看護師ニュース・特集
2022.10.18
本記事では、緊急時の患者支援に役立つ製品を手掛ける事業者と、小児内分泌領域の認知度を高める取り組みを行っている組織、院内の物流を一元管理するシステムを開発・提供している企業を紹介します。
日々の看護業務に自信を持って患者を支援したい方のほか、無駄のない在庫管理で業務を効率化させたい看護師の方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
北海道に拠点を構え2012年に開業した、しえん計画。2011年の東日本大震災において、自力で歩行が困難な方の避難の難しさと、防災対策の不十分さを痛感し、社会のために役立ちたいという強い思いから事業をスタートさせた製造業者です。同社の代名詞とも言える移動補助用具「いすたんか」は、災害時だけでなく日常の介護にも広く活用でき、高齢者や障がいを持つ方が安心安全に暮らせるようモノづくりという形でサポートしています。
高齢者や身体に障がいを持つ方など、自力での歩行が困難な方が緊急の避難を要する事態に遭遇した場合は、逃げ遅れるリスクが非常に高くなり、命の危険にさらされます。実際に、避難の支援が必要な高齢者や身体に障がいを持つ方の人的被害は大きく、自然災害の多い日本において今後の大規模な災害発生の可能性を鑑みても、早急に解決すべき問題だと言えるでしょう。
災害現場はもとより、医療機関においても身動きが取れない患者の避難方法は未だ課題が残されています。
たとえば、階段・段差がある場合は寝台式担架や車輪付きストレッチャー、車椅子での搬送は全ての移動がスムーズとは言えません。
階段が狭かったり、非常口の出入り口が車椅子では通過できなかったり、さまざまな懸念点が残ります。
そこでしえん計画は、こうした問題を解決できる階段用担架「いすたんか」を考案しました。
いすたんかは、自力での歩行が難しい方を椅子型の担架に座った姿勢のまま運ぶ仕組みになっており、背もたれの上部分と座面の先にある支持棒をそれぞれ持ち、前後2人で運びます。
本体の支持棒は折り曲げて奥行きを小さく設計し、必要最低限の長さや大きさとなっており、コンパクトに移動できるのが特長。そのため、エレベーターなど狭い場所での移動や階段の踊り場での方向転換なども小回りが利き、ストレスを感じることはありません。
また、寝た状態で運ばれるのと異なり、姿勢が安定し視界も開けるので乗る人に安心感を与えます。
使い方も簡単で、初見でも直感で使用方法がわかるようになっているのもポイントなのではないでしょうか。災害現場では、迅速な避難が必要なため、誰もがすぐに使えるものが求められます。
使いやすさやシンプルさ、そして乗る方の気持ちも考慮したいすたんかは、今後さまざまなシーンで役立つことでしょう。
小児内分泌学に精通した医師により形成されている、一般社団法人 日本小児内分泌学会。会員向けに、学術集会やWebでの入門セミナー、小児内分泌学の情報共有などを実施し、さまざまなアプローチで小児の福祉に寄与しています。
こどもの内分泌系の疾患にはさまざまなものがあり、成長ホルモンや甲状腺ホルモン、性腺ホルモン、副腎ホルモンなどのバランスが崩れることによって特定の症状が現れます。
こうした症状は、こどもの成長に悪影響を及ぼすとされており、病気の早期発見と早期治療が求められます。
こどもの内分泌疾患として挙げられるのは、思春期早発症や肥満症、夜尿症、甲状腺疾患、多毛など。個々で成長するスピードや発育が異なるため、観察しつつ問題があれば治療を開始することになります。
たとえば低身長が疑われる場合は、こどもの成長記録を成長曲線に記し、平均値と比べた結果で病気の有無を疑い、それに伴う成長ホルモン治療などを行います。
そのほか、こどもの内分泌疾患によくある症状として、糖尿病も挙げられます。
ただし、その多くは1型糖尿病に該当し、数日から数週間で急激に発症するのが特徴。主な誘因は、ウイルス感染などによって免疫に異常をきたすことがわかっています。
会員向けに定期的に開催されているのが、日本小児内分泌学会学術集会。
数日間に渡って開催され、こどもの内分泌疾患に精通している医師や専門家が国内外から集結し、研究内容や得意領域の現状についての講演が行われます。
また、プログラムには時間を余すことなくタイムスケジュールを組み込み、会場では複数のシンポジウムや企画セッション、ランチョン教育セミナー、スタートアップ教育セミナーなどを開催。
そのため、豊富にあるテーマの中から参加したいものを選択できる楽しみがあり、同時にさまざまな有識者が発信する特定領域の研究成果や知見、最新の医療情報から自身に有益な知識を得ることができます。
たとえば、2021年10月末の3日間で行われた学術集会では、糖尿病や肥満に関するシンポジウムとして、「脂肪萎縮性糖尿病の診断と治療」や「インクレチン関連薬による糖尿病治療の実際」といったテーマでプログラムが進行しました。また、企画セッションでは「乳幼児の身体成長曲線の作成と利用をかんがえる」をテーマに進行。看護師にも興味深い内容のテーマを豊富に取り扱い、イベントが開催されました。
こうしたイベントへの参加は、現状に満足することなくさらに専門性を高めるためにも必要なのかもしれません。
情報資産プラットフォーム事業やSaaS事業、ソリューション事業を展開している、株式会社パイプドビッツ。クラウドサービス提供事業者として20年を超えるサービス提供実績とセキュリティ体制の強化に努めており、官公庁、製薬会社、金融機関などセキュリティに厳しいクライアントに累計11,000利用されております。
医療機関が頭を悩ませる問題の1つに、医療材料・医薬品の管理の大変さが挙げられます。それらのデッドストックや在庫切れの有無、発注業務、使用期限間近の在庫品のチェックなど考慮すべきことは多岐に渡り、コスト面と安心安全な医療提供を考えると、医療材料や医薬品の在庫管理は徹底して行わなければなりません。そのため管理業務に携わるスタッフの負担も大きく、医療の質の低下に繋がる可能性も考えられます。
そうした病院内の物品管理の課題を解決するべく、同社はクラウド型中小規模病院向け医療材料管理アプリケーションシステム「JoyPla®」を開発しました。
同システムは、バーコードラベルを読み取るだけで、院内の棚卸処理や物品の受発注といった手間のかかる処理をストレスなく完了できるのが特長。
院内の各部署から送られてくる物品請求のデータは自動で集計され、各卸業者へ一括発注する仕組みとなっています。
また、システムを通じて医療機関と卸業者間で受注や納期、見積もりといった情報をリアルタイムで共有可能です。
さらに同システムには「グループ施設管理機能」が備わっているのも注目すべきポイントで、事業部本部が運営する系列病院や介護施設など、複数の病院・施設についても在庫状況を集約し、一元管理できます。
系列・グループ病院や施設が複数ある場合、事業部本部は各施設の状況を把握するために多大な時間とコストを消費する必要がありますが、クラウド上で一括して在庫管理することで、スタッフの業務負担を大幅に削減できるのが魅力です。
こうした院内の物流を可視化することにより、過剰在庫や医療材料の有効期限切れを防止し、在庫切れも防ぐことができます。
なおかつ、スマートに在庫管理と物品の受発注ができることで医療スタッフの負担軽減と業務効率化が実現し、ひいては医療の質の向上にも繋がるかもしれません。