新人看護師さんのための開腹術後のドレーン管理の基礎知識

2018.4.26

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看護実習のとき、患者さんの体から管やチューブが出ているのを見たときには「これがドレーンというものか…」と思ったものです。
看護師として現場で働きだすとドレーンを留置した患者さんを受け持つこともありますね。

今回は新人看護師さんのために、開腹術後のドレーン管理とその観察ポイントについてご紹介したいと思います。

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そもそもドレーン留置の目的は?種類は?

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開腹術を行った後、浸出液や血液、膿などをドレナージすることによって、感染原因を除くことを目的としています。
開腹術のように大きな手術を行った場合にすぐに術創を閉じない理由は、閉創によって後出血や感染を起こしたときに治療を行うためです。さらに創の内部の状態を知り排液をスムーズにし回復を促すためにドレーンの留置が行われます。

例えば、胃がんでルーワイ法にて胃全摘を行った場合には、左横隔膜下に1本ドレーンを留置しますが、ドレーンはJ-VACがほとんどです。
同じ胃の手術でも、ビルロートⅠ法にて幽門側胃切除を行った場合には、ウィンスロー孔への1本に加えて、膵上縁に2本のペンローズドレーンを留置します。

J-VACは閉鎖式のドレーンなので、患者さんの体動に影響することもありますが、感染に強く管理しやすいのがメリットですが、ペンローズは開放式なので感染に注意が必要です。
ドレーンの種類には、他に管状になっているチューブ型や、内腔を持たないブレイク型、内腔が2つか3つに分かれているサンプ型などがあります。

 
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開腹術後のドレーン管理の看護のポイント

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回復術後のドレーン管理のポイントは、おおまかに3つです。

まず、1つ目は排液の量を観察すること。
排液の1日量が100ml程度が目安になります。
その時の患者さんの全身状態や体重によって変化し、がんの手術でリンパ節郭清をした範囲が通常よりも広いこともあります。そのため排液量の増減をみていきます。

また排液の性状をよく観察することが必要で、術直後にはほぼ血液の色をしています。
それが徐々に薄まり、淡血色から漿液性の黄色い色へと変化していきます。
そのため膿性の色や混濁を生じた場合には感染が考えられるので、すぐに主治医に報告する必要があります。

さらに、患者さんの全身状態の観察がとても重要になります。
例えば、なんだか顔色がいつもと違って青白い、いつもより表情がぼんやりしている、受け答えがなんとなくいつもと違う、そんなときには要注意。バイタルチェックを速やかに行い、血圧や脈のチェックをするようにします。
どこかで出血をしているために血圧が徐々に低下している可能性があるからです。

まとめ

ドレーン管理は、排液の状態やドレーン挿入部の傷、性状や量の観察だけでなく、患者さんを全体的に看ることが重要になります。
疾患と術式、ドレーンの種類や特徴を理解し、患者さんにどんな変化がおこっているかを把握し観察していくことが必要になりますね。

 
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