女性専門病棟で気づけた“自分らしい美しさ”で日本決勝に挑みたい!【MGJファイナリストインタビュー02】女性専門病棟看護師・片倉奈々加さん

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世界三大ミスコンテストに次ぐ注目の大会『ミス・グランド・インターナショナル2017』にチャレンジしている現役ナース3名へのインタビュー企画。

第2回は、女性専門病棟で働く片倉奈々加(かたくら・ななか)さんです。子供の頃から“私は美人じゃない”と思っていた片倉さんが、女性専門病棟での看護を通して知った“女性の本当の美しさ”、そして前を向くためのヒントについて、お話を伺いました。

患者さんと一緒にいる時間が一番長い看護師さんになりたい


“#長身姉妹”というハッシュタグをつけてInstagramにあげた写真が事務局の目に止まり、フォローされたことがきっかけでミス・グランドのことを知ったという片倉さん。

背中を大胆に見せたブルーのワンピースで取材現場に登場した彼女は、ファイナリストのオーラをまとい、まさにクールビューティーという言葉がぴったりの佇まい。しかし彼女が笑顔を見せた途端、一気に親しみやすさがこぼれます。

「私、ずっと小児喘息があって毎年入院していたんです。幼稚園のときにすごくいい先生がいらっしゃって、最初は医者になろうと思ったんです。でも何回も入退院を繰り返しているうちに、患者さんと一緒にいる時間が一番長いのって看護師さんだなぁと気付いて…。

小学校低学年の頃、お母さんが帰らなきゃいけないと私がグズるんですよ。そんな時には看護師さんが手を繋いでくれました。でも私は『あなたじゃなくてお母さんがいいの』みたいなことを言って当たり散らしたりして、それでも看護師さんは根気強く私のそばに居てくれて…。実際、自分がナースになった今では、忙しい中でよく付き合ってくれたなと思います」

具体的に看護師になると決めたのは中学生の頃。「看護師になるなら理系だ」と進路を定めたそう。

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疾患を抱えながらも“美しくなりたい”と考える人に寄り添う看護


その後、大学の看護学部で学び、看護師資格を取得した片倉さんは、附属病院の女性専門病棟に3年間勤務。女性専門病棟の主な診療領域は婦人科と乳腺外科ですが、実際には脳内、循内、整形をはじめとする多科目を受け入れ、急性期から慢性期まで女性のことなら幅広く受け入れる混合病棟でした。

抗がん剤治療や手術前後のケアも行い、新卒から幅広い科目の医師や看護師と相談しながら病院中を巻き込む病棟で、ずいぶん学ぶことが多かったと言います。

「女性専門病棟の難しい部分は、やっぱりボディイメージの変容です。乳房を切除される方、抗がん剤で髪の毛を失ってしまう方、目に見えないんですけど子宮を取ってしまう方など、中には大きなショックを受けている方もいらっしゃるので、それぞれの患者さんに寄り添う看護を行なうことが大切ですね。

自分が体験していない気持ちを想像するのはなかなか大変ですし、患者さんによってはどんな声をかければいいのか悩むこともあります。正解というのはないので。

デリケートなところが多い分野なので、憶測で物事を言わないようにはしています。人にはそれぞれ価値観があるから、まずは話を聞いてから、“その方にとって大切なことは何か”を考えていくようにしています。

最初はあえて手術のことには触れないで患者さんの話を聞いて、ちゃんと信頼関係、雑談ができる関係になってから、『手術からこれくらい経ちましたけど、痛みはどうですか?(手術跡は)確認されましたか?』というところから入っていくようにしていましたね。

最初から術後の状態について聞くと、業務的・作業的というか…心があんまり無いかなと思うので、患者さんを知って、私のことも患者さんに知ってもらえるように努力はしています」

女性専門病棟では、治療で髪の毛が抜けてしまったり、乳房を切除されてしまった患者さんへ、看護師が病院にあるウィッグや下着のカタログを見せて相談に乗ることもあると片倉さんは語ります。

「(病気のために)失ったものばっかりに目を向けて、『女性らしくない』『女性としての価値がない』と言ってしまう患者さんが、他の部分で多くの素敵なものを持っているのにもったいないなと思っていて。

