「保健師の年収ってどれくらいなんだろう」「看護師と似ているけれど収入も同じくらいなの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。保健師は、医療関係のなかでも安定した収入を得やすいといわれている職業です。このコラムでは、保健師の年収の金額や、職場ごとの収入の違いを行政保健師のデータを元に解説しています。保健師の年収について知りたい方はぜひ、ご一読ください。
保健師の年収については、保健師全体の70%以上が行政機関で働いている公務員(行政保健師)なので、2018年の総務省発表の地方公務員給与実態調査結果を参照します。地方公共団体で働く保健師の平均給与は約32万円、賞与を2020年の人事院の発表から月給の4.45ヶ月分として計算すると、保健師の平均年収は約526万円です。あくまで平均の金額なので、勤続年数や役職によって変動があります。
参照元
総務省
平成30年 地方公務員給与実態調査結果の状況
厚生労働省
平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
行政保健師の初任給は、総務省発表の地方公務員の初任給の表に項目がないため、関連性の高い公務員として働く看護師の金額を参照します。地域によって差はありますが、公務員看護師の初任給は約20.5万円です。行政保健師もほぼ同等と考えて良いでしょう。就業先が企業や病院の場合には、初任給は事業規模や経営状況で大きく変わってきます。
参照元
総務省
平成31年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第4表
勤め先から支払われた額面給与から、保険料や税金を引いた金額が実際に受け取る金額(手取り)です。この手取り金額は大体、給与から2~3割を引いた金額といわれており、保健師も引かれる金額は同じです。なお、求人に書かれている給与は差し引かれる前の金額ですので、求人に応募するときは気を付けて見るようにしましょう。
市町村の保健センターや保健所で働く保健師のボーナスは、地方自治体の条例によって変わりますが、基本的には国家公務員の賞与とほぼ同等の金額が支給されます。国家公務員の賞与を参考として、2015年から2020年の人事院の勧告を見ると、約4.0~4.5ヶ月分支給されているようです。民間の企業や病院で働いている場合は、事業規模や経営の状況で左右されるので、業績が良ければその分ボーナスが多く得られることもあります。
参照元
人事院
過去の人事院勧告 給与勧告の骨子
2018年の行政で働く保健師の月収は、男性が約34.1万円、女性が約34.7万円です。ボーナスの金額にも男女の違いはないため、保健師の年収に性別の差はないといって良いでしょう。公務員の昇給や昇格は年功序列で決まっていきます。行政保健師は長く勤めれば勤めるほど、性別関係なく年収のアップが見込めるため、女性にとっても魅力的な仕事といえるでしょう。
参照元
総務省
平成30年 地方公務員給与実態調査結果の状況
2018年度の地方公務員の給与データのうち、一般行政職の給与を参照とすると、東京都で約38.4万円、沖縄県で約31.9万円と地域により約6.5万円の差が出ています。保健師は専門職ですが、地域差はほぼ同じとみて良いでしょう。地域手当は物価や生活費の地域差を埋める目的で支給される手当のため、都市部の方が高額です。民間企業や病院の場合も、都市部のほうが給与が高い傾向があります。民間企業も一般的に都市部のほうが年収が高額ですが、生活費がその分高額なため、生活水準が上がるという事ではないので注意しましょう。
参照元
総務省
平成30年 地方公務員給与実態調査結果の状況
保健師は看護師資格と保健師資格の両方を持っているため、看護師の上位資格といわれています。では、実際に給料面ではどのような違いが出てくるのか、2つの職業の年収を比較していきましょう。
厚生労働省の発表によると、2019年時点の看護師の平均年収は約483万円です。保健師の大半を占める行政保健師の平均年収は2018年時点で約537.9万なので、看護師より50万円以上多い年収を得ています。企業で働いている産業保健師はさらに高い給与を得ている場合があるので、保健師は看護師よりも高収入といえるでしょう。
