准看護師と正看護師は同じ看護職で、仕事内容も似ていますが両者は明確に別の資格です。その違いについて知りたい方も多いでしょう。このコラムでは准看護師と正看護師の違いについて、仕事内容や年収、資格取得の方法など7つの視点で解説しています。両者の特徴や違いを知って、どちらが向いているかチェックしてみてください。
看護師を大きく分類すると、准看護師と正看護師の2種類があります。病院などで看護師を見ても、誰が正看護師で准看護師なのか、見た目では判断できないでしょう。しかし資格の要件上、さまざまな違いがあります。
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准看護師と正看護師は保健師助産師看護師法(保助看法)に定義されています。
・第5条
この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
・第6条
この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。
このように、准看護師は業務の違いはないものの、医師や歯科医師、正看護師の指示がないと看護業務ができません。准看護師はもともと、地域の診療所や中小病院の看護師が充足できないことから誕生した免許です。そのため、医師や正看護師の手の回らない部分を補佐する位置付けになります。
参照元
厚生労働省
保健師助産師看護師法
准看護師と正看護師とでは、免許の発行元に違いがあります。
准看護師:都道府県知事が発行する公的資格
正看護師:厚生労働大臣が発行する国家資格
准看護師は都道府県知事が発行する公的資格であり、正看護師は厚生労働大臣が発行する国家資格です。そのため、たとえば資格試験や免許の申請・更新の方法等が、正看護師は全国で統一されていますが、准看護師は都道府県ごとに異なります。
人数や平均年齢も、准看護師と正看護師には違いが見られます。
准看護師:30万人で減少傾向。平均年齢50.2歳
正看護師:122万人で増加傾向。平均年齢39.5歳
准看護師の実人員は約30万人で、毎年1万人程度のペースで減少傾向です。一方、正看護師の実人員は約122万人で毎年3万人程度のペースで増加傾向にあります。
また、准看護師は資格取得に必要な期間が正看護師よりも短く、社会人でも取得しやすい資格です。そのため、准看護師の平均年齢は高めになっています。
参照元
厚生労働省
平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
准看護師と正看護師の職場や勤務体制にも大きな違いが見られます。
准看護師:病院4割・診療所3割・介護施設3割。正規雇用率7割強
正看護師:病院7割・診療所1割。正規雇用率8割強
正看護師は7割強が病院勤務ですが、准看護師は診療所や介護施設勤務の割合も高めです。これより、准看護師は地域医療を支える一翼を担っていることがうかがえます。
また、准看護師の正規雇用率は70.6%で非正規雇用は29.1%です。一方、正看護師の正規雇用率は82.2%と高めになっています。
参照元
厚生労働省
平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
准看護師と正看護師とでは、キャリアアップのしやすさにも違いがあるといわれています。
准看護師:まずは正看護師資格を目指すことが多い
正看護師:各種資格を取得することができる
より専門性の高い看護師を目指したくなった場合、キャリアアップしやすいのは正看護師です。正看護師は、対応分野を絞って知識や技術を向上させる特定看護師や認定看護師、専門看護師を目指すことができます。また、助産師や保健師といった国家資格にもチャレンジが可能です。准看護師がこれらの資格を目指す場合、まずは正看護師の資格を取得しなくてはいけません。また、看護の役職に就くのもたいていは正看護師です。
ここでは、准看護師と正看護師の平均年収について解説します。
准看護師:約403万円
正看護師:約483万円
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」を基に算出すると、准看護師の平均年収は約403万円で、看護師の平均年収は約483万円です。この差は、キャリアアップのしやすさや職場、勤務体制の違いが反映されているといえるでしょう。また、看護師の収入は夜勤手当が大きな比重を占めます。准看護師の場合も、病棟で夜勤をすると収入増が見込めるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和元年賃金構造基本統計調査
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准看護師・正看護師の資格取得には、それぞれ異なる教育が必要です。
准看護師:中学校卒業が条件。2年・1890時間の教育
正看護師:高校の卒業が条件。3年・3000時間(97単位)の教育
上記のような条件のため、准看護師は社会人でも取得しやすい資格だとされています。他方で、看護分野の専門的な知識や技術を習得するには教育時間が長いほうが良いこともあるでしょう。両者の資格取得の方法は、詳しく後述します。
