仕事
2018.12.11
手術にはそれぞれ長い行程があります。基本的には、手術前までにわからないことがないように執刀医や先輩看護師、臨床検査技師若しくは業者さんに不安な点の確認をするか、自分で下調べをしておきます。
しかし、緊急の手術の担当になって初めての独り立ち手術となった時や、久しぶりの術式だと緊張で「頭が真っ白に・・・」とか「やばい!うっかり忘れちゃった!」なんてことあったらマズイんですが、恐らく誰しもあります。
そんな時は、まず仕事を放り投げて逃げるわけにはいかないので「しっかりしろ!大丈夫だ、なんとかやり遂げられる!」と正気を保ってください。私も何度もそう自分を奮い立たせてきました。そして、次に「困った!わからない!」をどうにかしましょう。
代わりのスタッフがいれば交代も視野に入れて、患者さまにとって最善の方法を選択します。手術に関する不安がある時は、手術前にリーダーと相談して調整してもらいましょう。調整ができない場合は、自分で調べるか、その時間がなければ誰かに聞くしかありません。そんな時は一体誰を頼ればよいのでしょうか。
自分が直接介助につく場合は、間接介助看護師に聞くことができます。
器械のトラブルや不具合、操作方法や手術の介助についてなどは間接看護師に分からない旨を伝えるとアドバイスをもらうことができます。基本的には術前にペア同士さっと打ち合わせをします。術中であっても間接介助看護師は直接介助看護師の指示で物品や薬剤を用意することがあるため、比較的声をかけることが可能です。
間接介助看護師が対応できない場合は、電話でリーダーや他のスタッフや臨床工学技士、業者さんに確認や応援を依頼してもらいましょう。
一方で、間接介助看護師が手術介助に関する内容以外で直接介助看護師に話しかけることはタブーとされます。直接介助看護師は執刀医と同様に手術に集中しており、極力術野や器械から目を逸らすことを避けたいからです。必要最低限、どうしても確認を取りたい時は、手術の進行を見ながらタイミングを考えた上で了承を得てから声かけをします。
間接介助看護師は必要に応じて、リーダーに手術の進行状況や生じている問題を報告して指示をもらいます。リーダーがラウンドするタイミングでも報告・相談は可能ですが、急ぎの用件は電話連絡をします。
また、術前になんらかの手術操作においてリスクが高いことが分かれば事前にリーダーに報告・相談しておくとスタッフの交代や必要な器械の手配等気に留めておいてもらえます。また、人工心肺や手術顕微鏡、MEPなどの使用がある場合は、手術室内に臨床工学技士も同席している場合もあります。
手術機器のトラブルに関する内容は臨床工学技士に報告して対応を依頼します。近年では腹腔鏡などのカメラを用いた手術が増えているため、手術機器や麻酔機器の点検や管理のために手術室専属の臨床工学技士がいる施設もあります。間接介助看護師が電話連絡することで対応してもらえます。
使用する薬剤の製薬会社さんやインプラント、器械などの医療機器のメーカーさんが手術に立ち会うことも多々あります。また、手術室への物品の補充のために定期的に業者さんが出入りしていることもあります。不明な点は直接業者さんに確認することができます。
また、立会いがない手術であっても電話によって24時間連絡が可能な場合が殆どです。緊急手術での機械の不具合やインプラント、シースなど適合性や不足や不明点、執刀医の指示でも連絡を依頼されることもあります。
術式や手術に使用する器械、患者さまに関することは執刀医に必ず確認します。手術原票だけでは不足している情報は前日にリーダーや器械担当の看護師(定時の手術で使用する器械、物品のすべてを管理しているスタッフを指す)が執刀医に確認をしている場合があるため、先に相談するとよいでしょう。それでも不明な点があれば、執刀医と直接話し合っておきます。
手術中は、特に間接介助看護師からは執刀医には極力声かけをしないようにします。検体に関することやインプラントなど手術に関する内容は、緊急の要件を除いてタイミングを考えて確認するようにしましょう。
直接介助看護師が手術介助方法や物品の確認などを行いたい場合は、タイミングをみて第一助手又は第二助手に質問するとスムーズです。しかし、直接介助看護師が、術中に執刀医や介助の医師と手術の進行に関してコミュニケーションを取りながら手術介助を行なっていることは珍しくはありません。確実でスムーズに、そして安全な介助を行うためにお互い必要不可欠な声かけもあります。
体調不良などで具合が悪くなってしまったときは、我慢せずに直ぐにリーダーに相談して交代のスタッフを確保してもらうようにしましょう。
これは難しいですが、手術にも流れがあり直接間接介助ともにすぐ交代することができません。どうしても手が開けられない場面もありますし、もちろん申し送りも必要です。前もって体調不良等はリーダーに申告しておけば余裕を持ってスタッフ配置を行い、スムーズに交代できるのです。
突然倒れられたり、具合が悪くなってしまうと手術が中断してしまうばかりではなく、直接介助中だと術野や器械を不潔にしてしまったり手術中の医師や顕微鏡にぶつかってしまう可能性もあるからです。
私たち手術室看護師は、常に患者さまにとってベストを尽くすことが求められます。
しかし、それぞれ患者さまの状態が違ったり、状況が異なったりする中で「わからない!」「困ったぞ!」「これでいいのかな?」と感じる場面も多く経験することになります。そんなときは、決して恥ずかしがらずに疑問を声に出して確認していくことが必要です。これは、患者さまの安全を守る上でとても重要になってきます。
手術は看護師をはじめ、外科医、麻酔科医、病理医、臨床工学技士、薬剤師、臨床検査技師など多くのスタッフによるチームによって成り立っています。生じた疑問や問題は、一人で抱え込まず、早期に報告・相談することによって連携しながら安全に手術が行われるように努めていきます。
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