同僚同士の会話で、生理痛がひどい看護師の話はよく聞くかと思いますが、その中でも月経前不快気分障害の看護師も少なくないようです。
この月経前不快気分障害をしっかり治療することが、看護師のうつ病を予防すると予測される論文が発表されています。「生理は病気じゃないから」という意識はもう古い考えなのです。
今回は月経前不快気分障害についてと、それを放置せず治療するべき理由についてお伝えします。
『月経前症候群(PMS)」という言葉は、以前と比べてずいぶんと市民権を得てきたのではないでしょうか。看護師の職場によっては、「生理休暇」を設けいているところも少なくありません。
生理前に訪れる自分でも訳の分からないイライラや、突然の肌荒れ、理由もないのになんだか体調不良、そういったものをまとめて『月経前症候群』といいます。
その中でもメンタルの症状が強く、日常生活に影響が出てしまう状態を『月経前不快気分障害(PMDD)』と呼びます。
例えば、生理前になるとどうしても暴言を吐いてしまう、普段はそうじゃないのに攻撃的になってしまう、抑うつ気分が強く、自殺願望から自傷行為を誘発してしまう、という状態を指します。
これらは、生理前2週間以内にはじまって、生理になると数日で治まります。以下のような症状がある人は、月経前不快気分障害について婦人科で相談してみましょう。
・絶望感が強くうつ状態が激しくなり、気力がなくイライラが止まらない。
・不安感が強く、急に号泣したり攻撃したりする。
・仕事に行きたくなくなり、引きこもったり、異常に眠かったりする。
・性欲や食欲を抑制できず自分でコントロールができなくなる。
・下腹部や頭が痛かったり、乳房が張って痛んだりと、日常生活に影響が出る。
・人の言葉に過敏になり、自殺衝動に襲われてしまう。
思い当たる症状がいくつかある方もいらっしゃるかと思いますが、月経前不快気分障害は、これらの症状が日常生活に影響を与える程度にひどいケースを指しています。
月経前不快気分障害は、婦人科を受診することで治療を行うことができます。
2007年に日本女性心身医学会雑誌に掲載された論文について紹介します。
当時、昭和大学病院および昭和大学附属東病院に勤務していた、20~50歳の女性看護師861名を対象にアンケート調査(※)を実施しています。
アンケートの項目に、月経前不快気分障害の症状を呈するものと、うつ病の症状を呈するものを設置して回答を得たところ、月経前不快気分障害と思われる看護師が4.2%いることが分かりました。
そして興味深いことに、その4.2%の看護師は、うつ病と思われる症状を並存していることが分かったのです。つまり、月経前不快気分障害の看護師には、他の看護師と比較してストレスを強く感じており、うつ病も併発している可能性が高い、という結果となりました。
月経前不快気分障害は、正しく診断して治療すれば症状の緩和が可能で、通常の日常生活を送ることができるようになる疾患です。月経前不快気分障害をちゃんと治療していけば、うつ病の発症も抑えることができるであろう、と論文は結んでいます。
月経前不快気分障害(PMDD)は、生理前の約2週間に症状が現れます。基礎体温をつけることで、月経前不快気分障害の症状がでているかどうかの判断ができます。
月経前不快気分障害が出ている場合には、「生理前なんだから仕方ない」とあきらめずに、早めに婦人科の受診することをおすすめします。月経前不快気分障害はひとつの病気です。早めに受診することで、併発しやすいうつ病やそれに付随する症状も抑えることが期待できますよ。
生理のつらさは人によって違います。みんなが大丈夫だから自分も我慢しなければいけないと考えるのはもう古い常識です。自分の心身の健康を守るためにも、不安に感じたらぜひ婦人科へ相談してみてくださいね。
※参考:日本女性心身医学雑誌 看護師アンケートhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/12/1-2/12_KJ00004604154/_pdf
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