心身両面の癒やしとケアの追究、過眠症の方の支援を通じて、医療の進歩と人々の健やかな生活に貢献する組織

2022.3.23

患者さんの健やかな日常をサポートするためには、相手の状況を深く理解し、心身両面のケアを意識することが大切です。ここでは、医療現場で心身に寄り添ったケアが求められる看護師さんに向けて、患者さんの癒しの環境を研究している団体を取り上げています。また、心身に大きな影響を与える病の一つとして睡眠障害の過眠症に着目し、過眠症の方々を支援し、社会に対して普及啓発活動を行っている団体も紹介しています。

目次

一般社団法人 癒しの環境研究会

一般社団法人 癒しの環境研究会は、人が自己治癒力を高める上で、癒しの環境が必要であることを説き、癒しの環境づくりに関して具体的・学術的に追究している研究会です。

同研究会は、将来の医療・療養環境の向上を目指し、医師・看護師・建築家・インテリアデザイナーなど垣根を超えた専門職の方々と、実際に病気と向き合う患者さんを集め、建設的な意見を言い合う研究発表会やワークショップを実施しています。研究会は、年2回の東京での研究会の他、年に1度のペースで全国大会を開催しており、全国各地に癒しの環境づくりの意識を広めています。

患者さんの心を癒すことに力を入れている同研究会の取り組みは、病気の治療だけでなく、精神面のケアも大事にしたい看護師さんの心に響くのではないでしょうか。病院や高齢者施設に癒しの環境を取り入れたいと感じるなら、ぜひ同研究会の活動に注目してみてください。

研究会が目指す癒しの環境とは

同研究会は「心を癒し、病気になった身体を癒すこと」の前提になるものが、癒しの環境だといいます。

この癒しの環境には、安全な環境・ほっとする環境・効率の良い環境・元気になる環境・生きる歓びに沸く環境の5つのステージがあり、各ステージにハードとソフトと、間をつなぐものの3つの要素があるとのこと。

ハードとは、施設・設備・緑などの環境のことを指し、ソフトの中心は患者さんと関わる医療従事者のことを指しています。ちなみにソフトの癒しの環境とは、笑顔で温かい雰囲気で、やさしい言葉や頼もしい態度で患者さんの気持ちにしっかり寄り添ってくれるスタッフがいる、安心できる環境のことです。そして、このハードとソフトの調和として、アート・食事・音楽などの間をつなぐものがあると語っています。

同研究会はこれら3つの要素を重視した上で、患者さんの心を癒し、人としての尊厳を高めて、身体の内側から自己治癒力が湧き上がってくるような癒しの環境をつくることを目指しています。

笑い療法士

          ▲画像提供:一般社団法人 癒しの環境研究会

    笑い療法士第2期生の認定式の様子

同研究会は、癒しの環境をつくる一環として「笑い療法士」を育成しています。笑い療法士とは、患者さんやストレスを抱えている人の笑いを引き出し、笑いを通じて自己治癒力を高めることをサポートする人のことです。

ストレスが病気の原因になるように、心の状態は身体に大きな影響を与えます。そこで同研究会は、憂鬱な気持ちを吹き飛ばし、人を幸せな気持ちにする笑いの力に着目し、自己治癒力を高める笑い療法士の育成を進めています。

笑い療法士の資格は1級~3級まであり、書類審査の後、笑い療法士講習とフォローアップ論文の提出をすることにより資格を取得できます。

笑い療法士の実践で求められるのは、特にパフォーマンスやグッズを必要とせず、日常的なコミュニケーションで笑いを引き出すスキル。笑わせようとするのではなく、安心・安全を基本にした、心にしみる温かい笑いを引き出すことを重視しています。

患者さんを笑顔にしたい看護師さんは、ぜひ笑い療法士の情報を調べて、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

【2022年度第17期笑い療法士募集のスケジュールと費用】
応募受付:2022年3月1日~5月10日(申請書類審査費2.000円)
認定講習:オンライン講習:2022年7月30・31日(講習日25,000円)
※応募者が多い場合、8月6(土)・7日(日)にしていただく場合があります。
スクーリング(対面講習):2022年10月30日
認定式:2022年12月18日(オンライン)認定料10,000円
申し込み方法(募集要項)はホームページに掲載しています

