
本記事では、ICTを駆使して医療現場の業務をサポートする企業をまとめてご紹介します。声で記録を自動化するシステムや、入院生活を支えるテレビ用情報システム、そして正確な事務作業を助ける診療報酬点検ソフトを開発する企業を取り上げます。
デジタル化で仕事にゆとりを作り、患者と向き合う時間を増やしたい方や、スムーズな情報共有でスマートな看護環境を整えたい看護師の方は、ぜひ最後までご覧ください。

株式会社ENBASEは、東京と福岡に拠点を置くスタートアップ企業です。生成AIをはじめとするテクノロジーをコミュニケーションに融合させ、多様な社会課題の解決に挑戦しています。
2022年の設立以来、訪問介護・看護向けAI「スタンドLM」の開発を中心に、生活支援プラットフォームやコールセンター運営など幅広く展開。特に医療・介護分野では、業務効率化とケアの質向上を両立するソリューションを提供し、業界のDX推進に大きく貢献しています。
訪問看護の現場では、日々多くの患者を訪問する傍ら、膨大な量の記録業務に追われることが少なくありません。書類作成のために1日1時間以上の時間を費やし、残業が常態化している看護師の方も多いのではないでしょうか。
「スタンドLM」は、そんな課題を解決するAIアシスタントです。訪問時の会話をリアルタイムに解析し、SOAP形式で業務記録を自動生成することで、書類に追われない現場をつくり、安心・安全なケアを支援します。

同サービスの特徴は、単なる文字起こしではなく、患者の基本情報や看護計画を事前に把握したうえで会話を解析する点にあります。ICD-10標準病名マスターなどの専用データベースを活用しているため、専門用語も正確に処理。文脈を理解した高精度なサマリーを生成し、患者の性格や好み、記念日といった「人となり」の情報も継続的に蓄積します。これにより、担当者が変わっても一貫したケアを提供できる環境が整います。
操作面では、アプリを立ち上げて1タップで記録を開始できる直感的な設計を採用。iOSに対応(Androidは開発中(2026年1月時点))し、途中で電話が鳴っても通話終了後に自動で記録が再開されます。生成された記録はその場で簡単に編集・修正が可能で、現場での微調整もスムーズです。
SOAPやSBARといった標準フォーマットに対応しているため、看護師の方は慣れた形式でそのまま利用でき、教育コストの削減にもつながります。
また、安全管理の向上にも寄与します。リスク発言を自動でハイライトし、ハラスメントやトラブル発生時の客観的証拠として保存する機能を備えています。
さらに、利用者対応や記録の質を可視化する「評価機能」は、スタッフの育成やケアの網羅性チェックに活用可能です。週次・月次の定期レポート自動生成機能では、訪問回数や記録時間の削減効果を数値で見ることができ、業務改善の判断材料にもなります。
会話からToDoや次回課題を自動検出してチームに共有する機能もあり、申し送りの漏れを防いで業務の正確性を高めます。作成したデータはCSV形式でエクスポートして既存システムと連携させることも可能です。
スタンドLMの導入により、看護師の方は記録業務の負担から解放され、患者との大切な時間により多くを割けるようになります。本来の看護業務に専念することで、専門性を十分に発揮できる環境が実現するでしょう。
Hanx株式会社は、神奈川県横浜市のみなとみらいに本社を置く、家電とSaaS型システムの企画・開発を手掛ける企業です。大手家電メーカーで20年以上の経験を積んだモノづくりのエキスパートが集結し、2020年に設立されました。

冷蔵庫や空調家電、AV機器といった幅広い電化製品の展開で培った技術力を背景に、現在は医療・福祉現場を支えるデジタルソリューションの提供にも注力しています。
放送局向けの高品質なデータ放送技術を医療機関向けに応用し、自社開発のハードウェアとクラウドサーバーを組み合わせた独自のアプローチで導入しやすい仕組みを確立。医療従事者が本来の業務に専念できる環境づくりに貢献しています。
医療現場では、入院患者への情報提供や案内業務が看護師の重要な業務の一つとなっています。しかし、同じ説明を何度も繰り返したり、紙の資料を配布したりする作業は、スタッフの負担増加につながることがあります。
そこで注目したいのが、既存のテレビ設備を活用するインフォメーションシステム「ほぴちゃんねる」です。

