食道や胃、十二指腸の上部消化管を検査する、いわゆる胃カメラを「上部消化管内視鏡検査」と呼んでいます。
病院で行う検査には、その確率は低いものの、偶発症が起きてしまうことがあり、上部消化管内視鏡検査の場合も同様です。
検査は診断のための手段ですので、本来ならなんの偶発症も起きずに終わることが理想ですが、ごくごく一部の患者さんには起こってしまうことがあるのです。
では、上部消化管内視鏡検査偶発症にはどんなものがあるのでしょうか?どういった偶発症が、どのくらいの確率で起こるのか、ということについて説明したいと思います。
偶発症というのは、意図せず偶然に起こってしまう、いわば誰も望まないものではありますが、よく起こる偶発症を見ていると、患者さんサイドの問題で起こったものも存在しますので、ここでご紹介します。
上部消化管内視鏡検査に訪れる患者さんには、たまたま検診で「要検査」になり来院されたような、昨日までなんの病気もしたことがないような方は、実は意外に少ないのです。
確かに、会社の定期検診の時期などはそういう方が増えますが、9割がたは検査の結果「異常なし」のことがほとんどです。そういう方々に偶発症は起きることはほぼほぼありません。
可能性が高いと考えらえるのは、既往歴が多く内服薬も多いような患者さんです。
高齢の患者さんもそうですが、こういった方は偶発症が起きてしまう可能性がことが高いようです。
上部消化管内視鏡検査の偶発症の一つに、検査の際に使用する薬によるアレルギーがあります。
例えば、麻酔薬を使ったことでショックを起こしたり、発疹が出たり、のどの浮腫が起きたり、もともと持っている持病が悪化したりするケース。
こういった偶発症の発生の確率は低いのですが、なかには死亡している事例も見られる、という報告があります。
消化器内視鏡関連の偶発症に関する発生の確率の詳細について知りたい方は、こちらを参照してください。
参照文献:日本消化器内視鏡学会「偶発症に関する第5回全国調査報告」
患者さんサイドの偶発症を防ぐには、医療従事者が検査を受ける患者さんの内服薬や既往をしっかりチェックすることも必要なのですが、患者さんに的確な問診を行い、必要な情報を得ることも重要です。
例えば、麻酔薬で以前ショックや、アレルギーを起こしたことがあるかどうかは、必ずチェックしなければなりません。
また、心臓疾患、前立腺肥大や緑内障、糖尿病を持っているかどうかの確認は必須です。
この場合には使用する注射薬を変更したり、経過を注視したりしないといけないからです。
このあたりを徹底するだけでも、偶発症はかなり避けることができます。
上部消化管内視鏡検査を行う医師は、熟練した手技で検査に当たっていますが、思わぬ偶発症を招くこともあります。
この検査自体は極めて安全性の高いものではありますが、内視鏡を入れるときに鼻出血や鼻粘膜の損傷や、また消化管出血や穿孔などを生じることもあります。
バイオプシー(病変部の生検)に伴う出血や、検査中に脳卒中や不整脈、心筋梗塞、肺炎などが起こることも極稀にあります。
どんなに注意しながら検査を行っても、偶発症が起こる確率はゼロにはできないので、万が一起こってしまったら、緊急処置として点滴や輸血を行い、入院・手術、または外科的な対応ができる病院へ救急搬送するなどして適切な対処をすることになります。
検査にはどんなものであっても、必ずリスクが伴うものです。
上部消化管内視鏡検査の際には、事前に患者さんとその家族にしっかりと説明して納得してもらうことが必要になります。
説明するときには説明書や同意書を渡し、検査をする際には、その同意書にサインがないと検査ができないようになっています。
必要があるから行う検査ですので、十分なインフォームドコンセントによって同意を得ることが大切になりますね。医師と患者さんの両者が納得し、理解した上で検査を行うことが重要になりますね。
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