看護師と薬 In Australia シリーズ3回目「点滴管理」

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西オーストラリア・パース在住11年、パース市内の公立病院一般内科勤務歴10年目のKayです。

「看護師と薬」について何回かのシリーズに分けてご紹介しています。
第1回目では「薬品名と処方箋」について第2回目は「配薬方法、手順とナース処方」ご紹介しました。

第3回目となる今回は「点滴管理」についてご紹介しますね。

最初に驚いたのは抗生剤の点滴、持続点滴の数が日本と比べると圧倒的に少ない事です。

私の働いている科が一般内科だからかもしれませんが、(外科や整形外科病棟はもっと多いかもしれません)何でもかんでも、とりあえず点滴しておきましょうか?と言うような風潮は見られません。


点滴


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日本でも病院によるかと思いますが、私が勤めていた病院は薬局から患者さん別にセットされた点滴がオーダー表と一緒に送られてきていました。
こちらではそんな便利なシステムではありません。

どうするのかと言うと病棟にあるストックから、毎回看護師が自分で作るのです。

機能別看護方式(投薬、検温、清拭、注射など業務ごとに担当する看護師を決定し、各看護師が複数の患者に対し、受け持ちの業務を提供していく方式のこと)ではないので、自分の受け持ち患者の抗生剤や静脈注射などの点滴は自分で用意しなくてはならないのです。

特別な抗生物質や薬は薬局にオーダーすると、患者さん名の袋に入って上がってきます。


準備をするときに必ずナース2人で確認し誤薬を防ぐ


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薬品準備室で抗生剤の点滴や静脈注射の準備をし終えると、必ずもう一人のナースに準備し終えた抗生物質のバイアル、アンプル、注入された生理食塩水の点滴パック、点滴前後にIVC(静脈留置針)をフラッシュする生理食塩水の消費期限が切れていないか?薬品名があっているか?投与量があっているか?投与する患者名が違っていないか?をメッドチャートと照らし合わせて確認してもらい、静脈注射レーベルにサインしてもらいます。


点滴投与する時は必ず輸液ポンプを使用します


日本の病院でもすでに導入されていると思いますが、私が働いていた時は輸液ポンプは輸血時や微量調節が必要な輸液での使用のみで一般的な輸液や抗生剤点滴では使用されていませんでした。

こちらの病院では輸液時は必ず輸液ポンプを使用します。
病院の方針(ポリシー)で決まっているそうです。

緊急時、コードブルー発生時に圧をかけて早く輸液を行いたい、屋外などのコードブルーで輸液ポンプへのアクセスがない場合を除き輸液ポンプを使います。
思い起こせば10年前、パースの今の働いている病棟の最初のオリエンテーションで輸液ポンプの使い方を習いました。

ポンプに輸液セットをセットし、患者さんにつないで、輸液ポンプに輸液全体量、輸液時間をセットすると自動的に輸液速度が計算されてちゃんと時間通りに輸液が完了するんです!
滴下速度を時計の秒針を見ながら合わせたりしなくてもよいので、凄く感激しました。
それに、緊急カート以外、滴下点滴セットを見ることはないのに驚きました。


皮下持続点滴


静脈の血管確保が難しい場合に皮下持続点滴を行う時もあります。
皮下持続点滴は点滴の中にカリウムなどの薬品を混ぜることができないので主に水分補給として生理食塩水のみ点滴します。

皮下組織の炎症防止のため滴下速度も60ml/時以下の設定になります。
緩和ケアの目的で使われる場合は微量のシリンジポンプでモルヒネなどの痛み止め、鎮静剤などがミックスされて投与されます。

医療事故を防ぐため皮下注射の場合の注射レーベルは茶色で色分けされています。


薬剤の計算


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前回「配薬方法、手順とナース処方」でもご紹介しました通り、配薬も自分で薬をシートから出すところから、点滴も自分で配合するので薬の計算式が必要になってきます。
・計算の公式
Dose required(処方投与量) x volume of stock strength(薬の溶けている液の量)
Stock strength(溶けている薬の量)

例えばAと言う水薬は250mg/5ml(薬液5mlあたりに250mgの薬品が含まれている)の強さで処方量は750mgとすると式に当てはめると
750mg × 5ml
  250ml       
水薬を15mlあげればいいと言う事になります。

Bと言う薬750mgと処方箋に書いてあり、引き出しには250mg/1mlのBの液状薬があるとすると、式に当てはめると
750mg × 1ml
  250ml    
3ml飲ませればいいということになります。

水薬だけでなく静脈注射でもこの計算式は使います。
ちょっとややこしいのですが、ベンゾペニシリン3g/1バイアルの薬は13mlの生食で溶かすという決まりがあり、混ぜると全体量が15mlになります。
処方箋にベンゾペニシリン1.2g IV(静注)と指示があれば式に当てはめると
1.2g × 15ml
   3g    
溶解液は6ml必要となるとわかります。

計算が強い人なら暗算でできそうですが、計算があまり強くないナースの為にも点滴準備室には電卓も常備されているんですよ。


いかがだったでしょうか?
点滴にしても違う所もありますが、事故防止に努める為に2人で確認したりするところは一緒ですね。

薬剤の配薬量の計算もしなくてはならないので、計算にも強くなります。
3回目まで続いてきた薬シリーズもいよいよ大詰めです!
最終回の次回は「麻薬管理と薬剤師さん」についてお伝えしたいと思います。

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