参照元
日本看護協会
准看護師制度について
准看護師と正看護師には以下のようなメリットやデメリットがあります。
正看護師と比較すると准看護師には以下のような特徴があります。
・比較的短期間で免許が取得できる
・社会人でも免許を取得しやすい
・地域医療に貢献できる
・収入は正看護師よりも低い
・キャリアアップしづらい
医療業界の中でも、比較的短期間で免許が取得できるのが准看護士のメリットです。正看護師より短い2年間で資格取得を目指せるので、社会人や早く医療現場で経験を積みたい人、家庭がある人にも人気があります。費用等が安くて支援制度もあるので、経済的負担を抑えたい人も取得しやすいでしょう。
准看護師と比較すると正看護師には以下のような特徴があります。
・収入が多い
・キャリアアップ先の選択肢が多い
・専門資格を取得して専門分野で働ける
・勉強期間が長く社会人には取得しづらい
・病棟勤務で夜勤があると体力的に負担が大きい
勤務先によって異なりますが、経験を積めば積むほど高収入を期待できるのが魅力でしょう。人に感謝される仕事でもあり、命を守るために必要な措置を判断して行動できます。そのため、緊急時や災害時などでも活かせる一生ものの資格になるはずです。
ただし、入院施設が多い病院では24時間稼働しているため、夜勤や当直もあります。土日・祝日などにシフトが入ることもあるので、家族と同じ日に休めないなど、変則的な勤務がデメリットになることもあるでしょう。また、命にかかわる業務が多いため、責任も重くなります。ミスしてはいけないという意識がストレスになる人も少なくありません。
准看護師と正看護師の取得ルートをそれぞれ見ていきましょう。
准看護士になるには、最終学歴によって3つのルートを選ぶことになります。
1.中学校を卒業してから2年制の准看護師学校養成所へ通う方法
2.中学校を卒業してから3年制の高等学校衛生学科へ通う方法
3.高校を卒業してから4年制の看護大、3年制の短大や専門学校へ通う方法
2や3の方法で准看護師になるのは、主にそのまま正看護師の資格取得を目指したいケースが多い傾向があります。1の方法は高校に進学していない人、あるいは社会人になってから看護を目指す際に選択する人が多いでしょう。
2年で准看護師の資格取得を目指せる准看護師学校養成所は、履修と実習のカリキュラムで構成されています。全日制と定時制の取得方法があり、ライフスタイル等に合わせて選択可能です。働きながら通学する人もいるので、通いやすい方法で准看護師免許取得を目指してください。
正看護師になるには、高校を卒業していることが条件の1つです。そのうえで、取得には以下の3つの方法があります。
1.4年制大学の看護系学部、看護師課程で学び、看護師国家試験に合格
2.3年制短大の看護学科で学び、看護師国家試験に合格
3.3年制の看護学校養成所で学び、看護師国家試験に合格
大学では一般科目の受講もでき、バランス良く教養を身につけられるでしょう。また、保健師や助産師を目指せるカリキュラムが用意されている大学もあります。3年制の学校は4年制大学よりも1年早く社会に出られ、実際の病院でいち早く経験を積めるのが魅力です。
准看護師を取得してから正看護師を目指すには、主に2つの方法があります。高卒者の准看護師なら看護短期大学へ進学、中卒者は看護師学校養成所か看護専門学校へ進学する方法です。なお、中卒者に関しては、進学する際に高卒程度の学力があることを示す必要があります。そのため、通信高校卒業か高卒認定試験合格を目指さなくてはなりません。また、准看護師学校養成所で全日制・定時制を履修した人は実務経験3年が必要です。通信制では、7年の実務経験が必要になります。
看護師国家試験の合格率は毎回9割程度です。難しそうなイメージがありますが、学んだことをしっかり理解して受験すれば、看護師になれる確率は低くありません。ただし学ぶことは非常に多いので、しっかり勉強することが大前提です。
看護師国家試験は、合格基準ラインを満たせないと合格できません。この合格基準は毎年変動しますが、目安として把握しておくといいでしょう。
・必修問題:40点以上 / 50点満点中
・一般問題&状況設定問題:155点以上 / 250点満点中
看護師国家試験は例年、10月中旬から提出書類の準備が始まります。願書提出が11月から12月、本試験が2月ですので、書類の抜け漏れがないよう準備を進めなければなりません。なお、看護師国家試験は以下のような科目から出題されます。過去問や問題集で何度も繰り返し問題を解き、十分に理解をして臨みましょう。
・人体の構造と機能
・疾病の成り立ちと回復の促進
・健康支援と社会保障制度
・基礎看護学
・成人看護学
・老年看護学
・小児看護学
・母性看護学
・精神看護学
・在宅看護論及び看護の統合と実践
参照元
厚生労働省
国家試験合格発表
第109回看護師国家試験の合格発表
看護師国家試験の施行
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