
生命を脅かす病気と共にある子どもとご家族の暮らしを支える施設として、こどもホスピスが存在しています。
今回は、そんなこどもホスピスの運営事業や小児緩和ケアの普及活動に力を入れている団体を紹介します。小児緩和ケアに興味がある看護師さんは、ぜひ目を通してみてください。

2017年に発足した横浜こどもホスピスプロジェクトは、生命を脅かす病気を抱える子どもたちときょうだい、家族が、家庭的な環境で豊かな時間を過ごせるこどもホスピスの運営を目指している団体です。
2021年秋頃に開所予定のこどもホスピス“うみとそらのおうち”は、海と広い空が広がる場所に立地しており、自然豊かな環境で心地良く過ごせる空間がつくられています。
団体は、“うみとそらのおうち”を通して、「重い病気を抱える子どもとご家族がやりたいことを全力でサポートしたい」「家族の辛さを少しでも軽くしたい」そんな思いを実現しようとしています。
横浜こどもホスピスプロジェクトが誕生した背景には、団体代表を務める田川尚登さんの愛娘、はるかちゃんの存在があります。
はるかちゃんは6歳になった頃、突然「頭が痛い」と訴えるように。いくつかの小児科を受診しても症状は治らず、原因が分からない日々が続きます。
その後、はるかちゃんは右足を引きずって歩くようになり、すぐに総合病院で受診したところ、「脳幹に腫瘍があり、あと半年しか生きられない」と宣告されます。その5ヶ月後、はるかちゃんは家族の元から旅立ちました。
その後、田川さんははるかちゃんに対し、家族の楽しい時間を与えることができたのだろうかと考えるように。
また、はるかちゃんが生きた意味を考える中で、医療が本当に子どもの気持ちや立場を理解しているのか考えることになりました。
そして、家族みんなの豊かな時間、子どもが旅立った後の家族の支援などは、病院や医療のサポートだけでは解決できないと思うようになったのです。
そんな時、田川さんは英国から世界に広がったこどもホスピスの存在を知ります。そこから「日本にもこどもホスピスを作りたい」という想いが強くなり、横浜こどもホスピスプロジェクトが生まれました。

団体は、病気の子どもと家族の別荘みたいなおうちを目指した“うみとそらのおうち”の開設・運営を進めています。
うみとそらのおうちは、入り江の静かな場所に建っており、向かい側には公園がある立地で、海と広い空を一望できるのが特徴。自然豊かな環境の中で、病気と共にある子どもたちはもちろん、ご家族もホッと一息つけるような居場所づくりに取り組んでいます。
重い病気を抱える子どものQOL向上と家族の継続的サポートのために、あらゆる学びを提供しています。
小児緩和ケア概論、子どもの成長と発達、子どもとの遊びなど各分野のエキスパートを講師に招いた[こどもホスピス・小児緩和ケア講座]、手作りおもちゃのワークショップなどを交えて楽しい遊びを学ぶ[病児と遊びの研究会]、多職種連携や様々な勉強会・相談会を行う[各種勉強会]を実施しています。
色々な視点から小児ケアの講座を行っているので、子どもと触れ合う看護師さんにとっても最適な学びの場になりそうです。
世界初のこどもホスピスは、1982年にイギリスで誕生しました。重い病気の子どもと家族に寄り添い、楽しい時間を作り出す場所は、とても重要な役割を担っており、こどもホスピスを作る動きは世界各地に広がっています。
しかしそんな中、日本にはこどもホスピスがほとんどありません。
そんな現状に対し、団体はこどもホスピスの理解促進と普及のために、シンポジウム・講演会・チャリティーコンサート・命の授業などを開催しています。
こどもホスピスはイギリスが起源。1982年にイースト・オックスフォードで開業したヘレンハウスが始まりとされています。ヘレンハウスは周囲に大きな影響を与え、その後、イギリスはもちろん世界各地でこどもホスピスが誕生しています。
しかし、日本では認知度が低く、こどもホスピスの数が圧倒的に少ないのが現状です。
重い病気の子どもとご家族は、常に大きな不安を抱え、毎日懸命に生きています。そんな人々に寄り添う居場所は無くてはならないものです。
子どもたちとご家族を救うためにも、こどもホスピスの重要性を人々に知ってもらい、地域全体にその動きを拡大させていくことが日本の課題といえるでしょう。
うみとそらのおうちは、病気と共にある子どもとご家族が一緒に過ごして安心できる場所を目指しています。限られた時間であっても、それが永遠に輝く思い出になるような大切な場所をつくりたいと考えています。
うみとそらのおうちは、自然に溢れた開放的な空間が魅力です。
青い空、お日様が身近に感じられるつくりになっており、施設内には海を感じられる大きなお風呂も設けられています。
施設には、そんな自然に囲まれた開放的な環境に身を置きながら、家族で楽しい思い出をたくさん作ってほしいという願いが込められています。
うみとそらのおうちの一階部分は、交流エリアになっています。
ご家族同士の交流の場、地域とのコミュニティに活用できるようなスペースが設けられているのが特徴です。イベントの中心空間となる遊びホールや、みんなで利用できるオープンキッチンがあり、大勢で楽しめる空間が再現されています。
そして二階部分は、くつろぎエリア。
利用者がくつろげる部屋が、眺めの良い水辺側に配置されています。また、介助の負担を軽減するために、天井走行リフトがある部屋も設けられています。
その他、添い寝できるソファベッド、ミニキッチンもあり、それぞれが思い思いに過ごせる環境が整っています。
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