日本では、年々個人情報の取扱に対する規制が厳しくなっていますが、医療や介護の事業所も例外ではありません。とくに病状の変化や意識状態、認知症などさまざまな要因で、本人に同意が得にくいケースもある医療や介護の現場では、個人情報の取扱が難しいこともありますよね。
またデリケートな内容の個人情報を扱っていることもあり、どこまで誰にまで情報を提供していいのか、という問題もあります。
そこで今回は、平成28年12月に改正された厚生労働省の「医療・介護関連事業者の個人情報の取り扱いに関するガイドライン」より気になる項目をピックアップしてまとめてみました。
個人情報とは、生存する個人の情報を指します。具体的には、氏名、生年月日を始め、個人が特定できる情報(仕事やその肩書、住所、財産、画像、音声なども含みます)を総称しています。
医療の現場で扱われているメモなどであっても、患者さんに関する情報は、個人情報と判断されます。
他にも、個人データというものがあります。これはコンピュータに登録された情報などで、電子カルテに登録された情報なども含みます。個人に関連した情報を検索し、呼び出すことができる個人の特定できるデータがこれにあたります。
看護師がとくに気をつけるべき個人情報としては、患者さんや利用者さんの情報とそのご家族の情報、またメディカルスタッフの情報などもあります。最近ではマイナンバーの取り扱いにも充分な注意が必要です。
研究などで患者さんの情報を使用したい場合、原則として患者さんご本人の同意を得ることが必要です。看護師個人と患者さん個人の間のみのやり取りではなく、組織に所属する看護師として適正な手順をふみ、同意を交わすことが望ましいです。
看護実習生が来る場合は、まず患者さんに対し、院内掲示などを通して個人情報の取扱に関して周知しておくことが必要となります。それを読んだ患者さんから質問を受けることがあるかもしれませんので、看護師は病院が実習生に対して行なう個人情報の取扱の注意をよく理解しておく必要があります。
さらに実習生が患者さんにつく場合は、患者さんにしっかりと事前の説明と同意を得る必要があるので、指導する看護師はこの点も承知しておく必要があります。
また実習中も実習生に対して個人情報を護ることを指導したり、漏洩しないように見守る必要もあります。
外来などにおいて患者さんを氏名で呼び出す時、病室に入院患者さんの氏名を掲示する時、ナースステーションなどに患者さんの氏名を掲示する時など、個人情報を周囲に知られる可能性のある場合、治療のために必要なことなので、特に患者さんから要請がなければ、これらのことは特に問題にはなりません。しかし患者さんから「周囲にわからないようにして欲しい」という要請があれば、責任者に報告して、患者さんに誠実な対応をすることが求められます。
入院患者さんの知り合いだと言う人が面会に来て、「病室を教えて欲しい」と言われた場合、その特定の患者さんが入院(入所)していることを承知していて面会に来られた方に案内することは問題ないですが、入院(入所)しているかどうかも含めて尋ねられた場合は、
問題になることがあるようです。事前に患者さんにこうした場合に教えてもよいか聞いておくとよいですね。
患者さんのご家族に患者さんの病状を説明することは、医療にとって必要と認められる利用目的なので認められます。ただし、院内掲示などでこのことを示しておくことが必要です。
医師の場合は、「患者さんまたはそのご家族の生命や財産などの保護にとって説明が必要」と判断した場合は、家族に説明をすることが個人情報保護法で認められています。
看護師が必要を感じたら、医師に相談するのがいいですね。
未成年で自殺行為や薬物使用、妊娠などのケースで病院に来た患者さんから「家族に秘密にして欲しい」と頼まれた場合ですが、看護師は医師の判断を仰いてください。医師は個人情報保護法により、伝えないか、伝えるかを決定することができます。
大規模震災や大規模な事故などで、不特定多数の負傷者が出て搬送されてきた場合、家族かもしれない人物からの問い合わせがあり、患者さんの意識がなかった場合ですが、個人情報保護法により、「人(患者さんとそのご家族も指します)の生命、身体または 財産の保護のために必要がある場合」とありますので、対応することができます。
また、このような状況で患者さんのご家族に患者さんの既往歴や治療歴などを聞くことは、生命の保護に必要なことですので問題ありません。
この場合は、患者さんの意識が戻ってから、家族に説明やうかがったことなどを伝えるようにしてください。
迅速に事業所の責任者に報告してください。
たとえ意図せずに個人情報を漏洩してしまったとしても、医療従事者は刑法や各資格法によって罰せられることになります。介護の現場でも介護保険関係法令などの法律があります。その他、個人的に訴えられた場合は、民事法で裁かれる可能性もあります。
懲罰にかかわらず、個人を尊重し、個人情報を護ることは、人間のモラルであり、看護師として当然のことですよね。しかし、人は完璧ではないので、誤って個人情報を漏らしてしまわないように注意する意識を持つことが大切です。
医療や福祉の職場でのケースを中心にお話してきましたが、教育機関や企業、公的機関などに勤務する看護師も、もちろん個人情報の取り扱いに気をつける必要があります。
特にご本人の同意が得られない状況などで個人情報の取り扱いが難しいことがあるかもしれません。厚生労働省のガイドラインと照らし合わせて、ご自分の職場の個人情報の取り扱いルールを確認しておくと安心ですよ。
個人情報の保護について知ることは、患者さんやそのご家族はもちろん、同僚や自分自身の安心・安全のためにも役立ちます。ぜひ今一度確認してみてくださいね。
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