看護師を目指している方で、初任給はいくら貰えるのか気になる人は多いのではないでしょうか。また、学歴や病院規模、設置主体によって初任給にどれほどの差があるのか気になる方もいるでしょう。
このコラムでは学歴や病院規模、設置主体別の看護師の初任給をご紹介。給与アップを目指す方法もまとめているので、今後の参考にしてみてください。
まずは、日本看護協会のデータを参考に、2020年採用の看護師の初任給を学歴別に見ていきましょう。
専門卒の平均基本給与額は201,263円。
通勤手当や住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当などを含むと、総額平均は264,307円です。
大卒の平均基本給与額は207,856円。
通勤手当や住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当などを含むと、総額平均は272,018円です。
平均基本給与額で見ると、専門卒と比べて約6,600円ほど高くなっています。
大学院卒の平均基本給与額は211,814円。
通勤手当や住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当などを含むと、総額平均は277,472円です。
平均基本給与額で見ると、専門卒と比べて約10,000円、大卒と比べて約4,000円ほど高くなっています。
全学歴では平均基本給与額は206,978円、総額平均は271,266円です。なお、本コラムにおける全学歴の平均基本給与額と総額平均は単純平均で表したものになります。
日本看護協会の調べによると、基本給は2012年よりも2020年ののほうが高くなっていることが分かります。
2012年が196,368円、2020年が201,263円です。
約4,900円、上昇しています。
2012年が203,262円、2020年が207,856円。
約4,600円の上昇です。
2012年が207,464円、2020年が211,814円です。
約4,400円、上昇しています。
2012年から2020年の9年間で、どの学歴においても約4500円前後の基本給の上昇が見られました。
参照元
日本看護協会
2019年 病院看護実態調査(P.37)
2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査
ここでは、全職種と看護師の初任給の差を見ていきます。
厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査結果によると、2020年の学歴別における全職種の初任給は以下の通りです。
・高校卒:167,400円
・高専、短大卒:183,900円
・大卒:210,200円
・大学院卒:238,900円
いずれの学歴においても看護師の初任給のほが高いことが分かります。看護師には夜勤手当や当直手当などが含まれていることが要因といえるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給
看護師の初任給は設置主体別によっても差がありました。日本看護協会のデータを参考にしながら見ていきましょう。詳細は以下の通りです。
国が設置主体である国立の医療機関の初任給は、以下の通りです。
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は200,050円、諸手当を含めた総額平均は262,608円
・大学卒:平均基本給与額は209,670円、諸手当を含めた総額平均は273,073円
・大学院卒:平均基本給与額は218,370円、諸手当を含めた総額平均は283,801円
全学歴では平均基本給与額は209,363円、諸手当を含めた総額平均は273,161円です。
都道府県や市町村、地方独立行政法人などが設置主体である公立の医療機関の初任給は、以下の通りです。
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は206,380円、諸手当を含めた総額平均は264,586円
・大学卒:平均基本給与額は214,656円、諸手当を含めた総額平均は273,981円
・大学院卒:平均基本給与額は221,716円、諸手当を含めた総額平均は282,801円
全学歴では平均基本給与額は214,251円、諸手当を含めた総額平均は273,789円です。
日本赤十字社や済生会、厚生農業協同組合連合会などが設置主体である公的医療機関の初任給は、以下の通りです。
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は198,558円、諸手当を含めた総額平均は253,827円
・大学卒:平均基本給与額は206,478円、諸手当を含めた総額平均は262,747円