詳細情報

一般社団法人 癒しの環境研究会

特定非営利活動法人 日本過眠症患者協会

特定非営利活動法人 日本過眠症患者協会(通称:過眠症患者会)は、日常生活に支障が出るほどの眠気を抱え、困っている人にやさしい社会を目指す団体です。

過眠症には、ナルコレプシー・特発性過眠症・クライネ・レビン症候群などさまざまな種類がありますが、どれも患者数が少ない稀少疾患です。

そんな実情を踏まえ、同団体は過眠症の種類はもちろん、疾患の診断・未診断も問わない上、疾患の当事者やその関係者など、過眠症に興味を持った方なら誰もが入ることができる、広く開かれた患者会として運営しています。

たとえば、過眠症疾患を抱えながら看護師として活躍されている方もいらっしゃるでしょう。医療現場はプレッシャーが大きく、気を抜くことができない場所です。そんな中、過眠症と戦いながら奮闘するのは、まさに至難の業です。

そのような場合、過眠症による悩みが大きくなったり、トラブルが起きたりする前に、患者会を通して同じ症状を抱える仲間と接点を持つことが大切です。また、医療現場で過眠症疾患の患者さんと関わる場合にも、同団体の活動を通じて得た知識は十分に活かすことができるでしょう。

もちろん看護師以外の職業に従事している方にとっても、過眠症は大変な病気です。同団体は過眠症を抱えながら、社会で懸命に働く人たちに向けて、個人に寄り添ったサポートを行っています。

過眠症とは

過眠症には、短い睡眠発作(睡眠発作=瞬間的に寝落ちしてしまう症状)を繰り返すナルコレプシーや、日中慢性的に眠気を覚える特発性過眠症(とくはつせいかみんしょう)、過眠期に眠り続けるクライネ・レビン症候群などさまざまな種類があります。

これらに総じて言えるのが、日中に耐え難い眠気に襲われ、発作のように居眠りを繰り返してしまうことです。しかし、一般社会における過眠症の認識は低く、ほとんど理解してもらえず、多くの場面で怠けと判断されています。結果的に、当事者は怒られたり、仕事をクビにされてしまったりという悲しい現状があります。

そんな社会の偏見を無くすため、同団体は数少ない過眠症を抱える者同士で集まり、思いやりを持って、手を取り合って一致団結しようという理念の元、患者さんとご家族、そして社会に向けた啓発活動を行っています。

患者会が実施する勉強・交流・啓発活動

同団体は、過眠症に悩む人々をサポートする活動として、勉強・交流・啓発の三本柱を打ち立てています。

勉強の活動では、それぞれが病気について最低限の知識を持つことを目標に、基本的な知識を広めるために医療講演会や勉強会を開催しています。

交流の活動では、過眠症と闘い、一人で不安や苦しい思いを抱える人を支えるために、仲間同士で励まし合い、情報交換できる場を提供しています。

啓発活動では、多くの人々に過眠症のことを知ってもらうために、社会に向けて、疾患の実態を発信しています。現時点で、世間での過眠症の理解は不足しており、学校や職場で苦しい思いをしている人が大勢います。それでも完治する薬は未だ開発されておらず、過眠症の当事者は通院を余儀なくされています。それにも関わらず、障害者手帳といった社会保障制度は確立されていません。そんな現状を打破するべく、同団体は懸命に声を上げています。

     ▲過眠症マーク/画像提供:特定非営利活動法人 日本過眠症患者協会

啓発活動の一つとして、同団体は過眠症の患者さんに向けて「ヘルプマーク」や「マタニティマーク」のように過眠症の病気を周囲に伝えることができる「過眠症マーク」を作成・配布しています。人々に過眠症の疾患を周知し、自身の身も守ることができる過眠症マークの作成は、多くの方を救う素晴らしいアイデアだといえます。

詳細情報

特定非営利活動法人 日本過眠症患者協会

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