ノロウイルスによる感染性胃腸炎の予防とその対応について

2017.11.11

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看護師が注意したい感染症のひとつがノロウイルスによる感染性胃腸炎です。感染の拡大を防ぐためにはどのように対処すればよいのでしょうか。感染性胃腸炎の予防と対処方法とあわせて解説したいと思います。

ノロウイルスについておさらい

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ノロウイルスに感染する主な原因は、二枚貝などノロウイルスに汚染された食品を生、あるいは加熱が不十分な状態で食べることです。

感染者の吐物や糞便にはノロウイルスが含まれるので、これらに触れること、空気中に舞い上がったノロウイルスを吸い込むことなどでも感染します。ノロウイルスに感染すると激しい嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状が現れます。

潜伏期間は12時間~48時間程度です。症状は5日程度で治まりますが、症状が治まってからも3日~7日間程度はウイルスが便に排泄されます。また、感染しても症状が現れない健康保菌者もいます。

 
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ノロウイルスによる感染を予防する方法

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基本的に、病棟内でノロウイルスに1次感染することはないので、病棟内にノロウイルスを侵入させないことで感染を予防できます。感染が疑わしい場合には、感染の拡大を防ぐために、入院患者さんのスクリーニングや個室隔離などを行います。

ノロウイルスは、面会者・医療従事者から病棟内に侵入する恐れもあります。これらの外部からのノロウイルスの侵入を予防するため、ノロウイルスによる感染が疑われる面会者の制限、医療従事者の健康状態のチェック、手洗い・加湿なども徹底します。

以上を徹底しても、ノロウイルスが病棟内に侵入することがあります。下痢や嘔吐などノロウイルスへの感染が疑われる患者さんが発生した場合は、主治医に報告します。

ノロウイルスによる感染は、ノロウイルス抗原検査キットで確認します。ただし、感染していても陰性になる場合があるので、症状や状態などを観察しながら結果が出るまでの間は、ノロウイルスに感染しているものとして対処します。

ノロウイルスに感染している、あるいは感染している疑いのある患者さんの看護は、個人用防具を装着して行います。具体的には、マスク(できればN95)・ガウン・ゴーグル・使い捨て手袋などを装着します。看護に使用した防護具、患者さんが使用したもの(オムツ・食器など)は、その場で袋に入れて密閉するなど処理します。

嘔吐物の処理方法

ノロウイルスによる感染性胃腸炎の代表的な症状が激しい嘔吐です。ノロウイルスに感染すると、患者さんが院内で嘔吐することもあります。嘔吐物は感染源になるので正しく処理することが重要になります。

個人用防具を装着した看護師が、嘔吐物に凝固剤を散布します。続いて、ペーパータオル(0.1%に希釈した次亜塩素酸ナトリウムに浸したもの)で、嘔吐物を外側から内側に向かって集めます。集めた嘔吐物を密閉バケツ(袋をセットしておく)に回収・密閉します。個人用防具を処理して、手指を洗浄・消毒します。

ノロウイルスによる感染時の対応

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病棟内でノロウイルスによる感染が発生した場合には、勤務する病院の院内感染マニュアルに従います。患者さんの受け入れを可能な限り制限し、患者さんを病棟外に出さない、病棟内の消毒を徹底するなどを行うことになります。

まとめ

冬季に感染拡大を起こしやすいウイルスとしてノロウイルスが挙げられます。非常に感染力の強いウイルスなので、適切な対処が求められます。基本的な対処法は、感染源を遮断することです。具体的には、患者さんのスクリーング、面会者の制限、医療従事者の体調チェックなどがあります。

病棟内でノロウイルスによる感染性胃腸炎が発生した場合には、個人用防具を装着して看護にあたり、嘔吐物などを適切に処理することが重要です。ノロウイルスによる感染時の対応は、勤務する病院の院内感染マニュアルに従います。感染を広げないよう感染性胃腸炎の知識と院内の感染マニュアルを把握し、感染を広げないよう日頃から対処法などについて確認しておくことが重要になります。

 
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