仕事
2020.3.21
助産師を目指す人のなかには、国家試験の難易度を知りたい方もいるでしょう。また、助産師国家試験に向けた勉強に不安を感じる人も少なくないはずです。
このコラムでは、助産師国家試験の合格率や勉強方法、資格取得後の仕事内容について詳しく解説。助産師になるまでの流れについてもご紹介します。助産師の資格取得を目指すかどうか判断するために役立ててください。
厚生労働省の発表によると、2019年に行われた助産師国家試験の合格率は99.4%でした。合格率は非常に高いですが、助産師の難易度が低いとはいい切れません。助産師養成学校や大学の助産師課程の定員が少ないので倍率が高いうえ、実習や勉強の難易度が高いという声もあります。したがって助産師国家試験の合格率が高い理由は、問題の難易度が低いわけではなく資格取得を目指す大半の人が、勉強や試験対策をしっかり行った結果といえるでしょう。
参照元
厚生労働省
第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験及び第109回看護師国家試験の合格発表
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医療機関や助産院で働く助産師の仕事は、主に「妊娠期間」「出産時」「産後」の3つに分かれています。また、医療機関や助産院以外で働く助産師の仕事についても順に解説するので、参考にしてください。
妊娠期間中は妊婦やその夫のサポートを目的とした、「母親学級」や「両親学級」を開催するのが助産師の仕事です。食事や運動など、妊娠中の過ごし方についてアドバイスを行い、出産時や産後に必要な基礎知識の指導もします。また、定期健診の際は、妊婦がどのような出産を希望しているかを聞き、バースプランを決めることも。たとえば出産時に好きな音楽をかけたり、アロマを焚いたりといった要望を受け入れている病院もあるようです。
出産時は分娩の介助を行うのが仕事です。多くの医療機関では助産師と医師がチームを組み、出産のサポートや、産まれてきた赤ちゃんのケアを行います。夜中に出産するケースも多いため、夜勤をする助産師も少なくありません。また、緊急時に迅速な対応ができるよう準備をします。
産後は入院中の母親と赤ちゃんの体調管理を行うとともに、授乳の仕方や退院後の過ごし方などをアドバイスし、育児に対する不安を取り除いてあげることも重要です。
医療機関や助産院のほかに、地域の保健センターで働く助産師がいます。赤ちゃんが生後1カ月を迎えるころに「新生児訪問」を行う仕事です。訪問時に赤ちゃんの健康や発育状態を確認。また、母親の悩みに応じてアドバイスしたり、産後うつや虐待の兆候がないかを確認したりします。
また、母乳育児のサポートを専門に行う「母乳外来」で活躍する助産師も。授乳に関わる悩みに対し、アドバイスやケアを行います。
保健師と助産師は、どちらも保健師助産師看護師法に基づいた資格で、看護師資格をもっていることが受験の条件です。保健師は地域の自治体や企業で働く人に対して保健指導を行い、助産師は主に妊婦や産後の母親、あるいは新生児を対象としています。なお、現在日本で助産師は女性のみに認められた仕事ですが、保健師は性別問わず目指せる仕事です。
助産師になるには看護師国家試験と、助産師国家試験の2つに合格する必要があります。助産師として働くまでの流れを、以下で詳しく解説するのでご参照ください。
看護師国家試験に合格するには、高校卒業後に4年制の看護大学または3年制の短期大学や専門学校などへ進学。または、中学卒業後に5年一貫看護師養成課程校へ進学するのが一般的です。必要課程修了後に看護師国家試験に合格すると、「看護師(正看護師)」を名乗ることができます。
看護師国家試験に合格したあと1年間、助産師専門学校や養成所、短期大学などへ入学。もしくは大卒者であれば2年間、看護系大学院へ通って助産師の知識や技術を身につけます。
助産師専門学校や大学院などを修了したあと、助産師国家試験に合格すると助産師になれます。助産師国家試験は通常、年1回2月に各地で行われ、基礎助産学や地域母子保健、助産診断・技術学、助産管理について出題されるマークシート方式。受験するにあたっては、実習経験が必須となるため、独学で挑戦することは難しいでしょう。
なお、看護師と助産師2つの教育プログラムがある看護大学に通えば、修了後に看護師国家試験と助産師国家試験の両方を受験できるため、最短4年で助産師を目指すことも可能です。
難易度が高いといわれる、助産師の勉強方法を以下にご紹介します。
助産師国家試験に合格するためには、過去問題を網羅すると良いでしょう。厚生労働省のホームページには、過去に行われた助産師国家試験の問題と解答が公開されており、無料で閲覧できます。また、傾向と対策がまとめられた問題集は、書店やインターネットなどで購入可能です。はじめは難易度が高いと感じる人もいるでしょう。しかし、助産師国家試験に慣れるためには、過去問題を数多く解くことが重要です。
参照元
厚生労働省
第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について
助産師国家試験の勉強を進める際は、正誤の突き合わせをするだけでなく、理解を深めることが大切です。なかには、保健師助産師看護師法の制定年、あるいは助産師籍の項目に関する答えなど暗記が必要な場合もあります。しかし、助産師国家試験に出題される問題の多くは、暗記するだけでは答えを導けません。問いに対する選択肢を、すべて説明できるくらい理解を深めるのが理想です。
助産師国家試験のための勉強は、助産師として働き始めたあとも活かせる知識ばかり。勉強する時間や集中できる場所を決め、日々の努力を積み重ねることが大切です。
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助産師になるメリットは、「やりがいがある」「高収入を目指せる」などさまざまあります。以下にいくつかご紹介しますので、これから助産師を目指す方は参考にしてください。
助産師は命の誕生に立ち会えるため、やりがいを感じる仕事といえるでしょう。出産する母親はもちろん、誕生を待ち望む家族とも喜びを分かち合えます。母親と赤ちゃんの命をかけた現場で、お産の進歩を診断しながら出生をコントロールするのは至難の業です。しかし、命の誕生が当たり前でないからこそ、真剣に取り組むことができ、やりがいに繋がります。
助産師は専門知識や技術が必要なため、高収入を目指せるでしょう。給与額は勤務する病院の規模や経営状態、助産の経験数によって異なりますが、看護師と比べると高い傾向に。助産師としての経験が、昇給に大きく反映されることも特徴です。また、多くの病院で「助産師手当」が支給されます。助産師国家試験の難易度が高いと感じたとしても、高収入を目指す人は挑戦してみるのも一つの手でしょう。
助産師は起業することもできます。経験や高いスキルが必要なので、助産師になってすぐに起業するのは難しいでしょう。しかし経験を重ねれば、自身で助産所を開くことも可能です。産科医がいない状態で分娩を完結させられるのは、助産師のメリットといえるでしょう。
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日本の出生数は年々減少していますが、出産する人がいる限り助産師の仕事はなくなりません。助産師の仕事は高い技術と経験、コミュニケーション力が必要です。今後、AIの技術が発達したとしても、助産師の代わりはできないといわれています。ただし、必要とされる助産師の数は、地域によって大幅に異なる傾向に。助産師が十分に足りている地域なのか、不足しているのかを調べることも大切です。
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