このシステムは、病室にあるテレビのデータ放送機能を使い、館内放送として入院案内や施設情報を配信します。最大の特徴は、用途に合わせて選べる柔軟な表示形式です。
たとえば、オプションの「音声付き自動スライドショー」を活用すれば、患者はリモコン操作をすることなく、動画のような感覚で説明を視聴できます。
一方で、食事メニューや施設案内などは、普段使い慣れたリモコンを使って自分のペースでページをめくりながら確認することも可能です。このように「自動」と「手動」を組み合わせることで、看護師への基本的な質問回数の削減が期待できます。
コスト面や導入のしやすさも魅力です。自社開発の放送機器(OFDM変調器)とクラウドを活用することで、テレビの台数に左右されない定額制のリーズナブルな料金体系を実現しています。
また、dボタンに対応したテレビであればメーカーや型番を問わずそのまま利用でき、病室のテレビ一台一台をインターネットに繋ぐ必要もありません。既存のアンテナ設備を活かしてスムーズに導入できるのは、現場にとって大きなメリットです。
情報の更新も非常にスマートです。PCやタブレットのブラウザからクラウドサーバーにアクセスするだけで、遠隔地から簡単に表示内容を書き換えられます。専門知識がなくてもスライド資料を編集するような感覚で操作できるため、迅速な情報発信が可能です。
さらに、DVDなどの動画配信機能やラジオ放送、多言語対応(英語・中国語・韓国語)など、患者の満足度を高める機能も充実しています。
看護師にとっては、定型的な説明業務をシステムが補完してくれることで、より専門的なケアに集中できる環境が整います。情報の伝え方をデジタル化することで、患者にもスタッフにもゆとりをもたらす次世代の院内インフォメーションサービスといえます。
DX CARE株式会社は、2020年に設立された、医療・ヘルスケア分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業です。少子高齢化が進む社会において、健康の増進と高いQOL(生活の質)の維持を目指し、医療・健康分野の課題解決に貢献しています。
主な事業領域は、Medical DX事業とDX CARE事業の2つを柱とし、医療報酬点検支援や疾病発症予測など、AIとデジタルを融合した革新的なデジタルヘルスケアサービスを提供。ソリューションを通じて、社会に広く貢献しています。
毎月のレセプト点検業務において、膨大な書類の確認に追われ、月初めの残業が当たり前になっている現場も多いのではないでしょうか。複雑な診療報酬改定への対応や、属人化しやすい点検作業は、スタッフの大きな負担となります。
「レセプトチェッカーLS Plus」は、こうした課題をAIとクラウドの力で解決し、正確かつ効率的な請求業務を支援する点検ソフトです。

同サービスには高度なクラウドAI学習機能を搭載しており、全国のユーザーから集積された点検データをAIが自動で精査・学習します。この機能により、医療機関ごとに細かなルールを一つずつ設定する手間がなく、導入後すぐに精度の高い点検を開始できるのが大きな強みです。
また、病名点検と精密点検を同時に行える点も特徴です。約4,000件の精密点検ルールと約24,000件のデータに基づき、病名漏れのチェックはもちろん、部位や左右の不一致、医薬品や検査の適応判断を瞬時に実施します。
目視では避けられないヒューマンエラーを大幅に削減し、査定や返戻の防止に大きく貢献します。
操作面でも、現場スタッフの視点に立った、直感的で分かりやすいデザインを採用しています。クラウド型サービスのため、マスタ更新の手間がなく、常に最新の情報で利用可能です。
さらに、医師の医学的知見を「手動学習」として登録すれば、次回からは現場の意向を汲んだ点検へと自動で最適化されます。デバイスの台数制限がないため、院内のどこからでもアクセスでき、2段階認証などの強固なセキュリティにより情報の安全性も確保されています。
導入による大きなメリットは、点検業務に要する時間を大幅に圧縮できる点にあります。実際に、これまで5時間(300分)を要していた作業がわずか15分程度で完了した実績もあり、集中して行っていた月初めの業務負担を大幅に軽減することが可能です。
一般的には有料オプションとなることも多いリモートサポートが、導入しやすい価格設定のなかに標準機能として含まれている点も心強いポイントです。専門スタッフが画面を共有しながら丁寧に操作を説明してくれるため、新しいシステムの導入に不安を感じる方でも安心して使い始めることができます。
レセプトチェッカーLS Plusの導入は、請求漏れを防ぎ収益を安定させるだけでなく、現場全体の働き方改革にも寄与します。レセプト業務の効率化により事務作業の負担が軽くなり、スタッフは患者さんに向き合う時間や質の向上により一層取り組める環境が整うでしょう。
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