専門看護師は、特定の分野に対し高水準の看護を提供できる資格です。看護師資格を持っていれば、誰でも目指すことができる資格ですが、認定看護師とはどのように違うのか知りたい人も多いでしょう。
このコラムでは、専門看護師の役割や認定される各専門分野について詳しく紹介。また、認定看護師との違いも解説します。専門看護師について知りたい人はぜひ参考にしてみてください。
専門看護師とは、特定の専門分野における知識や技術を活かし、患者とその家族に高水準の看護を提供することを目標として業務を行う看護師を指します。専門看護師の役割は、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つで、優れた看護実践能力が必要です。また、専門看護師は保険医療機関に貢献し、看護学を向上させる取り組みも行っています。
2016年時点で、専門看護師制度委員会が認めている専門看護分野は全部で13種類です。それぞれの分野にどのような特徴があるか確認しましょう。
がん患者が持つ精神的な苦痛を和らげ、生活の質の向上を目指すケアを行います。英語表記は「Cancer Nursing」といい、1996年6月に認定されました。各分野の中で最も古く認定された分野です。
精神疾患を持った患者に対し、高水準の看護を提供します。一般病院では、患者の抱える問題を解決するために身体科と連携しながら対応していく「リエゾン精神看護」の役割も。英語表記は「Psychiatric Mental Health Nursing」で、がん看護と同じく1996年6月に認定されました。
産業保健・学校保健・在宅ケアなど、地域の保健行政で高水準のケアを行います。また、保健医療福祉に働きかけ、貢献することもあるでしょう。英語表記は「Community Health Nursing」といい、1997年6月に認定されました。
病院や老人ホームなどの高齢者が利用する施設において、生活の質を向上させるための看護を行います。対象は、認知症や嚥下障害を持った高齢者です。英語表記は「Gerontological Nursing」といい、2002年5月に認定されました。
子どもたちが成長していけるよう療養生活を支援します。専門看護師は、ほかの医療従事者と連携することで、高水準の看護を提供することが可能です。英語表記は「Child Health Nursing」といい、2002年5月に認定されました。
周産期母子や女性の健康管理を重点的に看護します。また、看護以外に女性の健康支援も母性看護の役割です。英語表記は「Women’s Health Nursing」といい、2003年3月に認定されました。
生活習慣病の予防や長期的な不調を抱えている患者に対して、慢性疾患の健康管理を行います。また、療養施設へ高水準な看護を行うことも。英語表記は「Chronic Care Nursing」といい、2004年3月に認定されました。
緊急性の高い患者に対して、最善の治療が受けられる用に調整をします。また、医療従事者だけでなく、患者とその家族とも調整を行うよう支援するのも大切な役割です。英語表記は「Critical Care Nursing」といい、2005年3月に認定されました。
施設内などでの起こりえる感染を予防。また、感染発生時には適切な処置を施し、患者に高水準な看護を提供します。英語表記は「Infection Control Nursing」といい、2006年11月に認定されました。
家族支援分野では患者やその家族に対し、本来のセルフケア機能を高める指導を実施。主体的に問題を解決できるように看護を提供し、患者の回復を促進するための支援も行います。英語表記は「Family Health Nursing」といい、2008年11月に認定されました。
在宅療養を行っている患者とその家族に対し、日常生活を送りながら治療を続けられるよう支援。また、ケアシステムの構造や連携を補足し、看護水準の高いサービスの提供も行っています。英語表記は「Home Care Nursing」といい、2012年12月に認定されました。
対象者を診断し、遺伝的な課題を見極めます。その後、予防や治療に伴う意思決定の支援と生活の質の向上のための支援を開始。遺伝子情報によってどのような治療を行うのか模索するゲノム医療へも貢献しています。英語表記は「Genetics Nursing」といい、2017年12月に認定されました。
限られた資源の中で、メンタルヘルスを含む適切な看護を行います。日頃から行政などと連携し、災害・防災体制の構築を行うことで、看護の発展に繋がるでしょう。英語表記は「Disaster Nursing」といい、2017年12月に認定されました。
よく専門看護師と一緒に取り上げられるのが認定看護師です。この2つの違いを確認しましょう。
専門看護師は、保健医療福祉に貢献し、特定の分野の知識と技術を用いた看護学の向上を目的としています。認定看護師は、特定の分野のケアと質の向上を図り、ケアの広がりと質の向上を目的としています。
前述のとおり、専門看護師に求められる役割は、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つです。専門看護師はケアだけではなく、医師や所属する施設以外の機関とも連携して看護レベルの向上も行っています。6つの役割の詳細は以下のとおりです。
1.個人や家族に対し優れた看護を行う(実践)
2.ケア提供者に対し、問題解決への検討を行う(相談)
3.必要なケアが円滑に行われるよう、保険医療福祉の携わる人々の調整を行う(調整)
4.個人や家族の権利を守るため、倫理的問題の解決を図る(倫理調整)
5.看護者に対して、ケアを向上させるための教育を行う(教育)
6.専門的な技術や知識、開発を図るために研究活動を行う(研究)
専門看護師は患者やその家族が抱えている問題の解決を行ったり、他職種との調整を行ったりするため、看護全体を幅広くみる力が必要でしょう。
一方、認定看護師に求められる役割は、実践・指導・相談の3つです。それぞれの役割の詳細は以下のとおりです。
1.個人や家族に対し、優れた看護を行う(実践)
2.看護実績を通し、看護職員に指導を行う(指導)
3.看護職員に対し、より良いケアのための相談を行う(相談)
以上のことから専門看護師は認定看護師よりも求められる役割が多いことが分かります。専門看護師はケアが円滑に行われるための手配や、看護の質を向上させるための研究、保険や福祉などのさまざまな分野の関係者との調整なども行うのです。
一方、認定看護師は、現場における指導や実践が中心です。このことから、専門看護師は看護全体に関わるスペシャリスト、認定看護師は現場のスペシャリストといえるでしょう。
専門看護師になるには実務研修経験が5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野で実務研修を実施したうえで、看護大学院で38単位中26単位を取得しなければなりません。単位を取得すると、認定試験を受けることができ、合格すると専門看護師認定証が交付されます。看護師資格を取得してから臨床経験が5年、日本看護系大学協議会が定める学校に2年通わなければならないため、専門看護師になるためには早くても7年はかかるでしょう。
一方、認定看護師の場合、5年間の臨床経験を積んだのち、看護系専門学校で一定時間以上の教育を受ける必要があります。2026年度で教育が終了するA課程認定看護師教育機関では600時間以上、2020年度から教育が開始されたB課程認定看護師教育機関では800時間程度が必要です。
専門看護師の資格取得には時間が掛かるため、勉強に専念するために退職や休職をする人もいます。。専門看護師になりたい方は、「なんとなく」という気持ちで目指すのではなく、まず資格を取得したい理由を明確するのがおすすめです。
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