参考元
厚生労働省
令和元年賃金構造基本統計調査
行政保健師は公務員のため年功序列の仕組みがあり、勤続年数が少ないうちは給与も少なめです。そのため、同じ勤続年数だと始めのうちは夜勤手当や残業手当のある看護師よりも給与が少ない場合も。しかし、勤めていくにつれ給与が上がっていき、40代前後で看護師を上回るケースがほとんどです。
保健師は就業場所によって、名称や仕事内容、収入が変わってきます。
保健所や市町村保健センターで働く保健師が行政保健師です。その地域に住む人の健康を守るために、健康診断や公衆衛生活動を行っています。行政施設で働く保健師の割合は全体の70%以上を占めており、代表的な就業先です。なお、行政保健師は自治体で働く公務員のため、仕事に就くには看護師資格と保健師資格のほかに、公務員試験にも合格する必要があります。収入や賞与は安定しており、長く勤めれば年収は順調に上がっていくでしょう。
参照元
厚生労働省
平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
産業保健師は、産業医と連携を取りながら民間企業で従業員のメンタルチェックや健康相談を行います。従業員として企業に勤めているため、収入面も通常の会社員と同じと考えて良いでしょう。そのため、会社によって年収にも大きく幅が出ます。給与やボーナスの多い大企業であれば、行政保健師を大きく上回る収入も難しくないでしょう。
主に病院やクリニックでの基礎検診医療が中心です。健康診断や健康相談、予防接種を医師や看護師と連携を取りながら進めていきます。また、病院で勤務する医師をはじめ、看護師や医療スタッフの健康維持も病院保健師の大事な仕事です。病院保健師の年収は、看護師業務を兼務するかどうかによって変わります。夜勤がシフトに含まれると夜勤手当が加わる分収入が上がるので、求人の応募時や面接時に夜勤の有無をよく確認するようにしましょう。
学校保健師は私立の小中学校、大学、専門学校で生徒や教師のケガの応急処置やメンタルケアを行います。学校と聞くと養護教諭(保健室の先生)と混同しがちですが、保健師と養護教諭は資格や専門分野が違う職業です。養護教諭は教育分野が専門であり、所持している資格も保健師ではなく、養護教諭一種もしくは養護教諭二種です。学校保健師は勤め先が私立学校のため、年収は産業保健師と同じく、学校の経営状況によって差があります。
保健師の年収の実態を見ていきましたが、ここでは保健師の年収を挙げる方法をご紹介します。
どの職業でもいえることですが、長く勤めることによりキャリアを積んだり、役職に就いたりすると年収は上がりやすいです。特に、公務員である行政保健師は勤続年数が増えるほど、着実に給与が上がっていきます。
高収入を得る方法で一番確実なのが、大企業や大きな病院に勤める方法です。給与やボーナスの多い企業で正社員として勤務し、実績が認められれば、年収が1000万を超える可能性もあります。
保健師の仕事に関連のある資格を取ることも年収を上げる一つの方法です。たとえば、学校保健師の場合は養護教諭の資格を取得することで、公立学校でも働くことができ、公務員として収入が安定します。養護教諭資格の取得は、保健師国家試験受験時に取得していない分を、教員養成課程のある学校で取得し、各都道府県の教育委員会に申請するという方法です。
そのほかにも、行政保健師であれば「介護支援専門員」、産業保健師であれば「産業カウンセラー」など、取得することによってキャリアアップに繋がる資格は多数あります。
保健師の求人を探すコツは、希望の勤め先によって変わります。保健師の多くが公務員資格を取り行政機関で働いていますが、毎年求人募集があるわけではないので積極的にハローワークで情報を収集したり、直接電話で確認したりする行動力が必要です。産業保健師や病院保健師の求人は一般の職種と同じく求人Webサイトで探せますが、募集の人数が少ないうえ人気のため、こまめな情報収集や入念な準備が必要です。
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