お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます

2023.8.8

ハッシュタグ奨学金と書かれた木製ブロックの周りにお札や小銭が置かれているイメージ

奨学金を借りて看護学校を卒業した方の中には、「お礼奉公の期間が終わっていないけれど、仕事を辞めたい」と悩む看護師もいるでしょう。
お礼奉公の期間を3年と定めている病院も多いため、2年目や3年目で辞める方は注意が必要です。
この記事では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えします!また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介。
お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にご覧ください。

【関連】【体験談】看護師を辞めたい理由とは?辞めるべきかの判断基準と対処法

そもそも看護師のお礼奉公とは

看護師のお礼奉公とは、病院が看護学生を支援する制度の一つです。病院が奨学金を負担する代わりに、看護学生側は、看護師資格を取得した際に該当の病院で一定の期間勤務することを約束します。

しかしこのお礼奉公の精度は、憲法第22条(職業選択の自由)や労働基準法第1章第5条(強制労働の禁止)に違反する指摘もなされています。

出典
e-Gov法令検索「日本国憲法」第22条、「労働基準法」第5条
お礼奉公中でも転職できる可能性があります

お礼奉公中だけど看護師を辞めたい!辞めても良いの?

お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能です。
そもそも「日本国憲法」の第22条に「公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有する」と定められているとおり、すべての国民には職業を自分で決める権利があります。また、「民法」の第627条には、「雇用期間に定めのない労働者は、いつでも解約を申し入れることができ、雇用契約は申し入れの2週間後に終了する」という規定も。つまり、正看護師は自由に退職の意思を申し出て、2週間後に辞めることができるのです。

なお、「労働基準法」の第137条には「1年を超える有期雇用契約では、契約の初日から1年が経過すれば労働者はいつでも退職できる」とあるほか、「民法」の628条には「雇用期間に定めがある場合も、やむを得ない事由があれば、各当事者は直ちに契約を解除できる」とあります。つまり、有期雇用の看護師も1年以上勤務している場合は、病院側に退職の意思を申し出れば仕事を辞めることが可能で、やむを得ない理由があれば契約期間中でも退職できるのです。
ただし、法律で認められているからといって、お礼奉公の期間中に安易に仕事を辞めるのは好ましくありません。途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、職場と約束を結んで勤務している立場であることは、わきまえておきましょう。そのうえで、「どうしても辞めたい」という方は、退職や転職を考えても良いかもしれません。

出典
e-Gov法令検索「日本国憲法」第22条、「民法」第627条、「労働基準法」第137条、「民法」628条(2022年9月27日)
お礼奉公中でも転職できる可能性があります

お礼奉公中に看護師を辞めると奨学金はどうなる?

お礼奉公中に仕事を辞めて良いといっても、「奨学金はどうなるのだろう」と気になる看護師もいるでしょう。病院の決まりや辞める時期によって奨学金の返済方法は異なるので、以下で考えられるケースについて解説していきます。

奨学金の返済を求められる

お礼奉公の途中で職場を辞めると、奨学金の返済を求められる可能性があります。
病院側が返済を求めることの是非についてはさまざまな議論があり、法律違反に値するケースもあるようです。看護師が「必ずしも奨学金を返済しなければならない」とは限りませんが、病院との約束によっては返済が必要になることもあるので考慮しておきましょう。また、その場合の返済金額は、病院によって異なります。

働いた期間分を除く、残金を返済するケース

多くの病院は、看護師が働いた期間分を考慮し、残ったお礼奉公期間分の奨学金の返済を求めます。下記は、3年間のお礼奉公により、奨学金180万円が免除となる病院で働いた場合の返済額の一例です。

  • 1年以上2年未満の勤務で、返済額は全額の3分の1程度=120万円ほど
  • 2年以上3年未満の勤務で、返済額は全額の3分の2程度=60万円ほど

看護師は働いた分、返済の負担が少なくて済みます。
ただし、上記の例でも、最初の1年で辞めてしまうと、全額返済を求められる可能性もあるので注意が必要です。また、減額率は病院によって異なるので、契約時の書類を見て正確な金額を確認しましょう。

働いた期間に関係なく、全額返済するケース

働いた期間は考慮せず、奨学金全額の返済を求める病院もあります。たとえば、3年のお礼奉公で奨学金180万円が免除となる職場を辞める際、看護師の勤務年数が1年でも2年でも180万円の支払いを求められるケースです。

奨学金の一括返済を求められることも!

