男性看護師の需要はどれくらいあるのでしょうか。看護師の世界は女性の割合が圧倒的に高いため、中には就職に対して不安を感じる方もいるでしょう。
しかし、厚生労働省の調査によれば、男性看護師の数は増加傾向。男女雇用機会均等法などの影響も受けて、男性看護師のポジションは徐々に確立されつつあります。このコラムで、男性看護師の現状を把握し、自分に適した活躍の場を探しましょう。
厚生労働省の平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)によると、平成30年の男性看護師の数は95,155人。平成20年の44,884人と比べて、倍以上に増えています。
まだまだ女性が主流の看護師業界ですが、男性看護師の数が増加するに伴い、その活躍の場も徐々に広がりつつあるといえるでしょう。
参照元:厚生労働省 – 平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
そもそも男性が「看護師」として働けるようになったのは、いつからなのでしょうか。
1915年(大正4年)に定められた「看護婦規則」を機に「看護婦」という呼び名が定着。その名のとおり、当時の規則では看護婦として働けるのは女性のみでした。しかし、看護に関わる男性もわずかながら増えていき、1968年(昭和43年)改正の「保健婦助産婦看護婦法」では、男性看護人を「看護士」という呼称に変更することが決まったのです。
その後、「男女雇用機会均等法」を発端として、2001年(平成13年)に「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師助産師看護師法」に改定。男女別に定められていた資格名称が「看護師」に統一されました。これにより、女性中心だった看護業界に、男性看護師のポジションが確立されていったといえるでしょう。
それでは、看護師の男女比はどのようになっているのでしょうか。
厚生労働省の平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)によれば、平成30年の看護師の数は以下のようになっています。
看護師の数:1,218,606人
女性看護師の数:1,123,451人
男性看護師の数:95,155人
構成割合としては、女性看護師が92.2%を占め、男性看護師は7.8%にとどまります。
しかし、平成20年の看護師の構成割合は、女性94.9%に対して男性5.1%でした。男性看護師の割合が徐々に増えていることが分かります。
参照元:厚生労働省 – 平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
男性看護師ということで、女性看護師と比べて給料が変わるのでしょうか。男性看護師の給料事情を見てみましょう。
結論からいうと、男性看護師と女性看護師との間に年収の差はさほどありません。
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」をもとに算出すると、以下のようになります。
看護師の平均年収:4,799,300円
女性看護師の平均年収:4,784,700円
男性看護師の平均年収:4,924,200円
男性看護師の年収の方がやや高めです。要因として、男性看護師の場合は家族手当が多めに付与されるなどが考えられます。また、年収は勤め先や雇用条件によっても変わるでしょう。
参照元:『賃金構造基本統計調査 / 平成30年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種』より算出
男性看護師として働くメリットとは何でしょうか。
女性では難しい力仕事や男性だからこそ対応できる患者さまからの相談など、男性看護師が職場で必要とされる機会は多いでしょう。男性看護師はまだ稀少な存在のため、「男性がいてくれて良かった」と周囲に評価されやすい現状も。周りから頼られることに、やりがいや居心地の良さを感じる方もいるでしょう。
安定した収入を得られることは、男性にとってもメリットの1つ。
国家資格である看護師は、専門性が高く一般の仕事よりも給与が高めに設定されている場合が多い職種だといえるでしょう。勤め先によっては人の生死に関わるため責任が重くハードな面もありますが、その分収入も安定しています。
男性看護師の中には、さまざまな職場を経験してスキルアップを図りたいと思う方もいるでしょう。
