“憧れに近づきたい”世界的ミスコンテストを通して進化し続ける女性【MGJファイナリストインタビュー03】透析看護師・松田里美さん

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世界的ミスコンテスト「ミス・グランド・インターナショナル2017」で、日本のファイナリスト11名に選ばれた3名の現役ナースにインタビューする企画。

第3回は、透析室に勤務する松田里美(まつだ・さとみ)さん。実は目立つことが苦手だという松田さんですが、この大会を通して世界へ向かって大きく羽ばたこうとしているようです。

“こういう風になりたい”憧れが私の原動力


タイトな黒のワンピース姿で登場した松田さん。ひときわ目を引く美脚と抜群のスタイルで、ファイナリストの風格を漂わせています。ですが少し恥じらいながら見せる笑顔にはあどけなさが残り、話す声は控えめ。そこに素直さが伺えます。

「高校生の時に母が入院して、看護師さんたちが母だけでなく私にもとても優しくしてくれました。病院へ行く度に笑顔で挨拶してくれたり、「学校帰り?」と声をかけてくれたり、すごく感じがいい人たちだなと思いました。

私が何かで困っているとすぐに気づいて聞いてくれて、看護師さんの観察力ってすごいなぁと憧れました。私もこういう風になりたいって」

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それから松田さんは進学のために故郷の北海道から上京。都内の看護専門学校を出た後、憧れの看護師になります。

業務に必死だった1年目。2年目で未知の透析室へ異動


新卒で呼吸器科に配属された松田さん。1年目はとにかく業務を覚えることに必死だったと言います。ところがようやく仕事に慣れてきた2年目になって、透析室へと異動になったそう。

「異動と聞いて戸惑いました。学校の実習でも関わることがなかったので、『透析って何をするんだろう。今までの病棟とは何が違うんだろう』と不安が多かったです」

しかも透析室に同期はおらず、新人は松田さんだけ。先輩みんなが教えてくれる環境でしたが、初めての穿刺では手が震えたと言います。

「透析で一番大変だと感じるところは、時間に追われるところですね。

1日に4、5人の患者さんを受け持つことが多く、それぞれの患者さんが来る時間も、終わる時間も決まっています。1度透析を始めると、4時間後には返血を終えなければならないので、15分おきに順番に患者さんたちを穿刺していって、終わるのも15分おきになります。

だから穿刺が1度で上手くいかないと、止血に10分くらい時間がかかってしまって、その後も順にズレていってしまいます」

時にはそんな“焦り”から、穿刺が上手くいかないこともあったと言います。

「止血しながらすごく悲しい気持ちになりました。患者さんにごめんなさいって。何度も針を刺されるのは患者さんにはとても嫌なことだと思うので、申し訳ない気持ちでいっぱいで…」

そんな松田さんでしたが、看護師3年目に入り、透析看護のやりがいも感じられるようになったと言います。

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透析に行きたくないと思わないようなコミュニケーションを


「透析を始めて間もない導入期の患者さんは、正直、透析室に通いたくないという気持ちが強いと思うんです。週3回4時間ほど治療に時間を取られるので、生活も変わります。

食事制限も色々とあって、水をいっぱい飲んではいけないとか、リンやカリウムの多い食べ物は控えるとか、好きなものを食べられないんです。さらに毎回、太い針で刺されるので、きっとすごく嫌だと思うんですよね。

それでも透析には生涯通い続けなければいけない…。だからこそ、患者さんが透析に行きたくないと思わないようなコミュニケーションを心がけています」

同じ患者さんと頻繁に長く関わっていくのは、透析看護の特徴。患者さんと良好な信頼関係を築いていくには、まず安全に透析を行えることが大前提だと、松田さんは話します。

「異動して来たばかりの頃は、何年も通われている患者さんから『あなたが刺すの?やめて』と言われたこともありました。でもそんな時、先輩が『私が見てるから大丈夫ですよ』と患者さんに言ってくれて」

松田さんは徐々に独り立ちできるようになったものの、時には患者さんに「心を開いてもらえていない」と感じることもあったそう。

「どの患者さんとも2日に1回程度のペースでお会いするので、その日の表情や声のトーンから『いつもと違うな』と気づくことがあります。そういう時は声をかけるようにしていますが、患者さんがあまり話したくなさそうな時には、深く聞かず観察するようにしています。

