
本記事では、聴覚障がいを持つ患者さんとのバリアフリーなコミュニケーションを支援する企業、小児炎症性腸疾患(IBD)の学術集会やカンファレンスを実施し、診療水準の向上に寄与する研究会、看護業務に特化した救命処置トレーニングを提供する企業をまとめています。現場の課題解決とスキルアップに大いに役立つ内容となっているので、ぜひ目を通してみてください。
塩野義製薬株式会社は、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という基本方針のもと、140年以上にわたり事業展開してきた歴史ある企業です。
患者さんに、質の高い医薬品を、正確な情報と共にお届けすることを哲学としています。
同社は、2030年に向け、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」という経営ビジョンを掲げています。
長年の創薬の強みを土台に他社や他産業との連携を強化し、医薬品提供にとどまらない、包括的なヘルスケアサービスを手掛けるHaaS(Healthcare as a Service)企業への変革を目指しています。

また、社会貢献活動として「コミュニケーションバリアフリープロジェクト」にも取り組んでいます。これは、聴覚などに障がいのある患者さんが、医薬品情報にアクセスする際の障壁を取り除き、患者さんと医療従事者のコミュニケーションを支援する活動です。
バリアフリーの視点でも、患者さんと医療従事者の双方に立ってサポートする同社は、未来の医療を明るくする、心強い存在といえるでしょう。
同社は、聴覚障がいのある患者さんが医療サービスを円滑に受けられるよう、医療従事者向けの情報とサポートツールを公開しています。
その一つが、「当事者が解説!聴覚障がいの患者さまの医療機関での困りごととその対応について」という動画です。
ここでは聴覚障がいの当事者が、医療機関で直面する困難やそれに対する適切な対応策を解説しています。特に、耳が聞こえづらい方、加齢性難聴を患う高齢の方と接する機会が多い看護師さんにとって、気付きと実践的なヒントが得られる内容となっています。

また、聴覚障がいをわかりやすく学べる「聴覚障がいを知っていますか?」という漫画も公開されています。
患者さんの呼び出し方やマスク着用時の声の聞こえ方、聞き取りやすいイントネーションなど、具体的なコミュニケーションのポイントが描かれています。漫画にしっかり目を通すことで、適切な対応と患者さんの気持ちへの理解がさらに深まるでしょう。
ほかにも、耳の聞こえにくい患者さんへの服薬指導動画や、スムーズなやりとりを助けるコミュニケーションシートといった実用的なツールも提供されています。
すべての患者さんが安心できる医療環境を整えるには、当事者の視点を理解することが不可欠です。
患者さんファーストなケアを重視する看護師さんは、ぜひこれらのツールを活用してみてください。
日本小児IBD研究会は、小児期に発症する炎症性腸疾患(IBD)の質の高い診療を目指し、2001年に発足した研究会です。
発足当初は、個別の症例における問題点や治療法を中心に議論していましたが、近年の患者数の増加や治療法の進歩に伴い、現在は活動範囲を大きく広げています。潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)の診断・治療にとどまらず、単一遺伝子異常を背景とするmonogenic IBDの病態研究、さらには患者さんやご家族の精神的・社会的な問題といったテーマも扱っています。
年に1回の学術集会では、小児・成人領域それぞれの内科・外科医、看護師、管理栄養士、臨床心理士など、さまざまな職種が一堂に会し、多角的な視点で活発な議論を繰り広げながら、小児IBDの診療・研究の向上に大きく貢献しています。
さらに、多機関共同研究の助成、若手医師に対する国際学会への参加助成、国の難治性疾患研究事業への協力にも取り組み、患者さんをサポートする様々な活動を推進しています。
同研究会は、小児炎症性腸疾患(IBD)の診療・研究・教育の質向上のために、研究会や学術集会、カンファレンスを定期的に開催しています。
学術集会は、現在は全国から200名を超える医師やコメディカルスタッフが参加しています。

