
本記事では、障害や重篤な疾患の発症、災害など予期せぬ危機的状況に直面した患者さんがたどる心理プロセスである「フィンクの危機モデル」についてイラストでわかりやすくまとめています。患者さんがたどる心理段階や心理的防衛への理解を深め、適切なアセスメントや看護介入を行う際の参考にしてください。
以下について解説します。

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フィンクの危機モデルとは、障害の発生や重篤な疾患の発症、災害などに直面した患者さんがたどる心理的な変化を4つの段階(衝撃期→防御的退行期→承認期→適応期)に体系化した看護理論のことです。
ここでは、第1段階である衝撃期について詳しく解説していきます。

第1段階として危機的な出来事が生じた直後に訪れるのが衝撃期です。突然の事故や病状の告知を受けた患者さんは、強いパニックに陥ったり現実感が失われるような心理状態を示します。
衝撃期にある患者さんに対し、看護師はまず生命と安全の確保を最優先にしたケアを行います。患者さんが精神的な混乱をきたしている時期でもあるため、複雑な病状説明や早期の過度な介入は控えます。看護師は刺激の少ない落ち着いた環境を整え、患者さんのそばに優しく寄り添う姿勢を保つことが大切です。
衝撃期を過ぎると、第2段階として患者さんは自らの心を護るための防衛反応を示します。
ここでは、防御的退行期と第3段階である承認期における患者さんの状態や看護介入について詳しく解説していきます。

防御的退行期は、受け止めきれない厳しい現実から自分自身を防衛しようとする時期を指します。患者さんは「何かの間違いだ」「すぐに元通りになる」といった否定的な言動を見せたり、過度な希望的観測にすがったりするほか、あえて明るく振る舞って現実逃避を図るケースも少なくありません。
防御的退行期において看護師は、患者さんの否定的な発言を無理に訂正したり、現実を強制的に突きつけたりしない姿勢が重要です。患者さん自身のペースで現実を受け入れる準備が整うのを待ちます。
承認期は、これまで働いていた否認の心理的防衛が崩れ、患者さん自身が現実に直面せざるを得なくなる時期です。その結果、患者さんの心には、大きな喪失感や抑うつ、悲哀、無力感、激しい怒りなどの感情が押し寄せます。
看護師は、患者さんが吐き出す辛い感情や怒りを決して否定せず、親身に傾聴する姿勢が大切です。また、深い絶望感から自傷行為に至るリスクも高まる時期であるため、安全への配慮と観察を徹底する必要があります。
危機的状況を乗り越える最終段階である適応期と、プロセスを捉えるうえで看護師が知っておくべき重要事項について解説します。

適応期は、患者さんが厳しい現実や生じた障害を受け入れ、新しい生活状況のなかで生じるさまざまな問題に向き合いながら、問題解決へ向けて歩み出す段階です。
看護師は、問題解決や社会復帰に向けた具体的な支援を開始します。リハビリテーションの継続や新しいセルフケア方法の獲得を促すとともに、患者さんが本来持っている強みを引き出す働きかけが重要です。
フィンクの危機モデルにおける4つの段階は、必ずしも衝撃期から適応期へ一直線に進むわけではありません。患者さんの状態や出来事によって、前の段階に戻ったりプロセスを行き来したりするケースもしばしばみられます。
看護師が、日頃の会話や行動を通して患者さんの心理状態を分析し、今どの段階にいるのかを把握することが、看護実践における重要なポイントです。
具体的な臨床事例として、突然の交通事故により下半身不随となった30代男性A氏のケースをもとに、各段階における看護実践のポイントを見ていきましょう。

A氏が「すぐにリハビリを行えばまた歩けるようになりますよね。」と希望的観測を口にした際、看護師は障害の永久性を無理に説明することは避けます。そのうえで、「Aさん、また歩けるようになりたいというお気持ちがあるのですね。」と共感的に応答し、患者さんの心理的防衛を理解しながら不安に寄り添いましょう。
現実に直面したA氏が塞ぎ込み、「リハビリなんて意味がない。足が動かないならもう生きていても仕方がない。放っておいてくれ。」とリハビリを拒否する場面では、否定せずに傾聴する姿勢が大切です。
そのため、「Aさん、辛いお気持ちのなか、今の思いを打ち明けてくださってありがとうございます。今日はお休みして、心と身体を休める時間にしましょう。」と応えるなど、安易な励ましや感情の否定は避けるようにしましょう。
障害を受け入れたA氏が「車椅子操作の練習をして、車椅子でできる仕事を探したい。」と前向きな姿勢を見せた時期には、具体的な社会復帰の支援へ繋げます。
看護師は「ご自身の体調や車椅子での移動範囲に合わせて探していけるよう、ソーシャルワーカーにも一緒に入ってもらって相談してみませんか。」と提案し、問題解決に向けた架け橋となりましょう。
上記で学んだ内容から、クイズを出題します!イラストでインプットできたら、クイズに挑戦してみてください。
【クイズ①】レベル★
フィンクの危機モデルにおける第1段階であり、危機的状況の直後に強いパニックや現実感の喪失が生じる段階を何と呼ぶでしょうか。
【クイズ②】レベル★★
防御的退行期において、患者さんが「何かの間違いだ」と現実を否定している際、看護師はすぐにその誤りを訂正して現実を突きつけるべきである。〇か✖か。
【クイズ③】レベル★★★
フィンクの危機モデルの4つの段階は、必ずしも一直線に進むわけではなく、前の段階へ逆流することがある。〇か✖か。
【クイズ①答え】衝撃期
解説:危機的状況の直後に訪れる衝撃期では、パニックや現実感喪失が起こります。まずは患者さんの生命と安全の確保を最優先とし、落ち着いた環境を整えて寄り添う看護が求められます。
【クイズ②答え】✖
解説:防御的退行期では、受け止めきれない現実から自らを護ろうとする心理的防衛が働いています。否定的な発言を無理に訂正せず、患者さん自身のペースで受け入れる準備ができるのを待つ関わりが大切です。
【クイズ③答え】〇
解説:危機モデルの段階は直線的に進むだけでなく、状況に応じて前の段階へ戻ってしまうこともあります。看護師は会話などを通して今どの段階にあるかを常に分析し、患者さんの心理状態に合わせた援助を行う必要があります。
今回はフィンクの危機モデルにおける4つの段階や、各段階でのアセスメント・看護介入のポイント、臨床事例についてイラストで解説しました。この内容が、皆さんの日々の看護実践の参考となれば幸いです。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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