
「緩和ケア認定看護師になるにはどうすればいいの?」「どんな手続きが必要になるの?」と疑問に感じている看護師の方は多いのではないでしょうか。
緩和ケア認定看護師になるには、教育期間でカリキュラムを受け、認定審査に合格する必要があります。
ここでは、緩和ケア認定看護師を目指せる認定審査やかかる費用、取得のメリットなどについて詳しく解説します。
この記事を最後まで読み終えてもらえたら、緩和ケア認定看護師になる方法が分かり、スムーズな取得に役立てることができるでしょう。
緩和ケア認定看護師に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
緩和ケアは、がんを始めとした生命を脅かす疾患を抱える患者様や、そのご家族がケアの対象となります。
ここでは、緩和ケア認定看護師の役割や、活躍できる職場について紹介するので確認してみましょう。
緩和ケア認定看護師は、患者様の身体的・精神的・スピリチュアルな問題に寄り添い、QOL向上のために症状を緩和します。
緩和ケア認定看護師の役割は下記のとおりです。
また、患者様だけでなくご家族もケアの対象であり、患者様を失くしたご家族の悲嘆もケアします。
日本看護協会の「がん看護専門看護師・ がん化学療法・がん放射線療法看護認定看護師の養成・就業状況について (P9)」によると、2012年7月時点におけるがん看護領域の認定看護師の就業状況は下記のとおりです。
| 就業場所 | 人数 | 割合 |
| がん診療連携拠点病院 | 1,554名 | 48% |
| そのほかの病院 | 1,469名 | 45% |
| 病院以外 | 208名 | 6% |
近年では、訪問看護ステーションでも緩和ケア認定看護師の需要が高まっており、病院以外にも活躍の場が広がっています。
認定看護師制度は2021年度より新制度への移行が始まっています。
そのため、緩和ケア認定看護師になるには、下記の内容について把握しておくことが重要です。
それぞれの内容を詳しくお伝えするので、緩和ケア認定看護師の取得を検討している方はチェックしてみましょう。
A課程は従来の21分野、B課程は2021年度から開始した19分野です。
B課程には特定行為研修が組み込まれています。
2026年度にはA課程の教育は終了し、2029年で認定審査が終了する予定です。
日本看護協会の「分野別都道府県別登録者数」によると、2023年12月時点におけるA課程の緩和ケア認定看護師は2,461名、B課程では206名となっています。
現在はA課程の認定看護師が多いですが、今後はB課程の認定看護師が主流になっていくでしょう。
日本看護協会の「B課程 認定看護師教育機関」によると、緩和ケア認定看護師を目指せるB課程の教育機関は下記のとおりです。
| 都道府県 | 教育機関名 | 開講月 | 開講期間 | 定員 |
| 岩手県 | 岩手医科大学附属病院高度看護研修センター | 4~3月 | 12カ月 | 10名 |
| 静岡県 | 静岡県立静岡がんセンター認定看護師教育課程 | 4~3月 | 12カ月 | 14名 |
| 福岡県 | 久留米大学認定看護師教育センター | 4~3月 | 12カ月 | 30名 |
募集要項や入学試験などの詳細は、教育機関に直接問い合わせると良いでしょう。
たとえば、A課程の教育機関は2023年度休講となっていたので、2024年度も引き続き休講のおそれがあります。
A課程で緩和ケア認定看護師の取得を検討している方は注意が必要です。
A・B課程ではそれぞれ定められた教育課程を修了する必要があります。
たとえば、B課程のカリキュラムは下記のとおりです。
<共通科目:380時間>
| 科目 | 時間数 |
| 臨床病態生理学 | 40時間 |
| 臨床推論 | 45時間 |
| 臨床推論:医療面接 | 15時間 |
| フィジカルアセスメント:基礎・応用 | 各30時間 |
| 臨床薬理学:薬物動態・薬理作用 | 各15時間 |
| 臨床薬理学:薬物治療・管理 | 30時間 |
| 疾病・臨床病態概論 | 40時間 |
| 疾病・臨床病態概論:状況別 | 15時間 |
| 医療安全学:医療倫理・医療安全管理 | 各15時間 |
| チーム医療論(特定行為実践) | 15時間 |
| 特定行為実践 | 15時間 |
| 指導 | 15時間 |
| 相談 | 15時間 |
| 看護管理 | 15時間 |
<専門科目 – 認定看護分野専門科目:225時間>
| 科目 | 時間数 |
| がん看護学総論(がん領域共通学習内容) | 30時間 |
| 腫瘍学概論(がん領域共通学習内容) | 15時間 |