看護師は国家資格で専門職のため、転職はしやすい職種です。看護師が不足している職場も多く、求人率は高い傾向にあります。
看護師は患者さまを心身ともにケアして、その治療を支える仕事です。男性看護師として業務にあたる中で、患者さまの容態が改善する過程に喜びややりがいを見出す方も多いでしょう。人助けに直結する仕事として、社会への貢献度が高いといえます。
男性の看護師だからこそ、現場で求められることは何でしょうか。
身体的に不自由な患者さまの体位変換や移乗の介助には、それなりの腕力が必要です。また、精神科などでは、興奮して暴れる患者さまを制止しなければならない場面も出てきます。
看護の仕事は女性の力だけでは対応が難しいこともあるため、男性の看護師がいれば重宝されるでしょう。
男性の患者さまの中には、異性には言いにくい悩みを抱えている人もいるはずです。同性だからこそ頼みやすい用事などもあるでしょう。そんなときに男性看護師がいれば、患者さまは安心して相談することができるため、看護ケアの幅を広げられます。
男性看護師が増えつつあるとはいえ、その割合はまだ少ないのが現状です。看護の世界で男性看護師はどのような悩みを抱えやすいのでしょうか。
看護の仕事は患者さまの身体に触れる場面が多いため、女性の患者さまから看護を拒否されることもあるでしょう。異性からの看護に抵抗を感じる人がいても不思議はないと理解してはいても、ある程度ストレスを感じる可能性もあります。
女性の比率が高い職場環境ゆえに、女性の作るグループに入りづらく肩身の狭い思いをすることも。男性看護師ならではの悩みや愚痴を同性に相談したくても、職場に男性看護師は自分だけというケースもあるでしょう。
キャリアアップのお手本になるような男性の先輩看護師がいない場合が多く、男性看護師としての自分の将来像をイメージしにくいと不安を覚える方もいるでしょう。
一般職などに比べると役職数が少ない点も、昇進を難しく感じさせる要素の1つだといえます。
男性看護師が職場でうまく働くコツは何でしょうか。以下を参考にして、自分の働きやすい環境作りに努めましょう。
現場で働いていれば、男性看護師としての居づらさや難しさを感じる場面に遭遇することも。しかし、「自分は男性だから」という点に固執せず、女性看護師とともに個々の性別を活かした看護を心がけて、お互いにフォローしあうと良いでしょう。
患者さまに対しても、男女の分け隔てなく接する姿勢を持つことが大切です。
衛生的な環境を保つことが求められる医療現場において、不衛生な印象を与えるような格好は避けましょう。髪や爪、髭はこまめに整えて清潔感を保ち、相手に不快感を与えない身だしなみを意識してください。
また、態度や言葉使いなども雑にならないよう配慮して、丁寧な対応に努めましょう。
職場で陰口や噂話を耳にすることもあります。いい気分はしなくても、それを態度に出すことは避けた方が良いでしょう。いらぬ反感を買う可能性があるためです。
もし陰口などへの同意を求められたとしても、あくまで距離感を保ち明確な返答はせず、できるだけ関わり合わないよう気をつけましょう。
男性看護師の多い職場を選ぶのも1つの手段です。男性の同僚や先輩がいれば、心強く感じることも多いでしょう。規模の大きい病院や診療科によっては、男性看護師の割合が高い職場もあるため、そういった職場への就職を検討することもおすすめします。
ここでは、男性看護師が活躍しやすい職場をご紹介します。
重症患者さまへの対応や緊急を要する現場はハードな環境下で体力が求められるため、男性看護師の需要は高くなるでしょう。手術では緊張感を維持したまま長時間の勤務になることもあります。
くわえて、規模の大きい病院や総合病院であれば男性看護師も多く、研修や症例が豊富なためスキルアップも可能です。
男性を対象とした診療科は、患者さまの悩みなどを共有しやすい男性看護師が活躍できる職場だといえます。たとえば、禁煙外来や男性型脱毛症(AGA)、勃起不全(ED)などの男性特有の症状を専門とした外来では、男性看護師も働きやすいでしょう。
一般病棟とは異なり、妄想や幻覚などが要因で暴れる患者さまもいるでしょう。そのような患者さまを制止する際には腕力が必要になるため、男性看護師の需要も高いと考えられます。
男性看護師の増加とともに、その存在は次第に確立されつつあります。勤め先によっては、スキルを向上させられ、キャリアアップできる可能性も。自分の働きやすい職場とは何かを考え、それに適した職場を探してみましょう。
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