状態となります。
血小板減少症の患者さんや抗凝固薬・抗血小板薬の内服中などは、止血のコントロールが困難です。また、採取した髄液に血液が交じることで正確な結果が出ない可能性もあります。
皮膚トラブルがある部位からの穿刺は、感染リスクへと繋がります。
ルンバールの介助は、滅菌操作と患者さんの姿勢を保持することがポイントとなります。背部からの穿刺に対する不安や恐怖に対しても、丁寧な説明と言葉がけをすることが大切です。
ルンバールの介助をする際の必要物品と手順を解説していきます。
【患者さんへの説明】
医師より、目的や検査内容、合併症を説明し同意を得ます。医師からの説明後、患者さんに不安な点や気になることがないかも確認しましょう。
【禁食の確認】
穿刺後の合併症として、嘔気・嘔吐の出現があるため、検査前3時間は禁食の指示が出ることもあります。事前に医師に確認しておきましょう。
【排泄を済ませてもらう】
検査時間は20〜30分を要し、終了後の安静時間を含めると1時間程度かかります。その間トイレに行けなくなるため、事前に排泄を済ませておくよう伝えます。
一般的なルンバールの検査手順を解説していきます。
1.バイタルサインの測定
2.物品やベッド周りの環境を調節
穿刺部を医師の目の高さに合うよう、椅子を用意しベッドを昇降し、処置台などに滅菌物を配置する清潔野を作る。
3.体位の調整
臍を見るように両膝を抱え背中を丸めてもらい、ベッドと背中が垂直になるよう側臥位の姿勢※を調整する。看護師は、患者さんの前面から肩と膝を支え、姿勢を固定する。
※腰椎骨間を広げるための姿勢。ベッドと垂直になることで、穿刺針を正しい角度で穿刺しやすくなる。

4.防水シーツを敷く
穿刺部の下(腰部あたり)に防水シーツを敷く。
5.衣服の調整
穿刺部が露出するように衣服を脱がす。
処置シーツで衣服を覆うと衣服の汚染防止になる。
背中を露出するため、バスタオルなどでプライバシー保護しましょう。
6.穿刺部位の消毒
7.滅菌手袋、滅菌ガウンを医師が着用する。
清潔区域に滅菌物をセッティングする。
8.局所麻酔の実施
消毒液が乾いたら、穴が開いている滅菌シーツを穿刺部に当てる。
キシロカイン(またはリドカイン)にて局所麻酔を実施。
9.穿刺
スパイナル針を使用し、穿刺する。
両側腸骨稜の再上端を結んだヤコビー線を指標とした、第3〜4腰椎間または第4〜5の腰椎間が穿刺部位である。クモ膜と軟膜の間を穿刺。

10.髄液圧の測定と髄液の採取
三方活栓よりマノメーターを連結させ、初圧と終圧を測定。
採取した髄液はスピッツに保管し、量や性状を記録する。
11.圧迫止血
絆創膏とガーゼにて穿刺部を圧迫止血し、髄液の漏出や出血を予防する。
12.安静時間の確認とバイタルサインを測定
医師へ安静時間を確認し、合併症の観察をする。
安静時間内は、枕を外し水平仰臥位で安静にしてもらう。
【検査前の説明やオリエンテーション】
患者さんが検査をイメージできるように、姿勢や所要時間を説明して不安の軽減に努めましょう。安全に実施するには、患者さんの協力が必要です。
【事前に検査データを確認】
血小板数や血液凝固データ、感染症の有無を確認し、出血傾向をアセスメントすることで出血リスクを把握できます。
【穿刺中の痛みや咳嗽による体動に注意】
急な体動による神経損傷を起こす危険性に注意します。痛みを感じた際や動きたいときは口頭や手で合図をしてもらうようにしましょう。穿刺中は、なるべく身体を支え姿勢を固定します。

【穿刺中・穿刺後の観察】
髄液の漏出や髄膜刺激症状、局所麻酔によるショックに気をつけます。
脳脊髄圧の変化により、1~2時間は悪心・嘔吐の可能性があるため水平仰臥位で安静にする必要があります。
▼観察項目
| 穿刺前 | ・不安の程度・穿刺部位の皮膚状態・局所麻酔薬によるアナフィラキシー症状 |
| 穿刺中 | ・呼吸状態・脈拍・顔色・血圧変動・悪心・冷感・気分不快感・下肢痛・しびれ・チアノーゼ |
| 穿刺後 | ・バイタルサイン・意識レベル・呼吸困難感・痙攣・頭痛・眩暈悪心・嘔吐・背部痛・髄液の漏出・穿刺部位の皮膚状態 |

脳脊髄液は、脳室とクモ膜下腔の中を循環し、脳や脊髄を外部からの衝撃から和らげる働きをしています。
正常な髄液と、疾患がある場合の髄液を把握しておきましょう。疾患ごとの脳脊髄液の性状を知っておくと、疾患の経過や治療の予測をすることができます。
| 性状 | 髄液圧(mmH2O) | 細胞数(/μL)細胞分画 | 総蛋白量(mm/dl) | 糖(mg/dl) | |
| 正常 | 無色透明・水様 | 50~180 | 0~5リンパ球 | 15~40 | 40~80 |
| 細菌性髄膜炎 | 混濁 | 200~400以上 | 500~10,000多核球 | 100~1,000 | 0~20 |
| ウイルス性髄膜炎 | 水様透明 | 100~300 | 5~500リンパ球 | 20~100 | 40~80 |
| 結核性髄膜炎 | 水様~キサントクロミー※ | 200~600 | 25~1,000リンパ球 | 100~200 | < 40 |
| 真菌性髄膜炎 | 水様~混濁 | 200~600 | 25~1,000リンパ球 | 50~500 | <40 |
※キサントクロミー:
黄色・淡黄色の髄液です。髄液内腔で出血した赤血球の破壊によって生じた間接型ビリルビンの色であり、出血後3〜4週間持続します。
髄液の性状は、キサントクロミー。髄液圧、総蛋白量ともに高値。単球や組織球像を認める
髄液蛋白が著明に上昇し、細胞数の増加がないのが特徴。
活動期にリンパ球主体の細胞増殖があるが、非活動期では正常化する。
形質細胞を認め、総蛋白量蛋白は上昇し、免疫グロブリンを産生する。
ルンバールは、医療現場において珍しくない検査の1つです。
合併症や副作用を伴うために検査後の看護も必要であり、検査がスムーズにできるよう手順や滅菌操作を身に付けておく必要があります。患者さんの気持ちに寄り添うような看護師になれるよう、ルンバールの理解を深めていきましょう。
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