| がんの医療サービスと社会資源(がん領域共通学習内容) | 15時間 |
| 緩和ケア総論 | 15時間 |
| がん疼痛のマネジメント | 30時間 |
| がん疼痛以外の症状マネジメントⅠ・Ⅱ | 各30時間 |
| スピリチュアルケア | 15時間 |
| 緩和ケアを受ける患者の家族・遺族ケア | 15時間 |
| 臨死期のケア | 15時間 |
| 緩和ケアにおける倫理的課題 | 15時間 |
<専門科目 – 特定行為研修区分別科目:22時間>
| 科目 | 時間数 |
| 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 22時間 |
<演習・実習:165時間>
| 科目 | 時間数 |
| 総合演習 | 15時間 |
| 臨地実習 | 150時間 |
授業は講義と演習・実習形式で、筆記試験や実習によって評価されます。
ここでは認定審査を受けられる受験資格や手続きなどについて解説するので確認してみましょう。
教育カリキュラムを修了したら、認定審査を受けて合格しなければ、緩和ケア認定看護師として登録できません。
また、5年以上の実務経験と認定看護分野における3年以上の臨床経験が必要です。
教育機関に願書を提出後、教育課程を修了して認定看護師を取得できるまでおよそ2年かかるとされています。
認定審査の手続きは、下記の流れに従って進めていきます。
合格した場合、認定料を振り込まなければなりません。
もしも規定の期日までに認定審査料が振り込まなかった場合、認定審査の取り下げとみなされてしまうので注意してください。
認定試験は毎年5月に全国4会場で同日に実施されます。
およそ2カ月後に合格発表され、認定料を納付すると緩和ケア認定看護師として登録されます。
合格からおよそ1カ月後には認定証が届くでしょう。
認定看護師における資格の有効期間は5年です。
ただし、もしも更新が難しい場合は下記のような仕組みが整っています。
| 再認定審査 | 5年ごとに更新せず認定資格を失行した場合、認定を更新するための再審査 |
| 延長審査 | 病気のようにやむを得ない事情で更新できない場合、認定期間を延長できる審査 |
それぞれにかかる費用については次の章で詳しく紹介するので、読み進めてみましょう。
緩和ケア認定看護師を取得する際は、授業料や実習費を始めとしたさまざまな費用がかかります。
受講前にまとまった金額を用意しておくほか、当面の生活費なども準備しておかなければなりません。
ここでは、受講費用や更新費用の目安や、利用できる支援・奨学金制度を紹介するのでチェックしてみましょう。
緩和ケアを取得する際の費用相場は下記のとおりです。
| 認定看護師教育機関の入試検定料 | およそ5万円 |
| 入学金 | およそ5万円 |
| 授業料 | およそ70万円 |
| 実習費 | およそ10万円 |
| 認定審査料 | およそ5万円 |
| 合格後の認定料 | およそ5万円 |
合計で100万円を想定しておくと良いでしょう。
そのほかにも、教育機関が遠方にある場合の引っ越し費用や新居の家賃、教材費などで合計100万円程かかる場合があります。
また、5年ごとの更新時にも、下記のような費用がかかります。
|
更新審査 |
|
|
再認定審査 |
|
|
延長審査 |
|
緩和ケア認定看護師は取得時だけでなく、維持にも費用がかかるので注意が必要です。
病院に勤務する看護師が緩和ケア認定看護師を目指すために教育機関に通っている間、職場によって下記のような支援が受けられます。
| 出張扱い | 学費の免除や給与・賞与の支給、生活費の補助が受けられる |
| 研修扱い | 給与・賞与が支給されるものの、学費や生活費は自己負担 |
| 休職扱い | 給与・賞与が支給されず、学費や生活費が全額自己負担となる |
病院と認定看護師の取得について折り合いがつかない場合、退職を選択することもあるでしょう。
また、日本看護協会では、認定分野を問わず、年額120万円を一括貸与する奨学金制度を実施しています。
地域や年齢、所得の制限がないので、奨学金制度を利用したい看護師は検討してみると良いでしょう。
緩和ケア認定看護師になると、さまざまなメリットが期待できます。
緩和ケア認定看護師になるメリットは下記のとおりです。
どのようなメリットが期待できるのか確認してみましょう。
一般看護師は、疾患の進行や治療に伴う苦痛を感じている患者様に対して、「何もしてあげられない」ともどかしさを感じてしまうケースは珍しくありません。