透析が始まると、バイタルを測りながら患者さんとコミュニケーションを取れる時間があります。自分から話すのは正直得意なほうではないんですけど、その分、患者さんから話しかけられた時には、相手が話しやすいように笑顔で傾聴することを心がけています。そうしていくうちに、だんだん患者さんたちと仲良くなれました」

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「ありがとう」と言われることに"やりがい”を感じる日々


信頼関係が築けると、患者さんへの生活や食事の指導も上手く伝わるようになり、やりがいを感じる瞬間が増えていったと言います。

「月一度の採血の時には検査データが出るので、それを見ながら普段の食事内容を聞いて、『もっとこういう食事をしたほうがいいですよ』などと指導をしています。それから毎回、血圧を手帳につけてもらい、血圧が高い場合は先生にお薬の相談をしたり、患者さんのドライウェイト(※)が合っていなければ、原因を考えて指導をしています。

それで状態が改善して、患者さんから『ありがとうね』と笑顔で言われると、ああ、役に立てたんだなと実感できて、本当に嬉しいですね」

※ドライウェイト…体内の水分バランスが取れた適正体重のこと。腎不全を起こすと不要な水分が体に溜まりやすくなるため、余分な水分を取り除く(除水)必要があり、その時の基準になる。

存在感を消すことに努めていた私が、ミスコン出場を決意


「積極的に発言するのは、小さい頃から苦手で。むしろ存在感を消すことに努めていました。できれば目立ちたくない…みたいな」

そんな彼女も時々、言いたいことを言い出せない自分が嫌だと感じることがあったそう。

「人前で喋るのが上手な人に、『どうしてそんな風にできるの?』と聞いたら、『場数をこなすしかないよ』と言われたことがありました。だからミスコンに出ることで“美”が磨けるのはもちろん、“人前で話す”良い機会になるんじゃないかと思いました」

ミスコンに注目したのは、松田さんのお友達が1年前にミスコンの大会に出場したことから。

「友達がミスコンに出て、すごいキレイになっていったんです。それで興味を持ってネットで調べてたら、去年のミス・グランド・ジャパンの動画が出てきたんです。出場者の皆さんが美しくて、自信に満ち溢れたオーラで、『なにこれカッコイイ! 私もこういう風になりたい!!』と思ったんです」

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看護師を目指した時のように、松田さんはミスコンの舞台で輝く女性たちの姿に憧れ、動き出します。

ファイナリストに選ばれたのに、消せない劣等感


松田さんはまずミス・ユニバースに挑戦し、ミスコン初出場ながら北海道大会のファイナリストに選ばれましたが、日本大会への切符は得られず。続いてミス・グランドに挑戦します。

「ミス・グランドの北海道大会では、緊張しすぎて何も覚えていないんです。次のセミファイナルでは他の出場者の方から『地方大会にいましたよね?』と声をかけて頂いたんですけど、私はその方が記憶になくて…。

自己PRは完璧に覚えたつもりでいたんですけど、緊張して本番で上手く伝えられたのかどうか自信が持てませんでした。だからその後にウォーキングを終えた時は、『ああ、絶対に落ちたな』と思ったんです」

それでも自分のできる精一杯のアピールをした彼女は、日本大会(日本決勝)へと駒を進めます。

「ファイナリストの11名には選ばれましたが、嬉しい気持ちと同時に不安になりました。他のみなさんは落ち着いてスピーチをして、自信に溢れていて、本当にすごいなぁ、私はついていけるのかなぁ…と。私は学生時代に部活もやったことがなくて、必死に頑張ってきたという経験がないんですよ」

そう話す松田さんですが、看護師になるには相当な努力が必要だったはず。ファイナリストに選ばれたというのに、彼女にはまだ自信がないようでした。

ファイナリストとしての、自覚の芽生え


「ファイナリストに選ばれてから、意識が変わったと思います。食事や運動、服装にも“ミスらしさ”を求めるようになりました。私は『歩き方がお化けみたい』だとよく言われるので、歩き方が綺麗な人の映像を見て研究したり、ファイナリストの仲間とウォーキングの練習をしています。

