フローレンス・ナイチンゲールは戦争の最中、負傷兵たちのために敵味方関係なく献身的に看護をした女性として広く知られています。
また19世紀の半ばにはすでに看護理論の原型となる『看護の覚書』などの書籍を執筆し、その後の看護理論などに大きな影響を与えたことは、看護師のみんなさんならきっとご存知ですね。
日本では道徳の教材としても広く知られており、子供の頃、ナイチンゲールの偉人伝を手にしたことのある人は多いのではないでしょうか。もしかしたらナイチンゲールの影響を受けて看護師を目指した方もいらっしゃるかもしれませんね。
フローレンス・ナイチンゲール記章は、赤十字国際委員会が看護の功労を称えるために設けたもので、2年に1度、看護の日である(ナイチンゲールの誕生日でもある)5月12日に発表されます。
日本では皇后さまが記章を授与されますが、今年は皇太子妃・雅子様も出席されたことで大きな話題となっていますね。
そんな今年、第46回のフローレンス・ナイチンゲール記章を授与されたのは、伊藤明子さん(58)。名古屋第二赤十字病院に勤務されている伊藤さんは、国内外で幅広く活躍、紛争地域や災害地での看護に大きな貢献をしたことを評価されての授与となりました。
伊藤さんは、国際赤十字の医療チームで事業責任者になった日本で初めての看護師で、すでに3度もその経験があり、その経験を日本の看護師に伝えるため、多くの研修や教育機関での講演なども行っていらっしゃいます。
過去のフローレンス・ナイチンゲール記章の授与者は1,488名(2017年8月現在)。その中で日本人受賞者は世界の中でも一番多く、108名います。
例えば第一回のフローレンス・ナイチンゲール記章では、3名の日本人看護師が記章を授与されており、そのうちのひとり萩原タケさんは、日清・日ロ戦争の際、戦地での懸命な看護にあたりました。
記憶に新しいところでは、2011年に南 裕子さんと村松静子さんがフローレンス・ナイチンゲール記章を授与されています。
南さんは日本看護協会の会長の経験者で、認定看護師・専門看護師の制度作りに大きな貢献をしており、2011年の阪神・淡路大震災の際は、ご自身も被災者でありながら被災地の看護にたあり、その経験をもとに災害時の看護師の派遣制度の確立に尽力され、日本災害看護学会、世界災害看護学会を設立されています。
村松さんは訪問看護の重要性を広く社会に訴え、「在宅看護研究センター」を設立。日本初の看護師による在宅医療の組織をつくり、日本国内で在宅医療および訪問看護がどのくらい必要とされているかを調査し、「訪問看護事業を運営する上でのガイドライン」を作成されました。
学問の領域でも「在宅看護論」を執筆、さらに在宅医療のニーズが高まる我が国の在宅看護教育に力を注いでいらっしゃいます。
他にも歴代の受賞者は、現在の看護のあり方に国内外で大きな影響を与えてきた功労者ばかりです。看護師が医療や福祉に貢献していける可能性はまだまだあります。また、看護師自身の労働環境をより良く改善していく必要性も高いですよね。
今後も看護師が声をあげ、社会を動かして、未来の看護環境と看護師が良くなっていくといいですね。
フローレンス・ナイチンゲール記章の表面にはナイチンゲールの姿が刻まれ、裏面には授与された看護師の氏名が記載されています。また同時に羊皮紙の章記も授与されます。
遥か昔、医療自体がまだ曖昧であった時代には、看護師は「病人の世話役」程度に捉えられていたかもしれません。フローレンス・ナイチンゲールは、その看護師の立場を医療の中で明確にし、医療体制における役割、看護に必要なものを広く社会に知らしめました。また学問としても看護理論の流れを作り、多くの書籍を残しています。
ナイチンゲールが生きていた時代から現在まで、患者さんに必要とされる存在として、今この瞬間も世界中で多くの看護師が日々の業務にあたっています。
看護の日やフローレンス・ナイチンゲール記章の授与などを機会として、看護師について、さまざまな人が思いをはせる機会となるといいですね。
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