お礼奉公中に辞める看護師に対して、奨学金の一括返済を求める病院もあります。もし「辞めたい」という気持ちだけに身を任せて、経済的余裕がない状況で退職すれば、あとで一括返済に苦しむことにもなりかねません。お礼奉公中の看護師は、病院と交わした約束事をよく確認して、辞めるかどうかを検討することが大切です。

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奨学金の一括返済が難しい看護師はどうすれば良い?

お礼奉公中で仕事を辞めるにあたって、「奨学金の一括返済を求められたけれど、一度に返すのは難しい」という看護師もいるでしょう。以下で、返済に困った場合の対処法を紹介します。

分割にできないか相談する

職場に分割返済にしてもらえないか相談してみましょう。事情を話せば分割を認めてもらえる可能性もあります。契約時の書類に一括返済するよう記載されていれば、変更が難しいかもしれませんが、一度交渉してみる価値はあるでしょう。

家族に相談する

「家族の力を借りるのは気が引ける」「家族には頼めない」という看護師もいるかもしれませんが、どうしても奨学金の支払いが難しい方は相談してみるのも一つの方法です。一時的に家族からお金を借り、別の職場へ転職後に少しずつ家族に返すこともできるでしょう。また、家族に相談することで良い策が見つかるかもしれません。なお、仕事を辞めたいからといって奨学金返済のために消費者金融で借金をすれば、高い金利がついて余計に返済で苦しむことになるので注意しましょう。

契約期間が終了するまで働く

奨学金をすぐに返せる見込みがない看護師は、お礼奉公の期間が終了するまで今の職場を辞めないという選択も必要でしょう。今は「辞めたい」というネガティブな気持ちが膨らんでいる方も、少し視点を変えることで、職場の良いところや続けるメリットなどが見えてくるはずです。特に新人看護師の場合、業務経験が浅いために仕事で躓く人は多いもの。落ち込んだ際に、気持ちをうまく切り替える工夫をしてみましょう。
プリセプターや周りの人との関係に悩んでいる場合は、「辞める」という決断をする前に、現状を改善する方法を考えたり、上司に相談してみたりするのもおすすめです。

同じ自治体で奨学金制度を引き継げる転職先を探す

都道府県や市区町村の奨学金制度を利用している看護師は、自治体が指定する病院に転職し、残りのお礼奉公の期間勤務すれば、奨学金の支払いを免除してもらえる可能性があります。利用する奨学金制度の規則によって、免除の有無や対象となる病院は異なるので確認してみると良いでしょう。

返済を肩代わりしてくれる転職先を見つける

看護師の代わりに奨学金を返済する「奨学金立替制度」などを用意している転職先を探すのも一つの手です。転職先で返済を肩代わりしてもらえれば、自分で奨学金を支払わずに今の職場を辞めることができます。
ただし、求人情報に前職の奨学金返済について記載している職場は少ないので、看護師自身で返済を肩代わりしてくれる職場を探すのは、難しいかもしれません。
また、奨学金を肩代わりしてくれた転職先でも、新たに勤務するうえでの条件やお礼奉公期間が設けられる可能性もあります。契約する際はしっかりと確認することが大切です。

レバウェル看護」は多くの求人情報を扱っており、看護業界の採用情報にも精通しているので、奨学金を肩代わりしてくれる病院を探すことも可能です。また、肩代わりについて公表していない職場でも、担当者の交渉次第では対応してもらえる可能性もあります。気になる方は、ぜひ一度「レバウェル看護」にご相談ください。

実際の転職事例

実際にレバウェル看護へ相談し、転職された看護師の事例をご紹介いたします。
病棟看護を経験するため奨学金を肩代わりしてくれる病院に転職した事例
臨床経験を積むため奨学金制度による条件内で転職先を探した事例

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お礼奉公中の看護師が休職する場合の奨学金は?

