みなさんは「あの夜は忙しかった…」「あの夜勤は本当に大変だった」など、思い出に残る夜勤はありませんか?
今回は夜勤経験のある看護師の方に、『一番大変だった夜勤』の体験談を伺いましたので、まとめてご紹介いたします。
「なんか今日は落ち着いていますね…」新人看護師が何気なく言った一言。
この言葉、私たち看護師には何かの呪文のように聞こえます。この言葉を言うと、落ち着いていた病棟が急に忙しくなるという恐ろしいジンクス(呪文)があるんです。
あの晩がそうでした。まだこのジンクスを知らなかった新人看護師のNさんが、この言葉を言ってしまったのです!
その後、ジンクス通りになり、看護記録をつける余裕もないほどバタバタ。申し送りの後に、私たち夜勤組は残業を余儀なくされたのです。急患に急変にと、記録物がたくさん残り、眠い目をこすりながらPCに向かったあの日…。
悪気がないのはわかっているんですが、Nさんを恨みたくなりましたね。
あの言葉。みなさんもご注意くださいね。
私の一番大変だった夜勤の思い出といえば、昨年のある晩。
ナースステーション脇の重症患者さんばかりの病室(4床)の患者さんがとても危険な状態であると申し送りを受け、「今晩は寝られない」そう覚悟をしていました。
うちの病棟は夜勤看護師3名体制の混合病棟。あまり普段は忙しい方ではないのですが、この夜は…すごかったです。
まず日付が変わる前に、急変した患者さんのステルベンがありました。その直後、危ないと申し送りを受けた患者さんのステルベンが続き、明け方、またもや急変がありその方も…。
同じ病室で一晩に3名の患者さんのステルベンでした。私は背中がゾクッとしました。エンゼルケアを3回も行うことになるとは…。
昼近くまで残業しました。もともと1床空いていたので、重症患者用の病室は全て空きベッドになりました。
帰り際に、古株の先輩看護師が不気味なことを言いました。
「あんた、憑いてるね。気をつけなよ…」
「そんな、先輩、脅かさないでくださいよ!」
と答えた私は、なんだか本当に怖くなって、帰り道にある神社にお参りに行きました。
その日、私は日勤のリーダーでした。
もう少しで申し送り時間なのに、夜勤看護師が1人出勤してこないのです。寮に連絡しましたが不在で、携帯も呼び出し音が響くだけです。時間になってしまったので、待っている他の夜勤さんに申し送りを始めることにしました。
出勤してこないAさんのことは師長に報告し、対応をお願いしました。
申し送りも終わり、日勤が帰る時間になってもAさんと連絡が取れませんでした。師長はこの日非番のスタッフに連絡をしていましたが、みんな都合が悪いらしく、夜勤に来れる人がいないという最悪な状況です。
日勤で残っているのは、私と師長だけ。
私は覚悟を決め、「師長、私が夜勤に入ります」と申し出ました。
「ごめんなさいね。助かるわ」と師長は申し訳なさそうに言うと、帰って行きました。
その夜は特別、急患・急変はありませんでしたが、日勤からの夜勤は想像以上にハード。私の夜勤のつらかった思い出の中でもこの日が一番ですね。
後日、Aさんは、「着信アリがすごい件数で、鳥肌だったよ」と…。
彼女シフトの確認ミスで夜勤のことはすっかり忘れていたのだとか。もう勘弁してください、と思いましたね。
”♪~♪~♪……”
夜勤帯のナースコールの音は『エリーゼのために』になります。私の勤務する病棟では、消灯後に変わります。多くの病院・病棟で、消灯後は静かなメロディがナースコール音として使われているのではないでしょうか。
私はこのメロディが嫌いです。あの恐ろしい夜勤を思い出すからです。
その晩は特に日勤さんからの送りでも急変しそうな方もおらず、いつもの落ち着いた夜勤だと思っていました。
消灯まで何事も無くスムーズに業務も進み、急患などの変わったこともありませんでした。夜勤パートナーと2人でホッとしていたところに、『エリーゼのために』が静かに流れてきました。
私がナースコールが光る病室に向かうと、入院されて2日目の患者さんBさんでした。
「どうされました?」と静かに聞くと、Bさんはオドオドとした様子でベッドから私を見上げ、「いやね、暗くなってなんだか怖くなってね…」とおっしゃいました。
消灯後は病棟全体が暗くなり、患者さんの中には不安に陥り眠れなくなる方もいます。
私はしばらくBさんのベッドサイドで世間話をしました。するとじきにBさんは入眠されました。Bさんには睡眠導入剤が処方されていたのです。
ナースステーションに戻ると、今度は個室のDさんからコールです。今度はパートナーが個室に向かいました。Dさんも少々不穏気味でした。
するとパートナーが戻るまでに、またしても『エリーゼのために』が!? しかも病棟のあちこちでナースコールの光が点滅しているのです!
私は急いでパートナーのPHSへ連絡しました。
その後も、私たちは一晩中、『エリーゼのために』を聴くことに…。
不穏状態って、感染とういうか伝染する気がしませんか? 私たちの精神科病棟では「不穏は感染する」とまことしやかにささやかれています。『エリーゼのために』で、私まで不穏になりそうでした。
その日、いつもの当直医ではないな…と思っていたのですが、やはりF医師という初めて一緒になるお若い先生でした。
日勤帯から危険な状態だった患者さんがいよいよ…という時に、そのF医師に「先生、急変です。お願いします」とコールすると、ひどく慌てた様子で、すぐに病棟に来てくださいました。
申し送りはしてあったのですが、患者さんを前にF医師は青い顔です。
「先生…?」
「あ…あの…僕、当直は始めてでして」
私たち看護師2人、顔を見合わせてしまいました。
たまたま夜勤の看護師=私たちは古株の看護師。慌てるF先生をフォローしながら、力を尽くしました。ですが、患者さんは旅立たれてしまいました。
仕事を終えたF先生は、今にも泣き出してしまいそうな声で、「ありがとうございました…」と言うと、フラフラと当直室へ帰って行きました。私たちは唖然として、そんなF医師を見送りました。
夜勤パートナーの先輩が、「始めてよ、こんな夜勤…すごく疲れた…」とナースステーションで呟きました。その日の夜勤はアッという間に明けましたが、ものすごい疲労感でした。
その2日後、F医師が当直を辞めたことを聞きました。少しホッとしたのは私だけではないと思います。当直医は過酷な仕事ですよね。そういう私たちも過酷ですけど…。忘れられない夜勤でした。
様々なドラマが繰り広げられる医療の現場。
その中でも夜勤でトラブルが起きるとかなりつらいですよね。私も看護師として夜勤でいろいろな経験がありましたが、今回、お話し頂いたような夜勤は、できれば経験したくないものです。
最後になりましたが、看護師のみなさん、貴重な体験談ありがとうございました。
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