特定看護師とはどんな職種?なる方法や仕事内容をご紹介

2020.7.19

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このコラムでは、特定看護師とはどのような職種なのかや職場で担う役割、仕事でのやりがいなどを紹介しています。また、特定看護師になるための条件や研修制度についても解説。特定看護師になることのメリットや今後の需要、活躍できる場所などにも触れています。
「特定看護師について詳しく知りたい」「これから目指したい」とお考えの方は、ぜひチェックしてみてください。

特定看護師とは

特定看護師とは、2015年に厚生労働省によって施行された「特定行為に関する看護師の研修制度」に基づき誕生した名称です。特定看護師という資格ではなく、「研修を修了すると特定行為を行えるようになる」というもの。特定看護師になると、以前は医師の指示がないと行えなかった難易度の高い診療補助行為(特定行為)を、医師が作成する手順書により、看護師の判断で実施できるようになります。この点が、一般的な看護師との違いです。「特定行為」とは、実践的な判断力や理解力、高度なスキルが必要な診療補助行為のこと。この制度ができた背景には、「高齢化社会」が大きく関係しています。今後さらに高齢化が進むことで、在宅医療だけではなく、複数の疾患を抱える方やリハビリが必要な方など、多様な医療のニーズが高まるでしょう。高度な看護を実践できる看護師を育成することが必要になり、特定看護師の制度が設けられました。また、看護資格を持つ全ての人が加入できる看護職能団体の「日本看護協会」においても、特定看護師の育成に注力しており、社会に対する研修制度の啓発や大学院教育の推進などを行っています。

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特定看護師になるには

特定看護師になるには、3年から5年以上の実務経験に加えて、指定された研修機関で「特定行為研修」を受けることが必須です。特定行為は21区分あり、さらに全38行為に分かれています。ここでは、研修制度について詳しく説明していきます。

研修の過程

研修施設によって学習の進め方などは多少異なることがありますが、基本的には以下の4つの過程を通して知識や技術を習得します。

1.講義
2.演習
3.科目ごとの試験
4.臨床実習

講義と演習では、科目ごとに特定看護に関する知識や技術を学びます。演習とは、医学的思考過程を習得するための深い知識とスキルを身につけるものです。また、各科目の履修評価は、筆記試験などによって行います。

研修内容

研修では2つの科目を学びます。

共通科目

すべての特定行為を行う際に必要な、実践的な理解力や判断力、高度で専門的な知識と技能などの向上を図ることを目的とした研修。「臨床病態生理学」「フィジカルアセスメント」「臨床薬理学」「医療安全学」「疾病・臨床病態概論」「臨床推論」「特定行為実践」の7科目があります。すべての科目で講義と演習があり、フィジカルアセスメント・医療安全学・臨床推論・特定行為実践の4科目では実習があります。

区分別科目

特定行為区分ごとに異なる知識や能力、技能の向上を図ることを目的とした研修。循環器・呼吸器・カテーテル管理・薬剤投与関連など、全21区分の科目があります。全部の区分別科目で講義と実習があり、一部の科目では演習も実施されます。

研修時間

共通科目が315時間、区分別科目が15時間から72時間ですが、研修機関によって期間は異なることがあり、特定看護師になるには1年から2年ほどかかります。

研修場所

指定研修機関には大学や病院などがありますが、その施設は全都道府県に点在しているわけではありません。近隣に指定研修機関がない場合、各地域の病院と指定研修機関との連携体制があれば、自宅で学習できるeラーニングでの受講が可能です。その際、講義や演習はeラーニングで行い、実習は基本的には勤務先などで行います。近年ではeラーニングを導入している施設も多く、働きながら研修を受けやすくなっているのも特徴です。

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特定看護師が行える行為

特定看護師が行える医療補助行為は複数の種類があります。その中からいくつかの行為を区分ごとに挙げてるので、参考にしてください。

・呼吸器関連…経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整、気管カニューレの交換など
・循環器関連…一時的ペースメーカーの操作や管理、経皮的心肺補助装置の操作および管理など
・腹腔ドレーン管理関連…腹腔ドレーンの抜去など
・創傷管理関連…褥瘡や慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去、創傷に対する陰圧閉鎖療法など
・動脈血液ガス分析関連…橈骨動脈ラインの確保、直接動脈穿刺法による採血など
・栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連…持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整、脱水症状に対する輸液による補正など
・循環動態に係る薬剤投与関連…持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整、持続点滴中の降圧剤の投与量の調整など
・精神及び神経症状に係る薬剤投与関連…抗けいれん剤の臨時の投与、抗不安薬の臨時の投与など
・皮膚損傷に係る薬剤投与関連…抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射および投与量の調整など

これら以外にも、多くの診療補助行為が行えるようになります。特定看護師として働く場合、どのような行為をメインで行うかは就業先によって異なりますが、特定看護師の需要がある在宅医療では呼吸器・栄養に関わる業務、病院の外科病棟では腹腔ドレーン管理や点滴に関わる業務、外来では創傷管理に関わる業務が多くなります。

参照元
厚生労働省
特定行為に係る看護師の研修制度/特定行為区分とは

特定看護師になるメリット

キャリアップに繋がる

医師の指示がなくても行える診療補助行為が増えたことで、看護師として業務の幅が広がります。医師が作成する手順書に従って特定行為を実践できるので、より一層早い対処が行えるでしょう。現場で求められるケアをスピーディに行えるため、看護師としてのやりがいを感じられます。特定看護師として任される業務が増えることで、自身のキャリアップも望めるでしょう。また、昇給や手当の支給など、給与面でも充実した待遇を受けられることもあります。

活躍ができる場所が多い

特定看護師が活躍できる場所は、多岐にわたります。急性期から慢性期、在宅医療まで幅広い分野で活躍できるでしょう。特に訪問看護では、利用者と接する機会が多い看護師が、医師の指示がなくても多くのケアが行うことができるのがメリットです。在宅医療を支えるための重要な役目といえるでしょう。また、チーム医療の一員として医師と患者、その家族をスムーズにつなげる橋渡し役になることができ、よりニーズに沿った医療サービスに貢献できます。研修で得た知識やスキルを活かして働ける場所は、病院だけではなく、介護施設や訪問看護ステーションなど多くあるのが魅力です。

以上、特定看護師の制度やなる方法、メリットなどをご紹介しました。特定看護師とは、身につけたスキルにとってさまざまな場所で活躍でき、転職の際も有利な職種といえるでしょう。

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