学術集会では、「診断・評価」や「症例報告」といった専門的なセッションに加え、ランチョンセミナーや懇親会も企画され、多様な専門職同士が交流できる場となっています。
近年では、これまで1日間開催だった学術集会を2日間に延長し、看護師・臨床心理士など様々な立場からの発表も含めた多くの演題を扱っています。
一方、年に1回、学術集会とは別に行っている症例カンファレンスは完全Web形式(Zoom配信)で開催されており、場所を選ばずに、難治な症例への対処についての専門施設同士のディスカッションや、最新のエビデンスを交えた講演に触れることが可能です。
小児IBDを患う患者さんのケアに携わる看護師にとって、同研究会の集会は疾患の最新情報と多職種の知見を得られる貴重な機会といえます。
「小児IBDの専門性を深めたい」「外部の医療従事者と情報共有したい」という方は、ぜひ集会への参加を検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社コードブルーは、「急変対応の質を向上させたい」という理念のもと、看護師の救命処置スキルの向上と普及を目的として設立されました。
代表の万波大悟さんは、2017年に臨床に役立つ体験を提供する団体「急変対応.net」を立ち上げ、アメリカ心臓協会(AHA)のACLSコースや救急看護学会のファーストエイドコースの開催、オンライン勉強会などを通じて教育活動に尽力してきました。
しかし、国内の病院では救命処置の訓練が義務化されておらず、二次救命処置のスキルは個人の自己研鑽に任されているのが現状です。
これにより、現場ではスキルにばらつきが生じ、指導内容の誤りや緊急時の連携不足といった課題が顕在化しています。
その問題を解決するため、万波さんは同社の設立とともに二次救命処置を看護師のスタンダードにすることを目指して、看護師に特化した独自の救急処置トレーニング「NCLS(Nursing Cardiac Life Support)」を開発しました。
さらに、NCLSと二次救命処置教育を医療現場に根付かせるため、指導ができるインストラクターの養成にも注力しています。

NCLS(Nursing Cardiac Life Support)は、病院内急変における看護師としての対応に焦点を当てて、臨床現場での実践力を高める目的で開発された急変対応研修です。院内急変は一次救命処置(BLS)には留まらず、薬剤投与や気管挿管などを含めた二次救命処置を行うことが多くあります。NCLSは「BLSコース」と銘打っていますが、病院内で働く看護師にとっては二次救命処置が標準(Basic)の救命処置(Life support)です。そういった意味で「新しいBLSコース」という副題が付けられています。
NCLSでは一次救命処置のスキルに加え、患者の評価・判断、二次救命処置のアルゴリズム、そして気管挿管の介助を網羅しており、急変対応の総合的なトレーニングが可能です。
カリキュラムは、「蘇生科学」「CPR(心肺蘇生法)」「呼吸管理」「初期評価・判断」「心停止アルゴリズム」の5つの要素で構成されています。単に知識や手順を暗記するのではなく、シミュレーションを主体とすることで蘇生科学を深く理解し、現場で的確に動ける力を養います。単なる形式的な手順を学ぶ救命講習とは異なり、「理解して行動する」力を養うことを重視しています。また、心停止の対応だけではなく、ショックや呼吸不全など、急変前の段階を扱うこともNCLSの大きな特徴の一つです。

同研修は、救命処置スキルに不安を感じる方や、二次救命処置における看護師自身の役割と行動を明確にしたい方に最適なプログラムです。個々の経験や熟練度に応じた学習スタイルを重視しているため、新人看護師はもちろん、ベテラン看護師の学び直しにも柔軟に対応しています。
心肺停止などの緊急時に迅速かつ的確に対応できる看護師は、患者さんと医療チームに大きな安心をもたらします。
ぜひ同研修で救命処置の専門性を深め、チーム全体の救命力を底上げする看護師を目指してみてはいかがでしょう。
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