女性専門病棟では病気ばかりでなく、その方の女性としての一面もしっかり見ていけるところが、他の病棟とは少し違った関わり方です。

患者さんがもし“女性らしさ”に喪失感を持っているのだったら、失くしたものではなく、今あるもので『こういうところが◯◯さんは女性らしいし、美しいしですよ』と魅力をお伝えしたり、美のためにしてきたことを話し合えたり…そういう関わり方ができるところが好きですね。その中で患者さんに少しでも自信を取り戻してもらえたら、すごく嬉しいです」

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患者さんの強張っていた表情が笑顔に変わった瞬間、やりがいを感じられるという片倉さん。女性専門病棟での勤務は彼女に、幅広い女性の病態生理を学ぶ機会となっただけでなく、病気とともに生きながらも“美しくなりたい”という女性たちの姿を見せ、彼女の看護観と生き方に大きな影響を与えたのです。

25才。卑屈だった自分の価値観を変えたら見つかったやりたいこと


「私自身、ないものばかりにフォーカスしていた時があったんですね。私は二重じゃないから美人じゃないと勝手に思い込んで、『モデルみたい』と言ってくれる人がいても、そこしか褒めるところがないからだろうと受け取って…。すごく卑屈ですよね(笑)」

そんな片倉さんの考え方は、女性専門病棟での仕事を通して徐々に変化していきます。そして25才になった頃、「卑屈な自分を変えたい」と自分のことを好きになる努力を始めます。

例えば変えられる範囲の見た目、休日の過ごし方など、なりたい自分に近づけるよう試行錯誤しました。そして精神面でも“自分を客観視して考えるクセ”をつけるように。イライラしているときにはその原因を見極め、改善策を考えて前向きになれるようにしました。

「いつも気持ちを極端に落ち込ませない、落ち込んでも長引かせないようにしています。落ち込んでいるときって何もしたくなくなるので。

他にも痩せたり、メイクの仕方を変えてみたり、スキンケアに気を使ってみたりしました。自分に変化が表れると、周りから『どうしたの?』『何をしたの?』と聞かれて、『こういうことをしたんだよ』と話をしたところ、教えた人にも変化があって。それで感謝をされることにすごい喜びを感じたんですね。

自分だけでももちろん幸せだったんですよ。さらにそれを周りに広げられたっていうのが、すごく嬉しかったです」

片倉さんはこの経験から、ミス・グランドの「PEACE」というスローガンを見た時、「私にもできることがあるかも」と思い、出場を決意。そして見事ファイナリストに選ばれたのです。

地方大会は楽しめたけれど、セミファイナルではトップバッターに


「書類選考を通過できると思ってなかったので、地方大会に進めた時は嬉しかったですね。地方大会でも落ちるだろうと予想していたので、カッコつけないで思っていることを全部言おうと、リラックスして臨めたんですよ。それにミスコンへの出場自体、それまでの自分にはありえなかったことなので何だか面白くて、大会を客観視して楽しんで参加できました」

しかしセミファイナルでは片倉さんがトップバッターに。大勢の審査員を前に立っているのがやっとで、考えてきたはずの自己PRは、頭の中からすっかり飛んでしまったそう。ところが…。

「初出場で大会のことも知ったばかりの私が名前を呼ばれて、きっと選ばれるだろうと思っていたミスコン経験のある方や何かに秀でた人たちが、選ばれなかったんですよね。その時に感じたプレッシャーは…すごかったです。最初は嬉しい気持ちより、そんな方々の中で選ばれたのだから絶対に優勝しなければ、という大きな責任を感じました」

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「私でもできること」を応援してくれるみんなに届けたい


それから片倉さんは大会専属トレーナーの指導を受け、筋トレや有酸素運動のほか、ファッションやメイクにも磨きをかけ、新しい自分を知っていくことに。

「トレーニングは基本的にきついですよ。あまり好きじゃないですけど、最初に測定した値より体脂肪率が3%下がりました。成果が数字で表れると嬉しいですね。あと周りから引き締まったねとか言われたりすると、頑張ってよかったって思います」