・大学院卒:平均基本給与額は218,446円、諸手当を含めた総額平均は276,421円
全学歴では平均基本給与額は207,827円、諸手当を含めた総額平均は264,332円です。
健康保険組合およびその連合会、共済組合およびその連合会、国民健康保険組合が設置主体である 社会保険関係団体の初任給は、以下の通りです。
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は216,499円、諸手当を含めた総額平均は279,530円
・大学卒:平均基本給与額は224,948円、諸手当を含めた総額平均は288,626円
・大学院卒:平均基本給与額は234,432円、諸手当を含めた総額平均は301,839円
全学歴では平均基本給与額は225,293円、諸手当を含めた総額平均は289,998円です。
設置主体が医療法人の初任給は、以下の通りです。
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は198,786円、諸手当を含めた総額平均は263,611円
・大学卒:平均基本給与額は204,409円、諸手当を含めた総額平均は270,959円
・大学院卒:平均基本給与額は206,448円、諸手当を含めた総額平均は274,476円
全学歴では平均基本給与額は203,214円、諸手当を含めた総額平均は269,682円です。
設置主体が私立学校法人や社会福祉法人会社、一般企業などの初任給は、以下の通りです。
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は203,327円、諸手当を含めた総額平均は267,717円
・大学卒:平均基本給与額は209,632円、諸手当を含めた総額平均は274,418円
・大学院卒:平均基本給与額は214,019円、諸手当を含めた総額平均は278,801円
全学歴では平均基本給与額は208,993円、諸手当を含めた総額平均は273,645円です。
設置主体別で見ると、医療法人と社会保険関係団体では平均基本給与額で約25,000円ほどの差がありました。特に専門卒(高卒+3年課程)においては、専門卒の平均基本給与額である201,263円よりも約15,000円も高くなっています。
病床規模によっても、看護師の初任給には差が生じています。ここでも、日本看護協会のデータを参考にしながら、病床規模別の初任給を見ていきましょう。
【99床以下】
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は197,883円、諸手当を含めた総額平均は260,434円
・大学卒:平均基本給与額は204,144円、諸手当を含めた総額平均は268,687円
・大学院卒:平均基本給与額は208,129円、諸手当を含めた総額平均は273,852円
全学歴では平均基本給与額は203,385円、諸手当を含めた総額平均は267,658円です。
【100~199床】
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は199,805円、諸手当を含めた総額平均は263,777円
・大学卒:平均基本給与額は205,866円、諸手当を含めた総額平均は270,809円
・大学院卒:平均基本給与額は209,008円、諸手当を含めた総額平均は274,445円
全学歴では平均基本給与額は204,893円、諸手当を含めた総額平均は269,677円です。
【200~299床】
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は201,702円、諸手当を含めた総額平均は262,108円
・大学卒:平均基本給与額は208,298円、諸手当を含めた総額平均は270,189円
・大学院卒:平均基本給与額は210,775円、諸手当を含めた総額平均は274,025円
全学歴では平均基本給与額は206,925円、諸手当を含めた総額平均は268,774円です。
【300~399床】
・専門卒(高卒+3年課程):平均基本給与額は204,167円、諸手当を含めた総額平均は268,988円
・大学卒:平均基本給与額は210,926円、諸手当を含めた総額平均は276,099円
・大学院卒:平均基本給与額は214,376円、諸手当を含めた総額平均は282,807円
全学歴では平均基本給与額は209,823円、諸手当を含めた総額平均は275,965円です。
【400~499床】
・専門卒(高卒+3 年課程):平均基本給与額は205,129円、諸手当を含めた総額平均は266,289円
・大学卒:平均基本給与額は211,880円、諸手当を含めた総額平均は273,551円