最近は、人気のない早朝の駐輪場で三脚にビデオカメラをセットし、自分のウォーキングを動画に撮って、手の振りなどをチェックしています」

また、日本大会に向けてさまざまなトレーニングにも励んでいるという松田さん。腹筋が割れ、体脂肪率も下がったのだとか。

「食事面では頑張り過ぎたことがストレスになって、一時期過食してしまいました。今ではごはんの量を半分にしたり、なるべくタンパク質が多い食材を選ぶなど、無理をしないようにできることをしています。
甘いものは、仕事ですごく頑張ったなと思う日のご褒美として食べるようにしています。あとは寝不足だと食欲が増えてしまうので、質のいい睡眠を取る工夫はしていますね」

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ファイナリストに選ばれ、変化していく自分を感じて


見た目の変化だけではなく、内面にも大きな変化があったよう。

「職場には大会のことは話していませんが、それでも『プライベートのことばかりやっていて、仕事を疎かにしている』とは言われたくないので、しっかり両立できるように頑張っています。ファイナリストになってから、なぜか仕事が楽しいんです。患者さんとも、以前より自信を持って話せるようになりました」

そう話す松田さんの目には力強い光が宿り、口調もハッキリとしてきて、彼女がこの大会を通して得たものが垣間見えました。

「スピーチのトレーニングでは、メンバーそれぞれの出来が順位で発表されます。私は最下位になることが多くて、それは自分を理解できていないからだと思うんです。

だから今は、自分がどういう仕事をしているのか、なぜこの仕事をやっているのか、深く考えるようになりました。今までそんな経験はありせんでしたが、大会のスピーチや質疑応答の準備をすることが、自分についても仕事についても知っていく良い機会になったと感じています」

優しいライバルの存在が気づかせてくれたもの


「ミスコンに出るまであまり目立つ方ではなかったので、周りからは『いきなりどうしたの』とか『痩せたね』と驚かれます。私がInstagramを更新すると、母や祖母から『頑張ってるね』『すごい』と、毎回のようにメッセージが届くんです。すごく嬉しくて励みになっています」

故郷のご家族は彼女の変化に驚きながらも、エールを送ってくれているそう。

「最初は『コンテスト=闘い』というイメージで、他の出場者は敵だと思っていたんです。でもレッスンを受けていくうちに、だんだん仲良くなっていきました。それでトレーニングがしんどい時には『一緒に頑張ろう』と声をかけてくれたり、私がスピーチを上手くできなくて落ち込んだ時には励ましてくれたり。みんなの優しさが嬉しくて、またやる気になれました。

私も誰かがつらそうにしている時には、声をかけて励ませる人になりたいですね。ライバルではあるけれど、一緒に頑張っていけたらいいなと思います」

かつてお母さんの入院先で大きな安心を与えてくれたナースや、ミスコンの舞台で華やかなオーラを放ち、観る人に希望を与えていた女性たちに憧れた松田さん。彼女は今、そんな影響力のある女性へと変貌を遂げようとしています。

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誰かと比べるのではなく、自分の可能性を広げていきたい


将来の夢は、透析にずっと関わっていくことだという松田さん。透析の認定看護師にも興味があるそう。最後に松田さんは、次のように語りました。

「ここまで読んでくださってありがとうございます。私はミス・グランド・ジャパンの大会を経験することで、新しい自分と出会うことができました。

ファイナルが迫ってきて楽しみでもありますが、まだ不安の方が大きいです。今でも、『自分はだめだ』とトレーニングのやる気を失うぐらい、落ち込む日もあります。だけど他の人と比べるのではなく、以前の自分と比べて日々進歩できていればいいと思えるようになりました。少しでもそれができたら自分を褒めて、マイナスの気持ちにならないように頑張っています。

今回、ミス・グランド・ジャパンに出場したからこそ気づけた自分の可能性を、これからもっと広げていきたいです。そしていつかそれを周りの人や看護の現場などに生かして、社会貢献できる女性に成長していけたらと思っています。こんな私ですが、どうぞ応援をよろしくお願いします」

時に自信をなくしながらも、ミス・グランド出場を通して、仕事でも人生でも自分の殻を打ち破り、ダイナミックに成長を続ける松田さん。その憧れに向かって進む姿こそが、彼女の最大の魅力なのかも知れません。

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『ミス・グランド・ジャパン2017』ファイナルは、いよいよ2017年9月12日に開催。『ナースときどき女子』では、これまで取材した看護師の皆さんの雄姿と結果をお届けします。どうぞお楽しみに!
※記事内容は、2017年8月17日取材時点の情報を基にしています。

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