病院が定める規約によっても異なりますが、休職中は働いた期間として換算されないのが一般的です。そのため、お礼奉公の期間が残っている状態で休職する場合は、復職したあと残りの期間分働く必要があります。休職後に復帰せず退職する場合は、奨学金を返金しなければなりません。
結婚・出産・育児、体調不良、精神的ストレス、資格取得といった休職理由に関わらず、休職している間はお礼奉公として認められない可能性が高いでしょう。

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お礼奉公中の看護師が病院に退職を拒まれたら?

退職を申し出たものの、お礼奉公の期間中であることを理由に病院側に拒まれてしまうこともあるでしょう。しかし、前述したとおり、看護師には自由に退職する権利があります。「お礼奉公の途中で辞めるのは申し訳ない」という姿勢を示しつつ、「辞めたい」という意思をはっきりと伝えましょう。また、以下のようなケースもあるので注意が必要です。

病院側が違約金や賠償金を請求するのは違法!

お礼奉公の途中で退職を申し出ると、病院が看護師に違約金や賠償金を請求して引き留めようとするケースもあるようです。しかし、「労働基準法」の第16条に「労働契約の不履行について、違約金を定める、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」とあり、退職を申し出た看護師に、病院が違約金や賠償金を提示するのは、法律に違反する可能性があります。看護師自身の過失により損害を生んだ場合などをのぞき、辞める看護師が違約金や賠償金を支払う必要はありません。

出典
e-Gov法令検索「労働基準法」(2022年9月27日)

退職が難しいときは、労働基準監督署に相談を

円満退職を望むならば、できるだけ当人同士の話し合いで解決するのがベストです。しかし、退職を申し出たものの応じてもらえない場合は、「労働基準監督署に相談する」と病院側に伝えるのも一つの手段です。「労働基準監督署」とは、労働に関する相談を受け付けたり、法律を遵守していない企業への指導を行ったりする機関のこと。病院側は労働基準監督署の調査が入るのを懸念して、退職を受け入れてくれるかもしれません。
また、違約金や賠償金を求められてトラブルになりそうな場合は、実際に「労働基準監督署」に相談してみても良いでしょう。

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まとめ

お礼奉公期間の途中で職場を退職すると、タイミングや病院との契約内容によっては、奨学金の全額返金や一括仕払いを求められる可能性もあります。
今の職場を辞めたい看護師は、返済方法や返済額をよく確認したうえで、退職を検討しましょう。

また、今の職場に不満があって転職を考えている方は、自分のやりたいことや大事にしたいことを明確にしたうえで、転職活動を進めることをおすすめします。
今の職場を早く辞めたいからと焦って転職先を決めてしまうと、次の職場でも短期離職することにもなりかねません。
転職先で重視することを書き出して、譲れない条件を絞ったうえで求人を探してみましょう。自分一人で考えるのが難しい方は、友人や家族のほか、転職サポートのプロであるキャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの方法です。

転職エージェントの「レバウェル看護」では、看護師さん一人ひとりのお悩みやご希望をヒアリングして、条件にマッチする職場をご案内します。
また、看護師の転職に詳しいキャリアアドバイザーが選考対策を実施し、転職成功に向けてサポート。職場の雰囲気なども分かる範囲でお伝えしているので、人間関係などが気になる方にもおすすめのサービスです。「奨学金返済を肩代わりしてくれる病院を探したい」という方のご相談にも対応しているので、今の職場を辞めたいと考えている方は、ぜひ一度「レバウェル看護」にご相談ください。

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