こんにちは!私、つばさ病院新人ナースの児玉のぞみは、本日夜勤デビューしました!
でも、初日から仮眠で爆睡して、及川先輩の時間まで寝てしまった私…(汗)。
ここは気まずい雰囲気を吹き飛ばさなくては、と、ニッコリスマイルで先輩がたに言いました。
「ナースコールも鳴らないし、モニターも鳴らないし、落ち着いてますね!」
『!!?』
「ふぁ!…ぉ☆※◇★…!?」
な、な、なんだ!? 普段は慎重すぎるほど慎重派の及川先輩が、急に私の口を手で塞いでしまったです。セ、セ、センパイ苦しいよ~。
その顔は、なぜかとても引きつっています。
「児玉さん! お願いだから余計なことは言わないでっ!」
私は助けを求めようと、他のふたりの先輩たちの方を見ました。すると長嶋さんも島田さんも呆れ顔…。
え? 何? 私、何をやらかしたの…?
”~♪~♪~♪”
その時、突然、エリーゼのためにのメロティが!? ナースコールです!
島田さんが対応し、長嶋さんは恨めしそうに私を見て、「ほら、来た!」と言いました。
すると今度は、心電図モニターのアラーム音がナースステーションに響きました!
な、何? 何が起こっているの!?
なんと驚くことに、これまで静かだった病棟が急に怒涛のような慌ただしさに包まれたのです!
「児玉さん、ナースコール取って!」
「こっち、急変だから。ドクターコール!」
ひぇー!!!まさに嵐。循環器病棟に嵐が訪れました!
私も出来る限りのことをしましたが、先輩たちは患者さんの対応に追われ、いつになく厳しい表情。夜勤ってやっぱり大変なんだ…(涙目)
あとで聞きましたが、夜勤で「落ち着いている」というのは禁句なんだそうです。理由はわかりませんが、その言葉を発した瞬間、忙しくなるのだとか…なんでだろ?
息をつく暇もなく嵐が去ると、すでに空は明るくなりはじめています。ああ、もうすぐ夜が明けるんだ……。ホッとすると同時に、ものすごい睡魔に襲われました。このタイミングで眠くなるの? 私の身体ってなんて素直。
眠いな、と思っていると及川先輩が私の肩を叩きました。
「児玉さん、なにボーッとしているの。ほら採血の準備して!」
「はい!」
ヒェ~!!!私は目の前のカートに用意された大量のスピッツを見て、愕然としました。なんなの?このスピッツ!なんでこんなにあるのぉ……。
「及川先輩…夜勤って毎朝こんなに採血するんですか?」
恐る恐る聞いてみると先輩が言いました。
「児玉さん、今日は何曜日かしら?」
「日曜日ですけど…」
及川先輩の眉がまたもやハの字に。
「明けてるから、もう月曜日よ」
月曜日は土日で検査が出せないなどの理由から、採血をしなければならない患者さんがたくさんいるのです。
それにしてもすごい数だな。私はあまり得意ではない採血をたくさんしなければならないことで、すっかり意気消沈。
「ほらほら、児玉さん!採血上手になるから頑張って!」
「何事も経験、経験!」
と先輩たちに励まされ、私は眠くてシパシパしている目を見開きながら採血にむかいました。
やらねばならぬのだ!為せば成る!のぞみ!!
果てなく感じられた採血もやっと終わりを迎える頃には、もうすっかり朝に。
「おはよう! お疲れ様~!」
なんとも爽やかな声が廊下に聞こえ、声のする方を見ると日勤の先輩の姿が!
やっと交代だあ。ありがたや~。
その姿は、窓から漏れる朝日に照らされ本当に白衣の天使ように見えました。
こうして私の夜勤デビューが終わろうとしていました。
先輩たちの申し送りを聞いている間、また眠気が襲ってきましたが、私の気持ちはなぜかとっても晴れ晴れとして、達成感に満ち溢れています。
色々あったけど、私、こだまのぞみは勤デビューしちゃった! エッヘン!
「児玉さん…」
「ハイ! どうしました? 及川パイセンッ!」
ロッカーで着替えていると、及川先輩に声をかけられました。
「……児玉さん、あの、今日はまっすぐ帰った方がいいわよ」
「え、でも私、なんかすごいパワーみなぎってきました! あ、先輩、夜食のおやつ、食べるヒマなかったので、これ、どうぞ!!」
おやつをあげてもニコリともしない及川先輩。そんなに疲れたのかな~。またハの字眉毛で私を見ています。
「先輩こそ、帰ってしっかり眠ってくださいね♪ じゃ、お疲れ様でした~」
「……お疲れ様」
及川先輩の細い声に見送られ、のぞみは元気いっぱい! そうだ、お財布には今週の生活費がまだたっぷり入っているし、夜勤のご褒美に何か美味しいものでも食べに行こうっと♪
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