・大学院卒:平均基本給与額は215,825円、諸手当を含めた総額平均は280,986円
全学歴では平均基本給与額は210,945円、諸手当を含めた総額平均は273,609円です。
【500床以上】
・専門卒(高卒+3 年課程):平均基本給与額は208,001円、諸手当を含めた総額平均は271,845円
・大学卒:平均基本給与額は215,193円、諸手当を含めた総額平均は279,936円
・大学院卒:平均基本給与額は222,941円、諸手当を含めた総額平均は289,654円
全学歴では平均基本給与額は215,378円、諸手当を含めた総額平均は280,478円です。
病床規模が大きくなるにつれて、看護師の初任給が高くなっていることが分かります。99床以下と500床以上の病院を比べてみると、約12,000円前後の差がありました。特に500床以上の病院は給与水準が高く設定されているようで、大卒の全職種の平均初任給よりも5000円ほど高くなっています。
勤続10年の31~32歳における非管理職の看護師の給与は、平均基本給与額が245,459円、諸手当を含めた総額平均は320,773円でした。初任給の平均基本給与額からは約38,000円、諸手当を含めた総額平均では約50,000円の上昇です。
なお、非管理職の看護師の基本給を決める基準は、年齢や勤続年数などを基準とする年功給が最も多く、81.8%。次いで多かったのが職務や役割などを基準とする職務給・役割給で38.9%、業務遂行における能力のレベルや伸びしろなどを基準とする能力給は29.8%でした。
これまで日本では年齢や勤続年数に応じて賃金が上がっていく年功序列制度が一般的でしたが、看護師の給与についても同様の制度を採用していることが分かります。
看護師は資格を取得をしたり管理職に就いたりすることで給与アップが目指せます。また、別の医療機関への転職が給与アップに繋がることも。ここでは、看護師が将来的に給与アップを目指す方法について解説するので、ぜひ参考にしてください。
勤めている医療機関や企業には、資格を取得することで資格手当がつく場合があります。特に「認定看護師」や「専門看護師」は、スキルアップやキャリアアップにも繋がるでしょう。
認定看護師とは、特定の分野において高い知識と熟練した看護技術を備えた現場のエキスパート職のことです。認定看護分野には感染管理や緩和ケア、クリティカルケア、在宅ケアなどがあります。これまでは救急看護や皮膚・排泄ケア、集中ケアといった全21分野でしたが、これらは2026年度をもって教育修了。2020年度からは、19分野が教育開始になります。
認定看護師になる条件は、「日本の看護師免許を有していること」「看護師の実務経験が通算5年以上あり、そのうち3年以上は認定看護分野の実務経験があること」です。日本看護協会が定める教育機関で学び、修了後に認定看護師認定審査に合格することで、認定看護師の資格を取得できます。
専門看護師は、特定の専門看護分野において卓越した看護知識と技術を持つ看護のプロのことです。専門看護分野には、がん看護や精神看護、老人看護、小児看護など、全部で13分野あります。
専門看護師になるには、「日本の看護師免許を有していること」「看護系大学院修士課程修了者で専所定の単位を取得していること」「実務経験が通算5年以上あり、そのうち3年以上は専門看護分野の実務経験があること」が条件です。認定審査を受けて合格することで、専門看護師の資格を取得できます。
一般的な職業と同様に、看護師も管理職に就くことで給与アップが期待できます。前述したように、基本給を決める基準の38.9%が職務や役割などを基準とする職務給・役割給です。すぐに給与アップができるというわけではありませんが、コツコツと長く仕事を続けることで主任・師長などへのキャリアアップのチャンスがあるでしょう。なお、同じ医療機関や企業に長く勤めることで年功給による給与アップも期待できます。ただし、働く医療機関や企業によっては昇級できるポストが少ない場合も。長く勤めても昇給のチャンスがないようであれば、早い段階で昇級チャンスの多い医療機関や企業に転職するのも一つの手です。
すぐにでも給与アップをしたい場合は、基本給の高い医療機関へ転職する方法があります。勉強をして資格を取得したり、同じ医療施設で長年に渡って働いたりしなくても良いため、比較的簡単に給与アップを目指せる方法といえるでしょう。
基本給は、規模の大きな私立の大学病院が高い傾向にあるといわれています。また、郊外よりも都心にある医療機関のほうが、基本給は比較的高めです。なお、美容クリニックは一般的な病院やクリニックに比べて基本給が高い傾向にあります。インセンティブ制度があれば、さらなる給与アップも目指せるでしょう。
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