
単に保健師といっても、勤務先や仕事内容は様々です。その中の一つに、行政保健師があります。行政保健師とは、市役所の福祉課や自治体が運営する学校の保健室などで働く保健師です。
福祉課で働く行政保健師の仕事内容の一つとして家庭訪問があります。これは児童のいる家庭や単身で暮らす高齢者宅を訪ねて、健康状況の確認や虐待の調査などをするために行われています。
市町村の管轄になるので、立場は地方公務員になります。そのため、行政保健師になるには、まず市町村の公務員採用試験に合格する必要があります。
児童がいる家庭へ訪問する理由は、子供に対して適切な健康管理ができているかを確認しながら、虐待や育児放棄などのトラブルを防ぐのが目的です。
高齢者の自宅を訪問するのも同じでされ康状態のチェックをしながら生活の悩みや相談などを聞いて未然に病気を防ぐことが目的とされます。
週に3回ほどのペースで各家庭を訪問しますが、なかには訪問を拒否する人もいます。一筋縄ではいかない家庭もあるようです。
もちろん相手の承諾がなければ自宅へ入ることはできませんし、強引に家の中に上がりこんでしまえば住居侵入になり、警察沙汰になる可能性があります。
たとえば、子供を虐待している家庭の場合、保健師が訪問すると抵抗したり拒否したりする傾向があり、そうした人のところへは何度も通って児童を保護するための手段を考えるのも行政保健師の役割です。
行政保健師には家庭訪問以外にも様々な仕事があります。各自治体の福祉課によっても異なりますが、幼児の健康診断や予防接種、育児に対する相談を受けたりするのも仕事の一つです。
そのほかにも、福祉課が管理する、地域住民を対象とした健康診断やがん検診、セミナー、健康相談を担当するのも行政保健師の役割です。
近頃は行政保健師の募集が少ない傾向にあります。また、正規雇用というかたちではなく、臨時職員という募集のほうが多いようです。
いずれにしても公務員試験をクリアしなければならないので、それなりの努力が必要になることを覚悟しなければいけません。
まずメリットは、正規採用されれば収入が安定することです。とはいっても、仕事内容のわりには給料が安いというのが本音のようです。
しかし、公務員だけあって昇給やボーナスはしっかりしているので、長期的に勤務することを前提にすれば将来的に安定した職場と言えるでしょう。
デメリットは、仕事内容がハードなこと。行政保健師は産業保健師のように特定の人だけを対象にする仕事ではなく、地域の住人すべてが対象になります。
市町村の福祉課で勤めれば市町村民が対象ですし、都道府県の福祉課に採用されれば都道府県民が対象となるため、管理する幅が広くなります。
さらに、各家庭を訪問して調査したり相談を聞いたりするとなれば、労力もかなりのもの。メンタルのタフさも求められます。
行政保健師は地域住民の生活に関わる仕事ですから、高齢者や障がい者に対する福祉サービス、母子や児童に対する保健指導や相談、児童の虐待問題、国民健康保険に関することなど幅広い活動や知識が求められます。
安定した収入と立場に魅力を感じて行政保健師への転職を試みる人もいますが、まずは「本当にやりたい仕事なのか」をしっかりと自問自答する必要がありそうです。
看護師のキャリアアップの目標ともなる保健師。今回は行政保健師について紹介しました。保健師資格を取得して転職しようかとお考えの看護師さん、ぜひ参考にしてくださいね。
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