看護師と薬 In Australia シリーズ2回目「配薬方法・手順とナース処方」

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西オーストラリア・パース在住11年、パース市内の公立病院一般内科勤務歴10年目のKayです。
「看護師と薬」について何回かのシリーズに分けてご紹介しています。

第1回目では日本とは全くちがう薬品名や処方箋の読み方についてご紹介しました。

第2回目となる今回は「配薬方法、手順とナース処方」についてです。
日本の病院では夜勤のナースがその日1日分の薬を朝、昼、晩、寝る前と分けておいてくれたのを配ったり、時間のない時はリーダーさんが配ってくれたりしてくれてたのを覚えてます。
どちらにしても、患者さんの薬は薬局でほぼ一包化されて各病棟にあげられてきてました。

こちらでは配薬にもものすごく時間がかかります。
なぜならメッドチャートを見ながら処方箋にある薬をすべて自分で用意しなくてはならないからです。
では、どうやって配薬をするのか、一般的な流れをご紹介しますね。


配薬手順


1.まず受け持ち患者さんのメッドチャートに処方されている薬を見てその人のベッドサイドにある床頭台の1番上のカギのかかる引き出しを開けます。

この床頭台の引き出しはもともとからっぽで、患者さんが入院時に受け持ちナースがメッドチャートを見てその患者さんの飲む薬を病棟ストックから引き出しに移すのです。

病院によって、患者さんの薬の保管場所は様々で患者さんの部屋に付属の戸棚だったりするところもあります。
保管場所はカギが付いていて、そのカギは病棟看護師しか持っていません。

2.引き出しに常備されている小さなカップにメッドチャートを確認しながら一つ一つ入れます。

3. 6Rと言って6つの確認項目(Right Person:患者さんはあってるか?Right Medication: 薬があってるか? Right Dose: 投薬量があってるか?Right Route: 投薬方法はあってるか? Right Time: 投薬時間はあっているか?Right Reason: 投薬目的はあっているか?)とアレルギーの薬は入ってないかを確認し患者さんに渡します。

4.自分で薬を口まで運べない患者さんはひとつづつ口に入れたりして介助します。

嚥下困難がある患者さん、大きな粒が飲み込めない患者さんは、薬を細かくしたり、乳鉢(薬を砕く小さなすり鉢)で砕いてのませます。

NGT(胃管)やPEG(胃瘻)がある人はやはりその都度砕いてお水に溶かしてチューブから投薬します。

以上の手順で受け持ち患者分(平均4~5人)の配薬を自分が責任をもって行います。

私の勤めている病院は一般内科病棟なのでお年寄りや経過の長い患者さんが多く基礎疾患もたくさん抱えている人が多いので飲んでいる薬の量も多くなります。

ですので、このメッドチャートも1枚(1枚で10種類の薬の処方が書けます)では収まりきれるわけではなく2~3枚が平均です。
これは時間がかかるのも当然ですよね?

薬についてのあるある!


オーストラリアの錠剤の大きさもはんぱないんです!

マーブルチョコレートくらいの大きさなんてざらで、もっと大きいものは大人の小指の先の大きさ位あるんですよ。

こんなに大きいとお年寄りじゃなくても飲み込むのに一苦労ですよね。

薬は砕くと大体苦くなるので甘いジャムに混ぜて飲ませてるのが一般的です。
初めてナーシングホームで見た時びっくりしました。

薬のストック管理


配薬時に残り少なくなった薬は病棟のストックから患者さんのベッドサイドの床頭台に補充します。

病棟にストックがない時は薬局にオーダーするか、薬局の時間外の場合は他の病棟にストックがあるか電話して取り寄せます。

こちらでは基本的に薬の自己管理はなく、誤薬を防ぐため入院時に家から持ってきた薬は退院まで病院で預かるか家族に家に持って帰ってもらいます。


仰天!ナースでも処方ができるんです!!


日本では患者さんが軽い頭痛や痛みを訴えてたり、便秘気味なので緩下剤がほしいといった場合に主治医を探して処方箋を書いてもらったりする時間を確保するのも難しい時もありますよね。

オーストラリアではDrの指示がなくても、ナースの判断で指定された「解熱・鎮痛剤」「緩下剤」「グリセリン座薬」「胃の保護材」などは処方ができる事を知った時はものすごく驚きました。

主に一般の薬局に行けば誰でも購入できる薬品です。
以下がナースが処方できるリストです。


Aperients(緩下剤)


*Bowel Stimulants(大腸刺激性下剤) : Docusate(Coloxyl), Coloxyl&senna
*Bulk Laxatives: Fybogel
*Bowel Preparation: Colonytely/Golightly, Picoprep

Antiflatulents(腹部膨満改善)


*Peppermint Water
*Simethicone

Enemas&Suppositories(浣腸、座薬)


*Glycerin Supp(グリセリン座薬)
*Microlax Enema
*Durolax Supp(ビサコジル座薬)

Antacids(制酸剤)


*Aluminium Hydroxide(Gaviscon, Mylanta)マーロックス

Anti-Fungal Agents(抗真菌薬)


*Nystatin Oral Drops
*Clotrimazole(クロトリマゾール:エンぺシド) Pessaries & cream

Analgesics(鎮痛剤)


*Paracetamol(Oral&PR)(アセトアミノフェン:カロナール)
*Paracetamol 500mg & Codeine Phosphate(リン酸コデイン) 8mg

IV Flush(静脈注射フラッシュ)


*N/S (生理食塩水)for maintaining IVC(留置針のフラッシュ時に使用する生理食塩水)

Incidentals(その他 必要時)


*Glucamon Solution(ブドウ糖液)
*Ural Sachets(酸性尿改善薬)
*Saliva Substitute(人口唾液)
* Cepacol Lozenges(のどの痛み止めトローチ)
*Occular Lubricants
*Nicotine Replacement Therapy (Patches & Inhalers)

処方した薬はメッドチャートの「ナース処方」の欄に記入して飲ませた時間を書いてサインをし、看護記録に詳細を記入します。


いかがでしたでしょうか?
配薬にしても一包化を「はいっ」と渡すだけではなく、自分でシートからその都度出さないといけない事やナースにも処方できる権限があるなんてびっくりですよね?

それだけ、ナースの仕事は責任も重いのだと再確認させられました。

まだまだ続く薬シリーズ、次回は「点滴管理(仮)」についてお伝えしたいと思います。

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