さらに、トレーニングの一環として自己発信の方法を学んだことで、SNSのフォロワー数が4倍に増え、慣れなかった自撮りでも自分をよく魅せる角度などを考えるようなったそう。すると友達から「奈々加、どんどんキレイになっていく」とコメントがつくことも。

「友人が『すごい』って言ってくれたり、『私も何かに挑戦しようと思った』と言ってくれたりすると、とっても嬉しいです。『応援してる』という声は、たくさんいただきました。家族は『仕事もトレーニングもして、ちゃんと休んでいるの?』と心配していますね(笑)」

片倉さんが大好きな甘いものを控えたり、厳しいトレーニングを乗り越えていけるのは、喜んでくれる家族や友達の存在が大きいようです。

命には限りがある。それに気づいて、目標に向けて行動できる人は美しい


日本のファイナリストお披露目の記者発表では、「私は自分の顔を冷静に分析して、特段可愛いとは思いません」という自虐発言で会場を沸かせた片倉さん。トレーナーからは「もう少しミスらしく振る舞ってほしい」と注意されることもあるそうですが、経験に基づいた“芯”を持つ片倉さんは、“女性の美”について、多くの人に知ってもらいたい想いがあるようです。

「“健康美”という言葉がありますが、健康じゃないと美しくないのかというと、決してそんなことはありません。むしろ私が見てきた患者さんたちには、美しい方が多くいらしゃいます。

例えば余命が分かった方というのは、すごい行動力があります。色々なビジョンというか、自分がやりたいことがあって、そこに向かって努力されている姿を見ていると、本当に美しいなと思うんです」

終始ミスらしく微笑んでいた片倉さんの表情が、凛とした看護師の顔になります。

「命が有限でタイムリミットがあることを、患者さんたちはよくご存知です。本当はすべての人が同じように限りある命を生きているのですが、多くの人は日常の中で忘れてしまっている。

命が有限だと気づいている人は、タイムリミットに向かって何をしたいのか、自分のゴールを考えられている人で、ゴールに向かって行動できています。その真っ直ぐな意思と行動する姿は本当に美しいと、私は感じるんです」

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「やるべきことを『明日やればいいや』と後回しにすることは私にもあるんですけど、“明日が来る”という保証はありません。自分のためにできること、家族や友人のためにできることを考えて、今、行動している人は、素晴らしいと思います」

この時、片倉さんの深い想いは、インタビュールームにいたスタッフ全員の心を震わせました。

“私らしさ”を出していくことで、周りに影響力を与えたい


「自分が綺麗になっていくのも楽しいんですけど、周りが綺麗になっていくのがすごく楽しいですよね。私よりずっと素敵なものを持っているのに、もっとキレイになれるのに、もったいないなと思う人たちがたくさんいます。そんな人たちの“お尻を叩ける”くらい影響力がある女性になりたいです(笑)。

でも、特別視されるような存在にはなりたくないんですよね。『奈々加は背が高いからそうなれたんでしょ』と思われるとちょっと違って、私の事を踏み台にして、みんなどんどん綺麗になってほしい!」

気さくな片倉さんらしさが溢れ出します。

「憧れられる“ミスになりたい”という気持ちはもちろんありますが、その中で“私らしさ”を出していって、それが結果になればよし! ならなかったら仕方ない…という風に考えています。それで日本代表に選ばれたら光栄です」

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看護師もQOLを大事にできる働き方を探して


豊富な経験と幅広い価値観を持つ先輩たちへの憧れや、患者さんからの「やりたいことをやりなよ」という後押しもあり、片倉さんは現在、女性専門病棟を離れて派遣でさまざまな職場を経験しながら、看護師として女性として、“私らしい働き方”を模索しています。

「色々試して、自分が一番生きがいとかやりがいを感じる仕事に就けたらいいなと思います。

今までまさかこういう風に取材をしていただくようになるなんて考えたこともなかったですし、ミス・グランドジャパンに出場して、職場も変わったことで、新しい経験や新しい出会いが詰まった日々を送っています。自分の限界を決めない、自分の想像を越える現実が目の前にあるというのはとても面白いですよね。

みなさんも自分の感じたこと、自分のQOLをぜひ大事にしてください。そしたらきっと楽しいですよ!」

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※記事内容は、2017年8月10日取材時点の情報を基にしています。

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