一方、緩和ケア認定看護師は、患者様やそのご家族に対して質の高い看護を提供し、症状の緩和を目指すことができます。
患者様やご家族に寄り添ったケアの実践は、看護師としての喜びや達成感につながるでしょう。
認定看護師は一般看護師からの相談を受けたり、指導を実施したりする立場です。
一般看護師から一目置かれる存在となることで、自身のスキルに自信をもてるようになります。
また、勉強会・セミナーの参加など、活躍の幅が広がるのも魅力の一つです。
仕事へのモチベーションを維持でき、やりがいを感じられます。
緩和ケアを始めとした認定看護師は、病院によっては特別手当が支給されます。
一般看護師よりも認定看護師の賞与が高く設定されている病院もあるでしょう。
日本看護協会の「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(P31)」によると、平均給与が11,191円上がっていると報告されています。
また、認定看護師の処遇改善は下記のとおりです。
| 評価の内容 | 調査数 | 割合 |
| 基本給が上がる/昇給(給料が上がる) | 380件 | 10.0% |
| 昇格する(等級が上がる) | 179件 | 4.7% |
| 昇進する(職位が上がる) | 194件 | 5.1% |
| 特にない | 3,146件 | 82.7% |
およそ2割の職場で収入アップや昇格・昇進が行われていますが、そのほかの8割では認定看護師の処遇は改善されていません。
勤めている職場で認定看護師の処遇改善が見込めない場合、取得後の転職も選択肢の一つです。
認定看護師は専門性の高さを評価され、幅広い職場で重宝されます。
特に緩和ケア認定看護師は病棟だけでなく、訪問看護ステーションや終末期医療に取り組む介護施設などで需要が高いでしょう。
「より好待遇な職場で働きたい」と考えている看護師は、緩和ケア認定看護師の取得がおすすめです。
苦痛緩和に役立つケアについて学べる資格は、緩和ケア認定看護師だけではありません。
緩和ケア認定看護師以外におすすめの資格は下記のとおりです。
緩和ケア認定看護師以外の資格取得も視野に入れている方は参考にしてみましょう。
相談援助や心理カウンセリングなどに求められる基礎能力があると、メンタルケア学術学会によって認定された資格です。
メンタルケア心理士の教育課程を修了した後、こころ検定2級を取得すると、受験資格が得られます。
ただし、下記の条件を満たしている場合、こころ2級検定の取得は不要です。
患者様の精神的なケアに力を入れたいなら、メンタルケア心理士の取得を検討してみると良いでしょう。
スウェーデンで生まれたタッチケアの技法で、Taktil Japanによって定められた民間資格です。
施術者が肌に触れることで疼痛の緩和や安心感、心地よさなどをもたらします。
資格は施術部位やレベルに応じて下記のように分かれているので、希望する講座を選ぶことが重要です。
講習を受けて技術の習得を目指すため、緩和ケア認定看護師よりもハードルが低いでしょう。
「患者様の痛みや苦しみを和らげるケアを提供したい」と考えている看護師にぴったりです。
ここでは、緩和ケア認定看護師になるにはよくある質問を紹介します。
認定看護師全体の合格率は高く、80~90%程度とされています。
教育機関で学んだ知識に基づいて出題されるため、カリキュラムを修了した受験者にとって難易度は高くありません。
ただし、無勉強で合格できるような低い難易度ではないので、しっかり学習しておきましょう。
取得できる分野の数に制限はありません。
B課程の場合、認定看護師は19分野あり、それぞれの領域で3年以上の実務経験があれば複数分野の認定看護師になることが可能です。
そのため、緩和ケア認定看護師の取得後、キャリアチェンジして他分野の認定看護師を目指すことができます。
ただし、認定看護師の取得は費用や期間がかかるため、自分に合った分野を慎重に選ぶことが大切です。
緩和ケア認定看護師になるには全国の教育機関に通い、教育基準カリキュラムを修了しなければなりません。
認定審査に合格することで緩和ケア認定看護師として登録できるでしょう。
ただし、5年ごとの更新や取得・更新時の費用も視野に入れておく必要があります。
「緩和ケアの専門性を磨き、自身のスキルに自信をもって患者様・ご家族に寄り添いたい」という看護師は、緩和ケア認定看護師の取得を検討してみましょう。
もしも「緩和ケア認定看護師として活躍できる職場で働きたい」と悩んでいるなら、レバウェル看護にお任せください。
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